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- 2014_W杯(30)・・強かったネ〜、ドイツ・・(2014年7月8日、火曜日)
- ハッ!!
そのとき、瞬間的に、気を失ってしまったようだ。あまりにも突然だったから、まさに気を失ったように・・って感じた。
要は、ちょっと目を閉じた瞬間に、スッと眠りに落ちてしまったんだよ。そして、なにかの拍子に(多分カメラマンの大きなレンズが身体にぶつかった!?)ハッと気付いた。フ〜〜ッ・・。
そういえば、サンパウロからベロ・オリゾンテまでの長距離バスのシートが気持ちよくなかったことで、長く眠れなかったんだっけ。
先日、リオ・デ・ジャネイロからサンパウロへ帰ってきたときの「フルフラット寝台バス」は、とても気持ちよく熟睡できたけれど、今回のシートは、それとはチト違った。
別のバス会社なんだけれど、先日のエピソードで書いたとおり、緊急事態だったから、パス会社を選んでいる余裕などなかったんだ。
リオからのバスは、まさにフルフラットの個室ってな趣(おもむき)だった。でも今回は、前後のシートの間隔が「伸ばされた」だけってな感じ。それに、値段も高い。
たしかに、フルフラット「的」にはなるけれど、前回のような気持ちよさはないんだよ。
それは、ヘッドサポートの「盛り上がり」が邪魔で、身体を伸ばしきったら、首が、変なカタチにサポートされて曲がってしまうからなんだ。
まだ神経痛が完全に治っていないから、その微妙な「首の曲がり」が気持ち悪く、徐々に肩から腕にかけて、痺(しび)れや痛みに悩まされるようになってしまうんだよ。だから、何度も、浅い眠りから覚めてしまう。
結局、身体を折り曲げるようにして首のカタチを安定させることで、もっとも気持ちよい「体位」を見つけ出せはしたけれど、そのときはもう、後1時間で到着ってなところまで来てしまっていた。
そしてメディアセンターの記者席で、コラムの導入部を書きはじめたり情報を探ったりしていたとき、目を閉じた瞬間に「気を失ってしまった」っちゅう体たらくだったのです。
帰りも同じバス会社のシートで、それも、フラットシートの「Leitoバス」じゃない。いまから気が滅入る。フ〜〜ッ・・。
あっと・・試合だった。でも・・
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フ〜〜ッ!!
皆さんもご覧になったとおり、この試合のポイントを整理するのは簡単じゃない。でも、とにかく「いま」考えていることを、ランダムにまとめますよ。
全体的には、まあサッカーだから、こんなこともあるサ・・っていう感じ。
でも、とにかく、「あの」ブラジルが、こんなになっちゃうんだ〜・・という感情的な印象の方が強すぎて、うまくロジカルな分析に入っていけない。
たしかに、このブラジル代表は、(もしチアゴ・シウバがいればのハナシだけれど・・)守備は強いよ。でも、攻めに入ったときの「偏り」も、大きかった。
彼らは、ネイマールに代表される個の「仕掛けドリブル」だけじゃなく、チアゴ・シウバやダビド・ルイスからの一発ロングで前線へボールを供給し、「そこ」で基点を作り出して仕掛けていく・・なんていうイメージも強かった。
そしてドイツ戦。
スタンドからの膨大なスピリチュアル・エネルギーに後押しされるかのように、最初から積極的に攻め上がっていくブラジル。
でも、その仕掛けプロセスには、中途半端さの方が目立っていた。そう偏った攻め。
要は、個のドリブル勝負が「仕掛けイメージの中心になり過ぎている・・」ということだけれど、でも今日は、ネイマールはいないんだゼ。
にもかかわらず・・イメージを変えられない。
ある報道じゃ、ブラジルが、より「組織プレー」の方へイメージを転換する・・なんてことが取りざたされていたけれど、フタを開けてみれば・・。
