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- 2013_東アジアカップ韓国戦・・やっぱり、ギリギリの(両チームの意志が充満した!)勝負マッチに優るトレーニングはない・・(2013年8月4日、日曜日)
- 遅ればせながら、エキサイティングなせめぎ合いになった東アジアカップの最終戦(韓国戦)をビデオで観たことで、コラムをアップする創作意欲がかき立てられました。
まず、この試合が置かれていた「まさに決勝」という状況を振り返っておきましょうか。
要は、この試合の前に、中国がすでに「勝ち点5」と「得失点差1&総ゴール数7」を獲得していたということです。
ということで、日本と韓国の双方に優勝のチャンスがあったわけです。
韓国は、優勝するためには日本に2点差以上で勝たなければならない。また日本も、0対0や1対1の引き分けでは不十分(0対0の場合は中国が優勝、1対
1の場合は、数字的に、中国とまったく互角になるので、最後は警告数で決まるとか・・)という微妙な状況ではありました。
ということで、もちろん韓国は、立ち上がりからガンガン来る。
「ガンガン」の意味合いは、もちろんプレッシング守備のことですよ。
要は、韓国が、高い位置からマンマーク気味に強烈なプレッシャーを掛けてきたわけだけれど(ホントに、1人もフリーになれなかった!)、もし「そこ」で
持ちこたえられていたら(例えば、柿谷曜一朗がボールをしっかりとキープできていたら)、日本もバックアップの勢いをアップさせられたはず。でも結局は、
常に「そこ」でボールを失ってしまうシーンがつづいた。
だから日本は、人数を掛けて攻め上がれない。そんな現象が、日本守備ブロックにも悪影響を及ぼし、ラインマネージメントにも乱れが生じた・・という見方も出来そうだね。
とはいっても、いくら最終ラインの(高さやライン作り、カバーリングなどの)マネージメントが安定していなかったとはいえ、そこは「個のチカラ」で強力
なメンバーを擁する日本の守備ブロックだから、韓国にしても、コンビネーションやドリブルで日本の最終ラインを攪乱してウラの決定的スペースを突いていく
のは難しい。
そんなだから、韓国は、サイドからのアーリークロスを放り込むだけじゃなく、ロングハイボールで落としたセカンドボールを拾って勝負をかけるとか、ミド
ル(ロング)シュート、またセットプレーでの一点集中エネルギー注入など、「力ずく」でゴールを奪いにきたということだね。
ということで前半の見所は、日本の守備マネージメントと、柿谷曜一朗を中心にしたカウンターということになった。
そんな状況だからね、高い位置での協力プレスでボールを奪い返してブチかます「ショート・カウンター」なんてのは、とても難しい。
そして「ここ」がポイントなんだけれど、韓国のプレッシングの勢いをはね返すためには、日本も、同じように「前から」ガンガンとボールを奪いにいかなければならなかったんだよ。
ただ、そのためには、チームに「一丸となる共有イメージ」が必要。
でも日本は、韓国がやってくることを事前に熟知していたわけだから、たぶんザックは、しっかりと韓国の「勢い」を受け止め、柿谷曜一朗を中心に、危険なカウンターを仕掛けていこうというイメージで選手たちを送り出したということなんでしょ。
そして、その「ゲーム運びイメージ」が、まさにピタリとツボにはまっちゃったんだから、先制ゴールシーンをクールに見つめていたザックも、心のなかじゃ小躍りしていたに違いない。
そう、青山敏弘からの一発ロングラストパス。それが、ギリギリのところでオフサイドを回避した柿谷曜一朗にピタリと合うんだ。
とにかく、その状況で柿谷曜一朗が魅せた「落ち着き」にこそ、彼の才能が集約されていたといっても過言じゃないね。それは、前半25分の日本先制シーンでした。
そしてザックは、クールに、そのまま韓国の前への勢いが減退してくるのを待つという試合運びイメージを描いていた。でも・・
そう、前半33分には、韓国ユン・イルロクに弾丸ミドルを決められてしまうんだよ。これで1対1。
そのときのザックの表情がよかったネ。これまたクールに、「まあ仕方ない・・ゲームはこれからサ・・」ってな雰囲気を振りまいていた。いいネ・・
ところで、この弾丸ミドルだけれど、そんなゴールを見るたびに、やっぱりシュートは「意志」だな〜って感じるわけなんだ。
韓国選手たちの強烈な「自己主張」。そう、意志の(攻撃的な意志の)パワー。それは、生活文化と深く関係している。だから、一朝一夕では身につかない。
もちろん日本選手たちの、プロとしての意識は格段に向上しているし、強い意志をもってプレーしていることに疑いの余地はない。
それでも、個の決断で、全責任をもってリスクへチャレンジしていくというチャンスを(リスキーシュート等)を、それがどんなに小さな可能性であっても、常に強烈な意志をもって狙いつづけているのかといったら、まだ改善の余地があるということだね。
あっと・・後半・・
そして、ザックが「クール」に描いていた試合運びイメージ通りに、日本が押し返していけるようになっていくんだよ。
要は、日本が、前線でボールをキープできるようになった(だから人数を掛けて攻め上がれるようになった)ということなんだけれど、その現象には、2つのバックボーンがあったんだろうね。
1つは、韓国チームのエネルギーが減退したこと。そして、もう1つが、日本チームの「前への意志」が格段にアップしたという事実。
もちろん、絶対に2点差以上で勝つという「意志」を失ったわけじゃない韓国も、ロングボールを多用することで押し返していくんだよ。
ということで、後半は、まさに「動的な攻め合い・ぶつかり合い」という展開へと、ゲームがエキサイティングに発展していったんだ。
そのなかでは、韓国選手の強烈な(アグレッシブな)意志が爆発するようなシーンもあったね。例えば青山敏弘が、コ・ヨハンに、後ろ手で殴られるとかサ。
微妙なニュアンスだけれど、そんな意志の爆発もまたサッカーの一部だからね。わたしも、ドイツで、何度も体感させられたっけ。
あっと・・決勝ゴール。
これは、何といっても、原口元気の、ここ一発の「個人勝負を仕掛ける意志と勇気」に拍手しなければいけない。
そして、その後。
このゲームを象徴するような決定的ピンチが2度あった。でも、日本代表は、気持ちで押し切ることが出来た。
これは、ベンチの選手たちも含めて、本当に貴重な体感だと思う。選手たちは、ベンチも含め、このゲームを通して、ワンステップもツーステップも「進化&深化」したに違いありません。
やっぱり、ギリギリの(両チームの意志が充満した!)勝負マッチに優るトレーニングはないよね。
遅ればせながら、わたしも、自身の学習機会として、この感動を脳内イメージタンクに充填することが出来た。とてもハッピーな気持ちに包まれたものでした。
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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