トピックス
- 2014_天皇杯決勝・・最後は明確な地力の差が雌雄を決したけれど・・(ガンバvsモンテディオ、3-1)・・(2014年12月13日、土曜日)
- ヨシッ!!
そのとき思わず声が出た。そう、後半17分に、モンテディオのロメロ・フランクが、ガンバに対して1点差に詰めよる「追いかけゴール」を決めたときのこと。
「これで、モンテディオ山形のモティベーションが倍増し、ゲームがもっと白熱するに違いない・・」なんて思ったわけだ。でも・・
そう、その「追いかけゴール」によって、強烈に堅いガンバ守備ブロックの集中力と、今野泰幸と遠藤ヤットの「バランサー・コンビ」の機能性も、二段階シフトアップしてしまったんだよ。
そして、その時間帯まで「勝負の流れ」を押し返していたモンテディオが(とはいっても、裏スペースを突くような明確なチャンスは、その追いかけゴール以外では作れていなかったけれどサ・・)、逆にガンバに押し返されはじめたっちゅうわけだ。
まあ、その現象は、失点に刺激されたガンバが、チーム総合力どおりに、ゲームのイニシアチブを握り返しはじめたとも表現できるでしょ。
それでも、モンテディオは立派だったね。
1点差に詰め寄られたガンバが、積極的に押し返しはじめたことを体感しているにもかかわらず、ボールを奪い返すたびに、勇気をもってリスクにチャレンジしていったんだ。
だからこそ、サイドからの切り崩しから、最後にディエゴが決定的なダイレクトシュートをブチかます・・なんていう本物のチャンスまで作りだせた。
追いかけゴールが決まるまでのモンテディオは、申し訳ないけれど、ガンバ守備ブロックのウラに広がる決定的スペースは、まったくと言っていいほど攻略できていなかったからね。
でも彼らは、決して諦めることなく、チャレンジをつづけた。それは、それで、とても立派であり、感動的でさえあった。
ちょっと、ニュアンス的に錯綜しているように感じられるかもしれないけれど、とにかく、モンテディオの追いかけゴールを境に、様々な視点で、ゲームが本当の意味で「動的な均衡状態」に入りはじめたということが言いたかった。
もちろん前述したように、全体的なゲームの流れではガンバがイニシアチブを握ってはいる。
でも、だからこそ、逆にモンテディオが勇気をもって攻め上がり、本物のチャンスを作り出したコトが特筆だと強調したかったわけだ。フ〜〜ッ・・
まあ、いいや。
とにかく、ゲーム終盤の、エキサイティングな「動的均衡」というテーマも強調したかった筆者なのですよ。
そうじゃなければ、このゲームは、攻守にわたって、とても積極的なサッカーを展開したモンテディオだったけれど、結局は、宇佐美貴史とパトリックという、ガンバが誇る「個の才能」によって、奈落に突き落とされた・・なんていう、「単純な構図」で語られちゃうでしょ。
たしかに、カウンターも含めたガンバのチャンスのほとんどは、この二人が演出したよね。
石崎信弘さんは、「ゲームの入りは良かった・・でも結局は、ガンバの個のチカラにやられた・・」なんて表現していた。
そう、最初の頃は、ガンバの二つの才能は、しっかりとマークされていたんだよ。でも、10分も過ぎたら、徐々にマークが甘くなっていった(肝心な勝負どころでのマークの間合いが開きすぎてしまっていた!!)。そして・・
それにしても、宇佐美貴史が2点、パトリックが1点。そしてこの両人は、そのゴール以外にも、それぞれ一本ずつ、完璧な「シュートのカタチ」を作り出していた。
その両方とも、この二人「だけ」で演出したよね。そう、交替に、パサーとレシーバーになった。
そしてガンバが、余裕の「2対0」リードを奪う。
そんな状況だったから、私は、ガンバ中盤の底の「ゴールデン・コンビ」、今野泰幸と遠藤保仁が魅せつづける素晴らしいバランサーぶりに、舌鼓を打っていたんだよ。
でも、そんな、ゲームの雌雄が決した・・」っちゅう雰囲気が、冒頭の「追いかけゴール」によって、にわかに風雲急を告げはじめたっちゅうわけだ。
そして、ガンバ中盤「ゴールデン・コンビ」の機能性も、見せ場が増えていったというわけだ。
もちろん、今野泰幸が、チト後ろ気味。そして、そのバックアップを受けた遠藤保仁が、より積極的に前のスペースへ進出し、攻守にわたって、「勝負どころ」を狙いつづける。
