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- 2014_W杯(18)・・集中豪雨とドイツ・・(2014年6月26日、木曜日)
- ヒエ〜〜ッ・・こりゃ、大変だ〜〜・・
今日は、グループGの勝負マッチ、ドイツ対USAをスタジアム観戦するために、レシフェの「Arena Pernambuco」へ行かなければいけない。でも・・
そう、ここレシフェでは、朝から大豪雨に見舞われ、ベッドから起き出したときには、家の周り全体が「水浸し」になっちゃっていたんですよ。
その道路に駐車しているクルマを見たら、タイヤの半分以上が水につかっている状態。これは、冗談抜きでシリアスだ。
何せ、そこまで水が深いと、ヘタしたら、エンジンが止まってしまう可能性があるんだよ。
そのメカニズムまでは、よく分からない。もちろんキャブレター(燃料噴射装置)に水が入ることはないとは思うけれど、エンジンが噴(ふ)き上がらなくなってしまうとか・・、そんな経験は、今までに何度もある。
だから、とても焦った。キックオフは、午後1時。起き出したのは7時頃。まあ、そのときは、雨は止んで、すぐに水も捌(は)けるだろう・・なんてイージーに考えていた。
でも、時間が経つにしたがって、不安が増大していったんだ。何せ、雨は強くなるし、水の深さも、どんどん上がっているように感じたからね。
だから急いで朝食をとり、シャワーを浴びて出発することにした。そのときは既に9時を回っていた。
そして出発してすぐに、そのシリアスさを体感することになったんだよ。
とにかく水が深い。また水が捌(は)ける気配なんて、まったくない。そして後方からは、例によっての「アイルトン・セナ」が煽(あお)ってくる。それも、今度はバスドライバーだぜ。
「バカヤロ〜ッ!! 何をあおってやがるんだ〜っ!!」
思わず、叫んだ。そして・・
そう、こちらも思わず、「日本版アイルトン・セナ」よろしく、ハンドルを操作して牽制したんだよ。そしたらバスもブレーキを掛けて離れていった。
「バカヤロ〜ッ!!」
そのとき、もう一度、そんな叫びが口をついた。
何せ、そのとき、私のクルマのエンジンが、例によって、噴き上がらなくなってしまいそうだったんだ。だから、クラッチを切り、思い切りアクセルを踏み込んでエンジンを噴かそうとしていたところだったんだよ。
そして、やっとエンジンが回復しかけたところに、「あのバカヤロ〜ッ!!のバスドライバー」が後ろから煽(あお)ってきたっちゅうわけだ。そりゃ、アタマにくるでしょ。
その後は、やっと、冠水していない自動車専用道路に入ることができた。そして周りを見たら、多くのクルマが「エンコ」してるじゃないか。
みんなボンネットを開けて、何か見ている。そんなことしたって、簡単には回復しないよ・・。そう思った。とにかく私も必死だったんだよ。
この、道路が水浸しの状態と、エンジンが噴き上がらなくなる現象との関係性について、もし分かる方がいたら教えてくださいネ。
でも、クルマのディスプレイには、「黄色の警告ランプ」が点灯しつづけている。不安だ・・。
そして、無事にメディアの駐車場へ到着し、溜息をついていた。でも、まだ、それで終わったわけじゃない。
そう、黄色の警告ランプ。もしかしてエンジンに問題が発生した!? それじゃ、帰れなくなっちゃう。
ちょっとエンジンを噴かしながら待った。2、3分。そして意を決してエンジンを止めたんだよ。
そのときの不安といったらなかったネ。これでエンジンが回復せずに掛からなくなってしまったら・・
でも、少し待ってからセルを回したら、エンジンが、元気にスタートしてくれたんだよ。また、黄色の警告ランプも点かなくなった。フ〜〜ッ!・・、ドイツ戦の前に「これ」かよ・・。
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さて、ということでゲーム。
実は、最後の時間帯は、気が気じゃなかったんですよ。
私は、USAもサポートしていますからね。彼らにも是非決勝トーナメントへ駒を進めて欲しかったんです。
状況は、USAがドイツに1点ビハインド。ということは、勝ち点「4」のままで、ガーナ対ポルトガルの勝負がついたら「得失点差」の争いになる。
最後の時間帯。
ガーナ対ポルトガルは、「1-1」だったんだよ。もし最後にガーナが決勝ゴールを挙げたら、USAと、勝ち点でも得失点差でも「並ぶ」。でも、そのときは総ゴール数が多い方が上位にランクされるんだ。
ということは、もしガーナが「2-1」でポルトガルに勝ったら、彼らが決勝トーナメントへ進む。フム〜〜・・
だから気が気じゃなかったんですよ。でも最後の最後(後半35分)に、クリスティアーノ・ロナウドが、決勝ゴールを決めた。
そこで初めて、今度は、ミロスラフ(クローゼ)の歴代総得点記録の更新を意識したっちゅうわけです。とても、自分勝手な筆者なのでした。
ということで、ドイツ。
たしかに、強〜い。
前半だけでも、6回は、「ドイツらしいチャンス(後述)」を作りだした。だから、ゴールを決められない彼らを観ながら、違和感一杯だった。そして、こんなことまで思ってしまった。
