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2013_国際親善試合・・組織プレーと個人勝負プレーが、とても高い次元でバランスしはじめた日本代表・・(日本vsガーナ、 3-1)・・(2013年9月10日、火曜日)

さて〜・・

 まあ、実力的にも、順当な日本の勝利ということになったですかね。それにしても、やっぱり、ガーナが、メンバー構成も含めて万全でなかったことが、とても残念だったね。

 このところサ、昨年10月の、フランス&ブラジルとの「ガチンコ勝負」から、今年のコンフェデレーションズカップまで(あっと・・先日のウルグアイ戦も あったネ・・)、そんな、世界トップとの「最後の僅差」を体感できる勝負マッチが多かったからサ・・だから、ホントに、チト残念だった。

 とはいっても、若いガーナ代表チームも、個のチカラを前面に押し出す鋭いカウンターなど、部分的には、ハイレベルなサッカーを展開したよね。

 でも、そんな優れた「個のチカラ」を、チームとしてまとめられていない・・。

 要は、組織プレーが機能していないという意味で、たしかに「若気の至り」ってな凡ミスがつづき、攻守にわたるボールがないところでの動きの量と質が、どんどん減退していったっけね。

 そんな感じで「意志のパワー」が減退しちゃったら、いまの「登り龍の勢い」を秘めた日本代表に対抗できっこない。

 そう、ザック・ジャパンは、組織プレーと個人勝負プレーが、どんどんと高みでバランスしはじめているんだよ。

 この試合は、フィジカルやテクニック面(個のチカラ)じゃ日本を上回るところもある若手のガーナ代表とのフレンドリーマッチ。だから、局面での1対1のガチンコ勝負は、とても良い学習機会になるはずだよね。

 そして日本代表は、そんな強力な個のチカラをもつ相手と対峙しても、決して引けを取ることがなかった。彼らは、攻撃での組織プレーと個人勝負プレーのバランスという視点で、とても高質なサッカーを魅せた・・と思うわけです。

 それでもサ、チャンスを決め切れないという「悪癖」は目に余ったネ。

 前半15分の(清武弘嗣のスルーパス!)まったくフリーで右サイドをえぐった内田篤人のチャンス・・前半23分の(香川真司からのロングパスを受けた) 清武弘嗣が、相手GKと1対1になったチャンス・・はたまた、前半29分の(素晴らしい柿谷曜一朗の折り返しを!)まったくフリーで蹴り込むだけという シーンに恵まれた本田圭佑のチャンス・・

 「それ」を決め切れなかったのは、チト、病気。

 この「決定力」については、新しくはじめる「コア・コラム」の連載で取りあげまっせ。請う、ご期待・・なんてね・・あははっ。

 とにかく、「それ」を決めてりゃ、何の問題もなく、まさに圧勝ってな雰囲気になったはず。

 でも、まあ、学習機会という意味合いでは、ガーナに先制ゴールを奪われて後半を迎えたことは、良かったとも言えるかな・・。そう、脅威と機会は表裏一体・・。

 何せ、選手たちは、「こんな若手ガーナにこのまま負けたら、何を言われるか分かったもんじゃネ〜・・」ってなプレッシャーに晒(さら)されていたはずだからサ。

 だからこそ、後半の「質実剛健」なゲーム運びが光り輝いたし、我々の心を、満足感で満たしてくれた。

 「少しだけ」追い詰められていた日本代表。でも彼らは、その苦境から、自らのチカラで(攻守のハードワークとリスクチャレンジによって)這い出し、立派に勝ち切ったのですよ。素晴らしい。

