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2013_J2_第9節・・攻守にわたって、「最後の一歩」を出し切れるヴェルディ・・(ヴェルディvsモンテディオ山形、 2-0)・・(2013年4月17日、水曜日)

いや、ホント、ものすごく面白いゲームだった。

 試合後、モンテディオ山形のサポーターが、チームに対してブーイングをしていたらしいけれど、それは、フェアではないよね。モンテディオが、とても素晴らしいサッカーを展開したことは確かな事実なのだから。

 でも、奥野僚右監督が、「攻守にわたって、思い切りという視点で、ヴェルディに上回られた・・それが残念・・」と語っていたように、たしかに、最後のところで「足を半歩」出し切れていなかった・・とは感じていた。

 例えば、スライディングしてボールを奪い返すシーンでも・・例えば、ボールがないところで最後まで身体を張ってマークし続けなければならないシーンで も・・例えば、相手と競り合いながらクロスを上げるシーンでも・・例えば、相手を押さえながらシュートに持ち込んだシーンでも・・。最後の「半歩」が足り ない・・と感じた。

 要は、勝ち切るための意志(勝者のメンタリティー!?)が、ほんのちょっと足りなかったとも言えそうだけれど・・。

 たしかに、あれほどゲームを支配し、ヴェルディの2倍もシュートを打ったにもかかわらず、モンテディオが、決定的シーンを作り出せたのは、ほんの2〜3回だったよね。

 逆からみれば、ヴェルディの守備での「意志」が素晴らしかった・・とも言える。

 そう、彼らは、山形の奥野僚右さんが言うように、思い切りよく「最後の一歩」を出せていたということです。4試合つづけて無失点ゲームを魅せられたのも道理・・ってか〜!?

 だから三浦泰年監督に聞いた。

 ・・ヴェルディは、とても素晴らしいディフェンスを最後まで魅せつづけたが、そのバックボーンにあるモノは、何なのだろうか?・・

 そんな質問に対して、泰年さんは、例によって真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・

 ・・それは、日頃のトレーニングだと思います・・もちろんそこでは、小さなコトを粘り強く積み重ねていかなければなりません・・細かなコトを、日頃のト レーニングで指摘し、選手たちに考えさせるのです・・それが、「思い切りのよい」ディフェンスにつながっていると思うわけです・・

 ・・もちろん、選手に対して何らかの指摘をするときは、真剣に対峙しなければいけない・・そこでは、誰も、特別扱いはしません・・また、たまには言い合いになることだってあります(パーソナリティーが、前向きにぶつかり合う!?)・・

 ・・プレーを改善するための指摘ですが、たとえばビデオを見直しながらやるときもあります・・ここを、こうすれば、よくなるとか、何故あそこで勝負をかけなかった・・とかね・・

 ・・そして、着実に積み重ねることで理解を共有できるレベルまで到達した理想イメージを基盤に、分けへだてなく指摘しつづけるわけです・・

 ・・そんな作業を、粘り強く繰り返しているうちに、自然と、言葉が(言葉で指摘することが!)必要なくなっていくのですよ(選手が、主体的に指摘し合える雰囲気が醸成していく・・!?)・・

 ・・だからこそ、必要な瞬間にしっかりと「足が出る」ようになるし、しっかりと闘い切ることも出来るようになる・・そんなことが、日常のトレーニングで身についていると思うわけです・・

 フムフム・・いいね。

 ところで、三浦泰年さんの会見コメントでは、至るところに、高原直泰の積極ディフェンスに関する指摘が為されたっけ。誰も、高原直泰のことを聞いていないにも関わらず・・だよ。

 たしかに、高原直泰の攻守にわたるハードワークは、特筆に値するほど大幅にアップしている。だからこそ、最前線でのポストプレイヤー(パスレシーズの基点)としても、チャンスメイカーとしても、格段のパフォーマンスアップを感じさせている。

 三浦泰年さんのコメントのなかで、「誰も、特別扱いしない・・」ってな内容があった。たぶん、それは・・

 まあ、わたしも、高原直泰の素晴らしいパフォーマンスについて質問しようと思っていたから、二つ目の質問を投げちゃった(スミマセン・・ね)。

 ・・ところで高原直泰ですが・・誰も聞いていないにもかかわらず、泰年さんは、何度も彼のことを、まあ、特に、最前線からのディフェンスや、攻撃での、 ボールがないところでの効果的なハードワークのことですが、それを良い例として挙げていた・・たしかに、彼は、本当に素晴らしいプレーを魅せていた・・

 ・・ということは、泰年さんは、高原直泰のパフォーマンスを見れば、オレがいかに良い仕事をしているか分かるでしょ・・なんてコトを示唆したかった?・・

 満面に笑みを浮かべた三浦泰年さんは、一言、「ご想像にお任せします・・」だってサ。

 とにかく、効果的な連動性を魅せつづける、素晴らしく「主体的でダイナミックな」組織ディフェンスをベースに、攻撃でも、組織プレーと個人勝負プレーがハイレベルにバランスする危険な仕掛けを魅せはじめたヴェルディ。彼らの今後に期待です。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

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