トピックス


2013_ナビスコ準決勝・・自らを「壊して」いくことで、相手をもっとボロボロに壊してしまう・・というサッカー的な現象!?・・(フロンターレvsレッズ、 3-2)・・(2013年9月7日、土曜日)

サスガに風間八宏、とても的確なキーワードを披露した。曰く・・

 「サイドからガンガン仕掛けて、相手を壊せ・・といって森谷賢太郎を送り込んだんですよ・・」

 「壊す!?・・それは素晴らしいキーワードだと思いますよ・・でも、相手を壊すこともそうだけれど・・まず、自分たちから壊れていけ!・・じゃ、なかったですか?」

 「壊す・・」という表現を聞いて、思わず、風間八宏に、そんな問いかけをしちゃったですよ。

 風間八宏は、その質問に対して、微妙に頷いていたっけね。あははっ・・

 この試合、最後は、まさにエキサイティングそのものというドラマチックな大逆転マッチへと成長していった。

 でも、実は、後半にレッズが追加ゴールをブチ込んだ(後半2分)後も、フロンターレは眠ったままだったんだよ(二つの失点をブチかまされても覚醒しなかった!)。

 この試合のフロンターレは、後半15分を過ぎたあたりまで、完全に「寝ていた」んだ。それが・・

 でも、まず、全体的なゲームの流れから、大雑把に振り返っておきましょうか。

 前半のゲームの流れは、両チームともに、まったくと言っていいほど、ボールがないところでの動きが活性化しなかった。

 要は、完全に「静」の均衡状態という、まさにアクビが出るような展開だったんだ。

 とはいっても、何度かは、レッズがチャンスを作りだした。だから、静かな展開のなかでも、実質的な「流れ」はレッズにあったという表現が正しいかもしれない。

 そして結局は、原口元気からの、本当に目を見張るスーパーな「タテパス」が決まり(宇賀神友弥が、そのタテパスをダイレクトで流した!)、最後は、それ まで何度か、決定的スペースへ飛び出すことでチャンスの芽を作りだしていた興梠慎三が、ズバッ!と先制ゴールをブチ込むことになった。

 前半45分のことでした。

 とにかく、全体的には沈滞したゲームだったけれど、その唐突な先制ゴールによって「動く」かもしれないという期待が生まれたんだ。でも・・

 そう、後半2分に、レッズの興梠慎三が追加ゴールを挙げちゃうんだ。それでも、前述したように、フロンターレからは、何かが「動く」ような目立った気配が、感じられなかった。とても失望させられたネ。でも・・

 そう、冒頭で書いたように、森谷賢太郎が登場してから、ゲーム展開が、風雲急を告げはじめたんだよ。

 フロンターレのサッカーが、急激に活性化したんだ。急に、彼らの運動量が2倍にも跳ね上がった・・なんていう感じ。

 そしてフロンターレが、ガンガンとレッズを押し込みはじめる。

 ・・大久保嘉人だけじゃなく、誰でも、前にスペースがあれば、躊躇することなく、突破ドリブルやワンツーコンビネーションをブチかましていく・・それに呼応して、周りの味方も、誰もが、決定的スペースへ飛び出していく・・

 ・・それだけじゃなく、シュートチャンスとなったら、そのシューターの周りに、何人もの味方がサポートに入ってきたりする・・そんな感じ・・

 ・・実際に、シュートがこぼれた先には、どこからか降って湧いたように、「常に」フロンターレ選手がいる・・なんていう流れになっていったんだよ・・

 ・・そして、実際に、追いかけゴール・・同点ゴール・・逆転ゴールと、あれよ、あれよという間に、ゲームを、大逆転ドラマへと成長させちゃったんだ・・

 その時わたしは、そんな、誰もが驚く「ゲーム展開の急激な逆流」という現象について、思いを巡らせていた。

 もちろん、森谷賢太郎という「大いなる刺激」が、フロンターレ全体を(それまでの沈滞ムードを!)強烈にブチ壊し(ブチ破り)、チームのダイナミズムが、爆発的に高揚しつづけた・・というのは確かだよね。

 もちろん、そこには、2点をリードされ、もう行くしかない・・という選手たちの意識もあったはず。でも、その「意識・意志」は、カラのなかに閉じ込められていた。それをブチ破る刺激をもたらしたのが森谷賢太郎・・だったのかもしれないね。

 だから、風間八宏に対して、「壊したんじゃなく・・自分から進んで壊れていったんでしょ・・」と聞いたわけです。

 そう、それまでのゲーム(チーム)戦術的な「規範」など、クソ食らえ・・っちゅうプレー姿勢。

 とにかく、そのときのフロンターレには、「誰もが、リスクへチャレンジしていくゾ!」なんていう強烈な意志が、充ち満ちていたんだよ。

 だからこそ、次のディフェンスでのエネルギーも、何倍にも増幅した。ディフェンスとオフェンスのダイナミズムが、まさに相乗的に、そして爆発的に膨張しつづけたんだよ。

 そして、その(自分たちの規範をブチ壊すことで発生した!?)次元を超えたエネルギーによって、レッズをガンガンと押し込んでいったというわけだ。

 まあ、サッカーじゃ、よくある現象だけれど・・ネ。

 とはいっても、レッズも、押し込まれるだけじゃなく、しっかりと押し返していったよ。そして、カウンター気味の仕掛けから、何度か追加ゴールをゲットできるような惜しいチャンスも作りだした。

 このことについては、ミハイロも主張していた。押し込まれてはいたけれど、何度かは、押し返してチャンスを作りだしたってね。たしかに、それは認める。

 あんな雰囲気のなかでも、しっかりと押し返してチャンスを作りだしたレッズは、その意味では、立派だった。

 ということで、このゲームのテーマは、「自分から壊れていくことで、相手を、もっとボロボロに壊してしまう・・」という、サッカー的な現象についてでした。

 まあ、ちょっと分かり難いかもしれないけれど、ヘネス・ヴァイスヴァイラーが、何度も私に言っていたように、相手を「勘違いさせる」ことこそが、イメージ的なターゲットなんだ・・ということか。

 まあ、この試合でのレッズは、そこまでボロボロに「壊された」わけじゃなく、前述したように、立派に押し返していったから、典型的な「サッカー的現象」とは、微妙にニュアンスが異なるけれどね。

 まあ、とにかく、様々な視点で、とても興味深い、大逆転ドラマではありました。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームでは、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしました。

 一つは、毎回違う一つのテーマを深める「コア・コラム」。

 そして、もう一つが、私の「バイオグラフィー」。この連載は、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノに出来れば・・と考え、近々、取り敢えずスタートすることにしました。

 たぶん今月の末あたりからになりますかね。

 そのときは、「トピックス」に告知しますし、そのページに、リンクボタンも張りますよ。請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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