 特に、香川真司と本田圭佑のプレー(個人勝負のリスクチャレンジプレー!)には、気持ちが入っていた。

 彼らに対する、「様々な」心理的プレッシャーは計り知れない。でも彼らは、そんなネガティブエネルギーを、立派にハネ退け、そして見返した。素晴らしい。

 ということで、ここから、軽く、テーマに入っていくことになるわけです。もう深夜だからね、あくまでも「軽く」テーマを展開するだけだよ・・フ〜〜ッ・・

 そのテーマだけれど、それは、言わずもがなの、組織プレーと個人勝負プレーのバランス。

 わたしは、このところの日本代表が、組織プレーだけじゃなく、個人勝負プレーでも、より積極的なっていると感じているのですよ。

 それは、もちろんコンフェデレーションズカップあたりから・・というか、昨年の、フランス戦、ブラジル戦でも、フッ切れた勝負を仕掛けていったよね。だからこそ、その「イメージと自信」が、コンフェデで(特に、イタリア戦で!?)花開いた・・ってな感じ。

 その、「組織プレーと個人勝負プレーのバランス・・」というテーマについて、ザックに、こんな質問を投げた。曰く・・

 ・・組織プレーの内容は、いつものとおり、とても優れているけれど・・このところ、そんな良い組織プレーのなかにミックスされる(べき!)個人勝負プ レーも、その実効レベルだけではなく、頻度でも、とても進化しているとという印象をもっています・・そのテーマについてコメントをいただけませんか・・

 ホントは、前回コラムで書いたように、「サッカーを楽しむ・・」というテーマについて質問したかったんだけれど・・ネ。この試合でも、前線からのディ フェンス(攻守ハードワーク)も、とてもハイレベルに機能していたからサ。だからこそ、本当の意味でサッカーを楽しめる!?・・なんて感じの質問。

 でも、まあ、組織と個のバランスというテーマを、サッカーを楽しむ・・というテーマに重ね合わせることも可能だったけれど、でも、それじゃ、またまた質問が長くなってしまいそうだったから・・あははっ・・

 とにかく、そんな私の質問に対し、ザッケローニは、とても真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・

 ・・組織プレーのなかに個の勝負をミックスしていくというテーマ・・組織プレーの目標イメージは、個のチカラに恵まれたチームメイトが、その才能を、存分に表現できるようにすることだ・・

 ・・もちろん逆から言えば、個のクオリティーこそが、組織プレーの絶対的ベースだとも言える・・でも、組織だけでも、個だけでも、優れたサッカーにはならない・・とにかく、その二つのバランスを高揚させることがテーマなのだ・・

 ・・そのメカニズムを、理論だけで説明するのは簡単だ・・ただ、実際にバランスさせる作業は、とても難しい・・

 ・・組織と個のバランスとは、言い換えれば、組織が個をサポートし、個が組織をサポートするというメカニズムを、ハイレベルにバランスさせることとも言える・・

 ・・チームのクオリティは、個のチカラを、いかに効果的にチームワークに活かしていくのかというテーマを突き詰めることで高まっていくものなのだ・・

 ・・チームに対して、こんなコトを語り聞かせたことがある・・

 ・・バルサのメッシは、「違い」を生み出せる・・でもアルゼンチン代表のメッシは、その「違い」を、うまく生み出せていない・・その「差異」のバックボーンこそが組織プレーの質なのだ・・

 ・・個の質が良くなければ、我々が志向するサッカーを実現するのは難しい・・でも、いまの日本代表には、その「ファンダメンタルズ」が備わっている・・

 ・・この試合では、11人のプレーが、組織プレーでも、個人勝負プレーでも、とても上手く噛み合っていた・・

 ・・派手な役どころをこなす役者と、カゲで支える役どころをこなす役者・・このゲームでは、全員が、素晴らしい仕事を魅せたんだよ・・

 貴重なハナシ、ホントにありがとうございました。

 ということで、前述したけれど、そんな実効ある個人勝負プレーの代表格が、香川真司と本田圭佑だったというわけです。

 そう、派手な役どころを演じる(主役を競り合う!?)2人の役者・・ってか〜っ!? そして今じゃ、そこに柿谷曜一朗という「天才」も加わっていく!? こりゃ、面白くなってきそうな予感。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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