トピックス
- 2013_ナビスコ・・スタジアム環境の差が、ゲーム内容にも大きく影響した!?・・(FC東京vsサガン鳥栖、 0-0)(マリノスvsフロンターレ、 1-0)・・(2013年3月20日、水曜日)
- さて、ナビスコカップも始まりましたよ。
今年は特別。何せ、ナビスコカップが、同一スポンサーイヴェントにおける最長の記録として(!?)ギネスに載ったんだからね。サッカー文化の浸透に、一役も二役もかったヤマザキナビスコ社には、心から敬意と謝意を表する筆者なのです。
ということで、その1回戦。
わたしは、駒沢(FC東京vsサガン鳥栖)から、ニッパツ三ツ沢球技場(マリノスvsフロンターレ)へ急行して連チャン観戦しました。
どうだろうね〜・・、マリノスvsフロンターレにくらべて、あまりにもグラウンド(駒沢競技場のピッチ)状態がヒド過ぎたことで、まったく盛り上がらず
に引き分けてしまったFC東京vs鳥栖だったから、そちらを飛ばしてマリノスvsフロンターレ戦に特化したコラムにしようか・・
まあ、とはいっても、東京vs鳥栖戦にもテーマはあった。
まず何といっても、ピッチの悪さ。
とにかくデコボコで、ボールがイーブンに走らない。要は、イレギュラーバウンドのオンパレードということだけれど、だから選手のボールを「見る」時間は、とても長くなる。だから、パスレシーバーとのコミュニケーション(アイコンタクト)がうまくいかない。
要は、パスコンビネーションが、とても難しいということです。もちろん、ボールコントロールやパスでのミスも連発するでしょ。だから選手たちも、リスクを冒したチャレンジプレーに二の足を踏む。だからゲームのダイナミズムは、簡単にはアップしていかない。
そんななかでも、例によって鳥栖が魅せつづけた素晴らしい組織(ハードワーク)サッカーには感嘆させられたんだよ。だから、ユン・ジョンファン監督に聞いた。
・・昨シーズンから、鳥栖は本当に素晴らしいサッカーを魅せつづけている・・素晴らしい(ハードワークを積み重ねる!?)組織サッカー・・これだけ選手
のなかでイメージが統一された闘いを展開できているということは、監督のイメージ作りも、とても効果的なモノに違いない・・
・・チーム戦術を一言で表すというか、わたしはキーワードと呼ぶのだが、その表現を聞いたら、すぐにチームの意識が統一されるとか・・そんな意味なのだが・・
・・ちょっとここで、わたし自身のキーワードで、鳥栖のサッカーを表現してみたい・・それは・・攻守にわたって、できる限り多く(頻繁に)数的に優位な状況を演出する・・というモノだが、そのことについて、コメントをいただけないだろうか・・
またまた長くなってしまった。例によって、クールに、わたしの質問を聞き、たまに頷(うなず)きながら通訳の方のハナシを聞いていたユン・ジョンファン監督。とても誠実に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・
・・サッカーには攻守があるし、そこでは、一人でプレーするわけにはいかない(=一人で、状況を打開できるわけではない!)・・サッカーは、グループで機能させる(組織的な!?)ボールゲームなのだ・・
・・また「J」には、我々よりも個の能力が高いチームが多い・・だから特に我々は、よりグループとしての意識をハイレベルに保つカタチで闘わなければな
らないのだ・・我々にとって、チームのなかで、その意識を高めることこそが、チームコンセプトにおける重要なポイントだと思っている・・
とてもクールな、ユン・ジョンファン。いいね・・。グッドパーソナリティーと高質なインテリジェンスを感じる。
あっと・・、ランコ・ポポヴィッチ。
例によって、とても良い仕事をしている。
彼らのサッカーも、昨シーズンに輪をかけて良くなっていると感じますよ(わたしも、ビデオで確認していまっせっ!)。まあ、今日のピッチコンディションでは、彼らが志向するダイナミックなパスサッカーを体現するのは、とても難しかっただろうけれどね・・。
ランコとは、記者会見の後、軽く立ち話した。彼自身も、日本で(FC東京で)仕事をすることに、大きなモティベーションをもっていると感じる。良いね・・
とにかく、「いまのFC東京のベクトル」を、どんどん進展させてくれよ・・と、握手して分かれた。
-----------------
ちょっと短いけれど、ここからはマリノス対フロンターレ。
ニッパツ三ツ沢球技場に到着したのは、キックオフから数分が経過した頃。そして、急いでスタンドへ駆け上がり、グラウンドへ目をやったときのことでした。そのとき、とても特別な感覚だったのだけれど、ビックリするほどの感動を覚えたんですよ。
