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2013_ヨーロッパの日本人・・香川真司と吉田麻也・・(2013年4月2日、火曜日)

いいね〜、香川真司。

 この試合(サンダーランド対マンU)でも、とても良い組織プレーを展開していた。

 とにかく、パスを受けるフリーランニングが良い。マークする相手との間合いを、スッ、スッという素早く、大きな動きで空けてしまう。

 そして、例によっての、巧みで正確なトラップで素早くボールをコントロール下においてしまう。

 もちろん、事前にイメージが出来ていれば(味方パスレシーバーとのイメージを共有できていれば)、ダイレクトでパスを「はたき」、間髪を入れないパス&ムーブで次のスペースへ動いてリターンパスを受けたりする。

 また一旦ボールを止めるような場面でも、マークする相手の動きを明確にイメージできているから、スッと、ワンタッチでボールの「位置」を少しだけ移動させ(相手との間合いを空け)、そこから素早く次へ展開していったりする。

 マークする相手が、香川真司のトラップの瞬間を狙ってアタックしようものなら、ほとんどのケースで、そのアタックアクションの「逆を取られて」しまう。だから相手も、おいそれとアタックを仕掛けられない。

 そして香川真司は、ボールコントロール「的」なドリブルで、相手守備ブロックに「対応する動き」を誘発させ(要は、スペースを作り出すようなドリブルだね・・)、そこへ味方を誘導して、とても「優しい」パスを置いたりする。

 まあ、そんな香川真司のアクション(イメージ)については、組織的な展開プレーとか組織コンビネーションのコアとか、いろいろな表現の仕方があるよね。

 とにかく、そんな香川真司の組織プレーの「イメージ」が、チームメイトたちの脳裏に深く浸透しはじめたことで、周りのパスレシーバーたちとのコンビネーション(イメージのシンクロレベル)が、どんどん良くなっていると感じられるわけです。

 チームメイトにしても、「シンジにボールを預けて走ったら、かならず、次の、もっと良い状況で再びボールを持てる・・」と確信しているっちゅうことです。

 よく、フットボールネーションの猛者連中は、「ボールが戻ってくる・・」なんていう表現をする。

 以前、ニューヨーク・コスモスへ移籍した当時のフランツ・ベッケンバウアーが、こんな表現をしたことがある。曰く・・

 ・・最初の頃は、ホントに、ひどいサッカーだったんだよ・・何せ、一度でもボールを離したら(展開パスを回したら)もう二度とボールが戻ってこないんだからな・・

 でも、香川真司の場合は違う。チームメイトたちは、彼にボールを預けたら、必ず、次の、もっと有利な状況でボールを「持たせてくれる・・」と確信しはじめているっちゅうことなのです。

 ウェイン・ルーニーにしても、ウェルベックにしても、まあ・・多分・・ファン・ペルジーにしても・・ね。

 それと、香川真司は「本物のドリブラー」じゃない・・という視点もある。

 ホンモノのドリブラーは、自分をマークしている相手を、止まって「正対」した状況から、抜き去ることが(相手の背後のスペースを攻略することが)できるものなんだよ。

 もちろん香川真司だって、流れるような「動きのなかで」、良いカタチでパスを受けたら、素晴らしく危険なドリブル勝負をブチかませるよ。

 でも、パワーとスピードに(もちろん体格的にも!)優る本場のディフェンダーと、止まって「正対」した状態から「動きを作っていく」のは、そう簡単なことじゃない・・香川真司にとってもネ。

 まあ、そのことについては、次の機会に・・

 とにかく、攻守にわたる、とても高質な組織プレーが光り輝いていた香川真司だったから、思わずキーボードに向かってしまった筆者なのでした〜・・

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 そして、吉田麻也。

 ヨルダン戦での、追加ゴールシーンでは良いところがなかったけれど(あそこで、ヨルダンFWハイルのドリブルを、どうして止められなかったのか聞いてみたい・・)、この、サウザンプトン対チェルシー戦では、とても高いレベルの安定守備を魅せた。

 まず何といっても、1対1での強さ・・というか、落ち着いた、ボールをめぐる高質な競り合いが光り輝いている。

 その面じゃ、世界のトップレベルディフェンダーにも引けを取らない・・なんていう「印象」さえあるよね。

 そのことについては、知り合いのドイツ人スカウティングプロ(ヤツも、もちろんプロコーチだよ!)も同様の印象を語っていたっけね。いまでは、「どうして、VVVフェンローからウチが取らなかったんだろ〜」なんて悔やんでいたっけ。フンッ・・

 1対1の強さでは、もちろん「足許」のせめぎ合いだけじゃなく、空中戦でも存在感を発揮する。ヘディングが強いんだ。

 彼は足が速いよね。それは、同時に、彼の優れたジャンプ力「も」意味する。スプリント力とジャンプ力は「≒」だからね。

 もちろん、飛んでくるボールに対する「目測能力」や、全身を上手くつかったフィジカルなぶつかり合い(駆け引き)でも、強さを発揮する。

 あっと・・そんな局面勝負ではなく、本当に大事なことは、そこへ至るまでのプロセスだった。

 そう、いかに、有利な状況で1対1のせめぎ合いシーンに「持ち込んでいくのか」っちゅう視点だよ。

 言わずもがなだけれど、相手の次の展開に対する「読み」の能力にも、優れたセンスを発揮する吉田麻也・・っちゅう視点のことです。

 グラウンド全体の「動き」に対する、俯瞰的なイメージ描写力・・とでも言うかね。

 とにかく、インテリジェンス(考えるチカラ)でも、勇気をもった実行力とともに、とても優れている吉田麻也なのです〜。

 あっ・・と、ボールをもったときの展開力も、チームメイトから絶大な信頼を寄せられるほど優れているんだけれど、まあ、それについては、次回に・・

 これから雨の中を出掛けなければいけないので、今日は、こんなところでした〜。

 ところで、サウザンプトンについては、2001年10月に、そのスタジアムでナイジェリア代表と行ったテストマッチのことを思い出しまっせ。嵐の中のゲーム・・その後、四苦八苦でロンドンへ帰り着いたこと・・思い出します。そのときのコラムは「こちら」。あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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