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2013_J2_第18節・・2つのゲームからポイントを抽出しました・・(ヴェルディvs水戸ホーリーホック、 0-0)&(横浜FCvsガイナーレ鳥取、 2-1)・・(2013年6月8日、土曜日)

今日は、駒沢から三ツ沢へ移動し、2試合を観戦しました。

 両ゲームとも、とても興味深いテーマを内包していたけれど、とにかく、ポイントを絞り、ショート&ショートコラムを・・

 まず、ヴェルディ対ホーリーホック。

 「公式記録を見たんですが、ゴールがなかったことは寂しい限りでした・・これじゃ、実際にグラウンド上で何が起きていたのか分からない(誰も興味を示さない!?)ですよね・・」

 「我々は、ある程度はカタチを作ったと思っています・・ただゴールを奪えなかった・・そして結局、どちらに勝ち点3が転がり込んでもおかしくないゲーム展開になってしまった・・」

 「我々は、相手よりも多くのチャンスは作りだしたけれど、結局ゴールを奪えずに引き分けてしまった・・それが大いなる反省点でした・・でも、まあ、そのようなゲームが何試合もつづくなかでシーズンがつづいていくわけですから・・」

 例によって「行間」まで編集した、三浦泰年さんのコメントでした。

 そう、この試合は、前半と後半の内容が大きく「揺動する」という、変化に富んだエキサイティングマッチだったんですよ。本当に、とても楽しめた。

 その前半は、ヴェルディが完全にイニシアチブを握った。

 最前線で効果的なタメを演出したり、たまには自身がドリブルシュートに挑戦するなど、ヴェルディ攻撃の主役を張った高原直泰を中心に、危険な攻撃を仕掛けていくヴェルディ。

 スリーバックというチーム守備戦術の特長を、とても効果的に活用するヴェルディなのです。そう、両サイドゾーンを支配するサッカー。

 スリーバックの両サイド選手、両ウイングバック、そして両サイドハーフという「タテのトリオ」が、サイドチェンジやオーバーラップなど、とても効果的な「変化」を演出しながら危険な攻撃を演出するんだよ。

 特に、右サイド(ウイング)バックの森勇介。彼は、抜群の落ち着きから決定的スルーパスを送り込むだけじゃなく、ココゾッ!のドリブル突破から、危険なクロスを送り込んだりする。

 もちろん、左サイドの福井諒司も、ツボにはまったら、これ以上ないほどの危険なニオイを放つんだよ。

 そんな前半だったけれど、後半の立ち上がりは、ホーリーホック監督、柱谷哲二の「苛烈な檄」が効いたんだろうね、ホーリーホック選手たちのプレー姿勢(闘う意志)が、何倍にも増幅したと感じた。

 そのことは、もちろん有機的に連動するボール奪取アクションに、如実に現れてくる。素晴らしい協力プレスが決まりつづけ、そこから危険な攻撃を仕掛けていくホーリーホックなのです。

 それだけじゃなく、彼らは、立てつづけに、決定的なヘディングシュートチャンスまでも作りだしちゃうんだよ。二度もつづけてね。でも、決め切れない。

 また、一発勝負カウンターから、右サイドでフリーになっていた・・が(スミマセン選手名が確認できなかった)、サイドチェンジのラストパスを受け、素晴らしいシュートをブチかますんだ。

 それは、ヴェルディGKシュナイダーがよく防いだけれど、前半のゲーム内容からしたら、まさに完璧なイメチェンを果たしたっちゅう雰囲気の(後半の)ホーリーホックだったのです。でも・・

 そう、後半も20分を過ぎたあたりから、再び「流れ」がヴェルディへと傾いていくんですよ。そしてゲームが、ヴェルディーが全体的なイニシアチブを握りながらも、動的に均衡していく。

 動的に・・と書いたのは、たしかにチャンスの量と質ではヴェルディに軍配が上がるけれど、対するホーリーホックも、最前線で「粘りのタメ」を演出しつづ ける鈴木隆行(師匠!?)を中心に、前半とは比べものにならないほどの「危険度」を内包する仕掛けを繰り出していくのですよ。