・・満員のスタンド・・素晴らしい雰囲気の応援合戦・・それに、何といってもサッカー専用競技場ということで、グラウンドが近いし、そのピッチコンディションも最高・・
まあ、駒沢競技場のピッチが、あまりにもヒド過ぎたということもあるし、「そこ」には、スタンドとピッチを分断する陸上トラックもあるからね。何か、「あちらの、どこかで・・」サッカーがプレーされている・・なんていう感じだったんですよ。
もちろん、FC東京が、難しいながらも必死にチャレンジするパスサッカーや、例によって組織マインドを爆発させる、忠実ハードワークを絵に描いたようなサガン鳥栖の組織サッカーには感動を覚えていたにもかかわらず・・だよ。
でも、ニッパツ三ツ沢球技場は、本当に違った。まさに、「これ・・これだよ〜・・」っちゅう感じだったんだ。
私は旧(ふる)い世代だからね、ドイツも含めて、昔の、スタンドとピッチが「一体」になった雰囲気に、いまでも郷愁を覚えるのですよ。
そして、だから・・ということもあるんだろうけれど、そこでマリノスがブチかました素晴らしい組織サッカーにも、普通よりも何倍もの感動を覚えたということなのかもしれない。たぶん・・
とにかく、マリノスが魅せつづけたハイレベルな組織サッカーには、確固たる「カタチ」があると感じられたんだ。
もちろん、ステレオ・タイプっちゅう意味じゃないよ。何というか・・まあ、優れたチーム戦術コンセプトが、選手たちの強烈な意志によって、これ以上ない程ダイナミックに機能しつづけている・・ってなことかな。あっ・・もっと分かり難くなった!?・・スミマセ〜ン・・
まあ、いいや・・、例えば、攻撃。
そこでの、人とボールの「動き」は、もちろん中村俊輔をコアに、素晴らしく流れつづけるんだ。そして、その動きには、確固たる「リズム」がある。だから、周りの人の動きも、決して停滞したりしない。
選手は、中村俊輔を「探し」、そこにパスを付け、そして忠実なパス&ムーブで、次のスペースへ動きつづけるんだよ。
もちろん、ボールから遠いゾーンにいる味方にしても、俊輔がボールを持ったら、例外なく、次の決定的スペースを狙って、動き出す。
まあ、この試合でデビューしたファビオと(彼は素晴らしいプレーを魅せた・・特にロスタイムでの、川崎パトリックとの攻防&勝利は、まさにスーパーだっ
た!)中澤佑二のセンターバックコンビから、中町公祐、そして中村俊輔とマルキーニョスの「タテのコンビネーション」が素晴らしかったとも言えそうだけれ
ど・・ネ。
この試合でも、陰に(攻守のボールがないところでのハードワーク!)日向に(ボール絡みの魔法プレー!)、目立ちに目立ちつづけていた中村俊輔。ホントに、素晴らしかった。
そのプレーぶりは、まさに、ポジションなし。それも、攻守にわたるハードワークが絶対的ベースなんだから、チームメイトにとっても、頼もしい限りじゃないか。
チームの絶対的コアである中村俊輔が、そんな汗かきハードワークにも精を出すんだから、チームのなかで、互いに使い・使われるという根源的メカニズムに対する理解が深まるの道理だね。
中村俊輔が演出した決勝ゴールシーンでの、右サイドゾーンにおける「魔法コントロール&魔法クロス」などなどについては、連載している、ソフトバンクのスマホ向け動画サイト「スポーツLIFE」でも書くことにしまっせ。
ところで、この決勝ゴールシーンだけれど、いまビデオで見直した。そして、また鳥肌が立った。なんだ「あの」フェイントは・・何だ、「あの」スーパークロスは・・
もちろん中村俊輔以外にも、齋藤学とドゥトラで組む「左サイドのタテのコンビネーション」とか、中町公祐、富澤清太郎、兵藤慎剛で組む(まあ兵藤はサイ
ドの上がり気味ハーフだけれど・・)ミッドフィールドトリオ、最前線でスーパーなポストプレーやストライカーぶりを存分に魅せつづけるマルキーニョス等な
ど、書きはじめたらキリがない。
だから、今日は、こんなところで締めま〜す。
あっと、マリノスの「登り龍の勢い」だけれど、それが活性化するキッカケの一つに、リーグ開幕ゲームのベルマーレ戦があったと思っている筆者なのですよ。
そのゲームについては、このコラムを参照してくださいネ。
それでは、また〜・・
===============
重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
==============
ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
-
[ トップページ ] [
Jワンポイント ] [湯浅健二です。
]
[ Jデータベース ]
[トピックス(New)] [
海外情報 ]