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2013_J2_第10節・・攻守のバランス(積極的な攻め上がりのバックアップ)という視点・・また、才能あふれる佐藤謙介についても・・(横浜FCvsヴィッセル神戸、 1-2)・・(2013年4月21日、日曜日)

「よ く、選手に、こんなことを言うんですよ・・サッカーには、表と裏がある・・攻めて、チャンスがあるように見えるけれど、それは同時に、次の守備でのピンチ を意味することもあるっていう意味なんですが、逆に、相手に押しこまれている状況は、相手の後方に、大きなスペースがあると・・」

 またまた、山口素弘さんと対話してしまいました。負けたのに、例によって、とても丁寧に対応してくれ、上記のようなニュアンスの内容をコメントしてくれた。感謝します。

 そのベースになった質問を短くまとめると・・

 ・・後半の立ち上がり、とても良いペースで攻め上がっていった・・でも私は、それを観ながら、これは危ないかもしれないとも感じていた・・そうしたら案 の定、カウンターで先制ゴールをブチ込まれてしまった・・どうも、攻守のバランスが崩れていたようにも感じるのですが・・

 ということで、試合だけれど、その展開は、とても興味深かいモノだった。

 前半は、選手個々のチカラの単純総計としての「チーム地力」では、やはりちょっと上のヴィッセルが、ゲームを支配して攻め上がっていった。横浜FCは、うまく攻め上がっていけない。

 でも山口素弘さんは、その前半を、「狙いをもったサッカーだった・・」と、そんな展開がゲーム戦術に即したモノだったと述懐していた。

 粘りの「徹底戦術サッカー」・・!?

 だから、後半の立ち上がりに彼らが魅せた、積極的な押し上げに対して、ちょっと質問してみたくなったっちゅうわけです。

 もちろん、山口素弘さんのいう「表と裏」については、とてもアグリーだよね。でも、だからこそ・・

 ということで、つづけて、こんな質問を投げた。

 ・・積極的に人数をかけて攻め上がっていく姿勢は、大いに評価するし、それこそサッカーの醍醐味だと思いますよ・・だから後半の立ち上がりの横浜の積極 的なプレー姿勢には、とてもアグリーだった・・でも、そんな積極性を支えるべき、リスクヘッジ(リスクマネージメント)が、その後半の立ち上がり数分間は うまく機能していなかったとも感じた・・

 ・・その典型的な例は二つあると思う・・一つは、アンカー的な、次の守備(相手のカウンターを遅らせるなど)を専業にする守備的ハーフのイメージと機能 性・・そしてもう一つは、素早い攻守の切り替えの徹底だと思う・・その視点で、ちょっと課題が見え隠れした(特に、攻守の切り替えが遅かった)と感じたの だが・・

 それに対して山口素弘さんは、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・

 ・・そうですね・・たしかに、(攻守の切り替えは)ちょっと遅れ気味だったかもしれませんね・・それに、相手には、そんな遅れ(攻め残った選手がいることを!)を見逃さずに決定的な仕事をしちゃう、(狡猾な!?)ブラジル人がいますからね・・

 フムフム・・

 ということで、後半の積極的な「入り」と、その攻撃的な押し上げをサポートする機能が、「まだ」十分に機能していなかったことで「しっぺ返し」を喰らった横浜FCだったけれど、その後は、フッ切れた「高次にバランスの取れた」積極サッカーへと改善していくのですよ。

 そしてゲームが、とても「オープンでダイナミック」なものへと変容していった。やはり、ゴールこそが最大の「刺激」っちゅうわけだ。

 もちろん、「ノーガードの打ち合い」なんていう低次元のサッカーではなく、両チームともに、あくまでも攻守にバランスの取れた「動的に均衡するゲーム」が展開されるのです。

 とても面白かったし、楽しめた。

 横浜が同点ゴールをブチ込んだだけじゃなく、最後は、交替出場した、36歳の吉田孝行が決勝ゴールを決めちゃったりしてね。ゲームが、変化に富んだダイナミック勝負マッチへと成長していったんだよ。

 だからこそ、両チームの選手たちが、前半よりも「持ち味」を発揮できるようになったのかもしれない。

 横浜FCでは、武岡優斗とか小野瀬康介とか、前半では、「我慢のゲーム戦術プレー」に徹していた選手たちも、攻守にわたるハードワークにも心血を注ぎながら、(もちろん主体的に考えながら)より自由に、リスキーなプレーにも大胆にチャレンジしていくようなったんだ。

 とにかく後半は、とても楽しんでエキサイティングマッチを観戦できた。堪能した。

 やっぱりサッカーにおける、もっとも重要なキーワードは「解放」ということなんだろうね。

 もちろん、解放されすぎたり、ハードワークをサボッたりするような姿勢は御法度だけれどね。

 あっと・・、その視点も含め、もう一人、このコラムでピックアップしたい選手がいたんだっけ。

 横浜FCの背番号8、佐藤謙介。まあ、センターハーフ・・

 素晴らしい才能に恵まれた選手だと思う。私は、そんな彼のプレーを観ながら、前回の熊本戦でも、彼の「スマート」なプレーを堪能させてもらったことを思い出していた。

 でも彼は、才能あふれる選手にありがちな、怠惰なプレー姿勢も垣間見せていた。それは、「楽して金を稼ごう・・」なんていう間違ったスマートさとでも表現できるプレー姿勢!?

 要は、ボール奪取プロセス(守備)でのハードワークにしても、攻撃でのボールがないところでの動きの量と質にしても、まだまだ不満がテンコ盛りっちゅうことです。

 もちろん、自分がボールを奪い返せるシーンとか、自分が決定的なパスを受けられる状況では、ビックリするほどの爆発スプリントを魅せる。

 また、ボールをめぐるせめぎ合いでも、ハイレベルで力強いプレーを魅せるし、ボールをもってからの落ち着きと、創造性プレーには、ほれぼれさせられる。

 そんな素晴らしい才能に恵まれている佐藤謙介だからこそ、もっと、もっと、攻守にわたるハードワークにも精進しなければいけない。

 この試合では、そんな「見応えある」佐藤謙介にも注目して観戦していたんだよ。

 現代サッカーのコーチには、「才能に恵まれているからこそ・・」という視点が特に大事になってくるわけだけれど、佐藤謙介に関しても、山口素弘さんに大いに期待することにしよう。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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