 そしてゲームが、最後の20分間、まさに手に汗握る展開へと「成長」していったのでした。

 私は、才能の塊、ヴェルディの中島翔哉のプレーも堪能できたし、とても満足していましたよ。

 あっと・・記者会見では、三浦泰年さんと、シュートをしっかりとゴールに結びつける・・というテーマで「話し合った」っけね。

 その「会話」については、他のサイトを参照してください。スミマセン、この会話までまとめるには、エネルギーが足りないという体たらくなんですよ。フ〜〜・・

 でもゲームは、ホントに面白かった。アッと、三ツ沢へ急がなきゃ・・

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 ・・ってなわけで、三ツ沢(ニッパツ)球技場には、キックオフの5分前に到着。とても清々しい「ライド」でした。

 そして「ここ」でも、特に後半、素晴らしくエキサイティングな仕掛け合いマッチの証人になれたのだから申し分なし。

 でも前半は、ちょっと退屈だったね。何せ、両チームとも、「戦術サッカー」を駆使したせめぎ合いに終始したわけだからね。

 要は、ディフェンスを中心に、注意深くプレーした・・っちゅうことです。

 そう、退屈な、中盤でのボールをめぐるせめぎ合いの応酬。それも、次の攻撃では、両チームともに、とても注意深く「人数を掛けていく」ものだから、いつも攻撃の最終シーンで人が足りないっちゅう体たらく。

 それでも、横浜FCは、そんな注意深い展開プロセスを「切り裂く」ような、鋭いタテパスによる仕掛けをブチかましちゃうんだよ。

 まず先制ゴールになった、ガイナーレ守備ブロック背後の決定的スペースを突くロングボールシーン。

 最初に追いついたのはガイナーレのディフェンダーだったけれど、あろう事か、バウンドの目測を誤ってボールを後逸してしまうんだよ。そして、追いついてきた大久保哲哉に、左足シュートを叩き込まれてしまう。

 そのゴールは、ガイナーレ選手のミスだったけれど、その後のガイナーレ最終ラインは、2つも、完璧なスルーパスを決められちゃうという体たらくだった。

 横浜FCで、決定的スペースへ走り抜けたのは、言わずもがなの「横浜FC超特急」黒津勝。ものすごいスプリントだった。あれじゃ、ガイナーレの選手が置き去りにされるのも道理だったネ。

 でも、黒津勝は、その後がいただけなかった。

 完璧なタイミングで、相手GKと1対1になる「はず」だったのが、落ち着き「過ぎ」てしまったことで、相手ディフェンダーの必殺タックルにボールを奪われちゃったんだよ。

 ありゃ、ないね。

 相手ディフェンダーが追いついてくるのはわかり切っていたんだから、まず身体を入れることでファールを誘えただろうし、もっと素早いタイミグでシュートを打つことも出来たはず。でも・・

 そんな前半の2つの絶対的チャンスだったけれど、後半の立ち上がりにも、同じようなカタチで、黒津勝へのスルーパスが決まりそうになった。

 「相手の背後をとるという仕掛けは、狙いどおりでしたね・・」と、山口素弘さん。

 だから続けて聞いた。

 ・・それにしても、あんな素晴らしいチャンスだったのに、黒津勝は、信じられないミスをしてチャンスを潰してしまったが・・

 それに対して山口素弘さんは、例によって誠実に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・

 ・・たしかに、決定的チャンスをゴールを結びつけられなかったことは問題です・・でも私は、サッカーにはミスがつきものだと言っているんです・・ミスを 重くとらえすぎたら、選手の弱気を誘ってしまうでしょ・・そして選手たちは、チャレンジしなくなり、横パスやバックパスで逃げたりするようになってしま う・・彼らは、どのようにすればミスをしないかを、よく心得ているわけですから・・

 ・・だから私は、ミスをしたとしても、それを「引きずること」なく、素早く切り替えることの方が何倍も大事なことだと説いているんです・・

 ・・たしかに黒津は、素晴らしいカタチで相手の背後を突いたまでは良かったけれど、その後、ミスをしてシュートまで行けなかった・・黒津は、自分のミス でゴールを決められなかったことは十分に理解していると思う・・だからこそ、それを引きずらないことの方が重要なんです・・黒津には、ミスをしたことの悔 しさを、次のジャンプアップにつなげて欲しいですね・・

 いいネ・・

 やっと、内容に結果が伴った横浜FC。さて、ここからだ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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