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2013_「Jリーグ中継」のカメラワークについて・・リーグがはじまる前に・・(2013年2月25日、月曜日)

皆さんもご存じのように、これまで、事あるごとに、Jリーグのテレビ中継における「寄り過ぎのカメラ・ワーク」について苦言を呈してきました。

 もう、かなりの頻度で、このテーマを取りあげて書いてきた。それでも、改善されないゲームが、まだまだ多すぎる。

 このコラムは、プレシーズンマッチを観ての感想です。

 もちろん、しっかりと「考えて」カメラワークをマネージしている方々がいることは知っています。でも、そんな優れたカメラワークが主流になっていかない。どして??

 とにかく、フラストレーションが溜まりに溜まっちゃうんですよ。イチバン楽しみたい「ボールがないところでのエキサイティングなドラマ」が観られないんだからね。

 まさに、半径20-30メートルといった寄り過ぎのカメラワーク。そして、ボールの動きに合わせて、カメラを「ブン回す」んだ。ホント、フザケンナよ〜・・だよね。彼らには、視聴者の「楽しみ」を奪う権利なんてないでしょ。

 そんな、ボールの動きばかりを「追いかける」カメラワークだから、当然の帰結として、ボールがないところでの、パスレシーバーとディフェンダーのせめぎ合い(だまし合い)は、まったくといっていいほど楽しめない。

 そしてカメラは、出された(ロング)パスを追いかけ、次の瞬間には、ディフェンダーか、攻撃側のパスレシーバーのどちらかが「先に」ボールに追いつくシーンが目に入ってくる。そう、「結果」しか観られないカメラワーク。フ〜〜・・

 サッカー中継カメラワークの「質」だけれど、何といっても、UEFAチャンピオンズリーグが素晴らしい。まあ、イングランドで行われるゲームを除いてだけれど・・ね。

 UEFAチャンピオンズリーグの中継を任されているディレクター&カメラマン諸氏は、ボール周りのドラマだけじゃなく、ボールがないところでの、スペースをめぐるせめぎ合いまで、とてもタイミングよく「カメラ内に収め」ちゃうんだよ。

 カメラマン(もちろんディレクターも!)は、サッカーを知っている。

 だから、ショート&ショート・・という展開が「予想」されるシーンではカメラを寄せ、ロングパスが出るような展開に「なりそう」になったら、すぐにカメラを「引いて」、遠くの、ボールがないところでのせめぎ合いをカメラに収めちゃう。

 それに対して「J」のテレビ中継では、まだまだ多くのゲームが、半径20-30メートルという「寄り過ぎのカメラワーク」が多いと思うのですよ。

 だからプレシーズンマッチは、フラストレーションが溜まるから、あまり観てない。

 まあ・・ね、とはいっても、たしかに全てのテレビ中継を観ているわけじゃないから、「十把一絡げ」でモノを語るのはフェアじゃない・・という、ちょっと後ろめたい感覚もあります。

 「J」中継のなかには、とても素晴らしいカメラワークもあるわけですからね。でもネ・・フ〜〜・・

 そうそう・・、先ほど、テレビ関係の知り合いの方とランチをご一緒させてもらったんですよ。その席でも、もちろんカメラワークの話題になった。

 そこで彼が言うには、ボールがないところのドラマまで視野に入れるようなカメラワークの場合、サッカーを知らない上司から、後で、「そんなアングル じゃ、視聴率を取れないだろ・・視聴者は、もっと身近にプレイヤーと彼のボールコントロールを観たいはずなんだから・・」などと叱責されることがあるらし い。

 ナルホド・・。それでは、ディレクターの方も、カメラマンの方も、引いたアングルでの映像作りには二の足を踏むだろうな〜・・

 まあ、実際のところは分かりません。とにかく、ホンモノの「サッカー観戦文化」を浸透させたい(私も、テレビ観戦でもある程度は満足したい!?)と思っていることだけは主張したく、こんなコラムをアップした次第。

 どうだろうネ〜、「J」中継のテレビ映像作りを改善するためには、やっぱり、視聴者の方々から、寄り過ぎのカメラワークに対する「目立ったブーイング」の起きる必要があるということなんだろうね。

 だから私も、このテーマに関する議論が、視聴者の方々から湧き上がってくることを願いつつ、しつこく「このテーマ」を取りあげるわけなのですよ。

 あっと・・最後に・・。

 ホンモノの「サッカー観戦文化」のプロモートだけれど、そのためには、テレビ中継の解説者も、努力しなければいけないと思いますよ。

 寄り過ぎのカメラワーク中継であったとしても、解説者が、カメラでは捉えられていなかった「ボールがないところでのせめぎ合いドラマ」を、言葉で、分かりやすく表現するとか・・ネ。

 とにかく、サッカー(スポーツ)文化がより振興していく(より広め、浸透させていく!)ための努力を怠ってはいけないと、自戒を込めて主張させていただいた筆者なのでした。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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