「1982年スペインW杯グループリーグ第三戦の西ドイツ対オーストリア戦」のような(!?)談合の出来レースじゃないだろうな・・。
でも、やっぱり私の思い過ごしだったようです。スミマセン・・。
ということで、ドイツ。
彼らの、組織プレーと個人勝負プレーが高質にバランスしたサッカーは、サッカーの王道を行くオーソドックスな攻撃サッカーと呼ぶに相応しい。
たぶん、「自分たちのサッカーを貫く・・」という視点じゃ、今大会のドイツは、傑出した存在だと思うよ。
もちろん今日は、前段で書いたように、レシフェにしては涼しい気候だったことが味方したという側面も否めない。
そういえば、ガーナ戦・・
ドイツが、ガーナに「タジタジ」になったフォルタレーザは、とても蒸し暑かっただけじゃなく、ドイツが先制ゴールを決めちゃったというバックボーンもあった。
要は、ドイツが一点リードしたことで、ガーナに「火を点けちゃった・・」ということです。
それにしても、「あの」ガーナは、凄(すさ)まじかった。彼らがブチかましつづけたプレッシング(意志のパワー)は、レベルを超えていた。今大会では、もっとも印象深かったサッカー内容の一つだったよね。
まさに、ホンモノの心理ゲームであるサッカーの面目躍如ってな感じ。
あっと・・ドイツ。
彼らの強さを表現する形容句は、多岐にわたる。前述したようにね。
まあ、この「ドイツ」というテーマについては、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。既に読まれた方には、しつこくてスミマセ〜ン・・。
だから、そんなチーム戦術的な(一般的な!?)形容句じゃなく、今日は、より具体的な「戦術シーン」を抽出しようと思う。
キーワードは、トラバースクロス。
要は、サイドゾーンの深くまで攻め入ってから、ゴール前へ送り込む、ゴールラインに平行な、鋭い勢いのラストクロスのことです。グラウンダーでも、浮き球でも・・
そのラストクロスがゴールラインに平行に飛ぶから、私は、トラバースクロス・・って呼ぶことにしている。
そのトラバース・クロスが送り込まれる最終勝負の瞬間。例外なく、相手ゴール前には、2人、3人と、ドイツ選手が飛び込んでいく。
もちろん、相手ディフェンダーの後方から、最後の瞬間に彼らの「眼前へ飛び出していく」ような最終勝負フリーランニング。
とにかく、「そのカタチ」になった次の瞬間は、全てのチームエネルギーが、パサーとフリーランナーたちに乗り移っていく・・っちゅうイメージ。
この最終勝負シーンは、皆さんも、明快にイメージできますよね。
ということで今日は、そんな最終勝負のトラバースクロスが入れられるまでのプロセスイメージまでディスカッションを広げましょう。
要は、サイドゾーンを「深くえぐって」送り込まれるラストスロスのバックボーンとしての「ドイツ特有」のプロセス。
それは、こんな感じ。例えば・・
・・まずドイツは、一旦センターゾーンにボールを集めることで、相手守備ブロックをセンターゾーンに集める・・
・・そして、そこから、(再び!?)サイドへ展開するのだけれど、その展開パスを受けた選手のプレーがキーポイントだね・・彼は、必ずといっていい程、ダイレクトで、ゴール前へ「トラバースクロス」を返すんだよ・・
・・その、ダイレクトでリターンパスを返すというのがキモだね・・そう、大きなワンツーコンビネーション・・
・・ドイツは、チーム全体が、この「大きなワンツー」というプロセスを明確にイメージできている・・だから、一旦ボールがサイドへ展開された(次の!?)瞬間には、何人ものフリーランナーたちが、主体的に最終勝負アクションを起こすんだ・・
・・それも、多くのケースで、トラバースクロスが返されてくるっちゅうわけだ・・そんな、素早いダイレクトパスを駆使したサイドへの「揺さぶり」もまた、ドイツの真骨頂なんだよ・・
あと、最後に、ポドルスキー。
前半のドイツ攻撃陣では、まったくといっていいほどポジションチェンジが出てこなかったけれど、その元凶は、ポドルスキーだった。
彼が、左サイドゾーンに「フタ」をしているから、周りの動きも出てこなかったんだよ。それじゃ、ドイツの良さが半減しちゃうでしょ。
そんなポドルスキーを観ながら、「早く交替させろよ!」なんて心のなかで文句を言っていた。そしたら、ホントに、ヨアヒム・レーヴが、前半だけで交代させてしまった。
ポドルスキーは、もっともっと出来るのに、いつから「あんなに怠惰なパッシブタイプ」になっちゃったんだろう。アーセナルでの日々は、彼にとっては、そんなにポジティブじゃなかったっちゅうことか。
とにかく、様々な選手タイプの「変化」を観察しながら、自分自身の学習機会としても、大いに活用している筆者なのです。
家長昭博や宇佐美貴史に対する「ブレイクスルーの期待」も含めてネ。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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