守備では、次のチェイス&チェック(味方にボール奪取を狙わせるハードワーク!)だけじゃなく、美しいインターセプトや、相手トラップの瞬間にブチかますアタックのタイミングを狙う。
また攻撃では、深さや強弱など、様々な「組み立てプロセス要素」をコントロールしながら、前戦の「天才」を上手く活用しようとする。
そんな遠藤保仁と今野泰幸の、メリハリの効いた「バランサー&ゲームメイカー」振りからは、来年1月オーストラリアで開催されるアジアカップでの活躍が目に見えてくるようだった。とても頼もしく感じたものです。
ところで、ガンバの天才。
そう、宇佐美貴史と、パトリック。
私は、シーズン終盤におけるガンバ躍進のキーは、選手タイプの「組み合わせの妙」にあったと思っています。もちろん、中盤のメンバー構成。もちろん、長谷川健太が、シーズン終盤に掛けて、そのメンバーを固定したことも含めて・・。
ツートップの天才コンビ(宇佐美貴史とパトリック)と、中盤の底の「スーパー・バランサー」コンビ(今野泰幸と遠藤保仁)。
そして、その間で、攻守にわたって効果的なハードワークを積み重ねる「汗かき」コンビ(阿部浩之と大森晃太郎)」。
理想的な、選手タイプ(プレーイメージとマインド!?)の組み合わせじゃありませんか。
特に、遠藤保仁のゲームメイク振りには、前述したように、シャッポを脱がされた。「お見事〜っ!!」の一言だね。
もちろんガンバ最終ラインも、素晴らしい機能性を魅せつづけたっけ。
彼らは、決して背後のスペースを突かれたりしない。また、常に、「次・・その次・・のカバーリングと最終勝負」を明確にイメージしつづけている。
だから、「その時点でマークしている相手選手」に固執しすぎたり、ボールウォッチャーに成り下がってしまうことが少ない。
本当に、よくトレーニングされているチームだ・・と思う。
あっと・・、その意味じゃ、モンテディオ山形も、勝るとも劣らない。
長谷川健太と石崎信弘に、乾杯っ!!!
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最後に、宇佐美貴史。
日本を代表する「個の才能」だよ。それは、私も含め、誰しもが認めるところでしょ。
でも彼は、どんな相手でも、高い確率で、抜き去って置き去りにしてしまうような大天才、「ディエゴ・マラドーナ」じゃない。
これは、日本代表のハナシだよ。
そこで対峙するのは、世界の強者ディフェンダーだからね。
宇佐美貴史自身がヨーロッパで体感したとおり、そんな「世界」を相手にしたら、彼もまた、攻守ハードワークにも精進しなきゃ、役に立たないばかりか、日本代表チームにとっての大いなるブレーキ(お荷物)になっちゃうっちゅうわけだ。
まあ、ヨーロッパの一流半リーグに移籍し、ベンチを温めている柿谷曜一朗も、同じ課題を抱えているということだね。
その宇佐美貴史というテーマについては、以前、新連載「The Core Column」において、「こんなコラム」を書いた。興味がある方は、ご一読アレ。
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ところで、先日、高円寺のパンディットという「トークライブハウス」で、ブラジルW杯の「ナマ対談本」に絡めて、後藤健生さんと対談をやったんですよ。
アナウンス(事前の告知)が足りず、参加していただいた方は少なかったけれど、その対談全体が、「You Tube」にアップされましたので、お知らせします。
2時間近くも話しまくったのですが、その第一部が「こちら」で、その第2部が「あちら」です。
- また、下記の「ナマ対談本」についても二人で語っている部分があるのですが、編集部が、それを、このように「編集」したのだそうです。まあ、ということで「こちら」もご参照アレ。あっと・・ 新刊の基本情報については、「こちら」をご参照ください。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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