私は、そんなコト(個から組織へ!!)出来ハズないって思っていた。何せサッカーは、イメージの連動性が「命」だからね。
そのイメージを整理し、再構築して徹底させることなんて出来るはずがない。
そんなだから、ドイツ守備が、ブラジルの仕掛けを余裕をもって受け止めちゃうのも道理。何せ、ドイツがイメージしている通りの攻めを仕掛けてくるんだからね。
そして、その「ドイツ守備の余裕」が、次のカウンター気味の組織コンビネーションを加速させていくんだよ。
まあ、先制ゴールは、コーナーキックだったけれど、それにしても、トーマス・ミュラーが、まったくフリーだった。
普通だったら、あり得ない。ブラジルには、チアゴ・シウバがいない!! フ〜〜ッ・・。
そしてリードされたことで、攻め急ぐようになっていく(前に重心が掛かり過ぎていく!?)ブラジル。
それも、個の仕掛けドリブルと、単純なタテパスばかり。そんなだから、途中でドイツの連動プレスによって、簡単にボールを失っちゃうのも道理ってわけだ。
そして繰り出される、破壊的な、ドイツの組織的ショートカウンター。そこでは、あくまでも、人とボールを動かしながらの組織コンビネーションを機能させていくんだ。
何人ものドイツ選手が、「クリエイティブなムダ走り」を繰り返すんだよ。そして、だからこそ、人とボールが、ダイナミックに動きつづける。
そんなだから、「前に重心が掛かり過ぎている!?」ブラジル守備ブロックが、簡単にウラを突かれてしまう(スペースを攻略されちゃう!)のも自然な流れだった。
そんなジリ貧の展開にかかわらず、もっと、バランスを欠いたカタチで、ゴリ押しの攻めを仕掛けようとするブラジル。それも、個の仕掛けドリブルと、最後の瞬間に送り込む、ラストスルーパスというイメージが主体なんだぜ。
でもサ、スペースへ走り抜けようとフリーランニングをしているのが「一人だけ」じゃ、無理だよ。
それって、あまりにも単純な(単発の!)仕掛けじゃありませんか。
「あの」忠実でダイナミックなドイツ守備が、そんな単純なスルーパス&フリーランニング(まさに単発だよ!)でやられるはずがない。
だから、ラストスルーパスを受けようと、全力スプリントでスペースへ抜け出そうとする(フリーランニングを仕掛ける!)ブラジル選手だけれど、全力で守備へもどってきたドイツ選手に、完璧にマークされてしまうんだ。
それだけじゃなく、(いや・・もっと悪いことに!?)「そこ」でボールを失っちゃうだけではなく、必殺のショートカウンターまでもブチかまされちゃうんだよ。
何せ、ブラジルは、全体的に「前へ重心がかかり過ぎているからね。
そんな展開のなか、ミロスラフ・クローゼの、歴史に残る2点目が決まるっちゅうわけだ。
たしかにキッカケはショートカウンターではなく、スローインだったけれど、逆サイドへ展開し、そのまま組織コンビネーションを炸裂させたんだから、状況は、とてもショートカウンターに似ている。
このゴールシーンだけど、そこでは、ミロスラフ・クローゼをマークしていなければならなかったマイコンが、走り込むミロスラフの背中を見ざるを得なくなっていた。
要は、マークを怠ったということだけれど、そんな決定的なシーンで「それ」だからネ、何をか言わんやだ。フ〜〜ッ・・
そこから、ドイツの「ショートカウンターの嵐」が吹き荒れていく。
そして、ドイツが3点のリードを奪ったあたりから、ブラジルの意志のパワーが半減したと感じた。
もちろん「それ」は、守備でのチェイス&チェックの勢いが極端にダウンしたことを意味する。
何せ、ブラジルの一人が、ドイツのボールホルダーにプレスを掛けても、周りのチームメイトたちのディフェンスのアクションが、まったく連動しないのだから・・。
それに対してドイツは、嵩(かさ)に掛かって、連動プレスを最高レベルで機能させつづけるんだ。
彼らには見えていた。そのときのブラジルには、もう「個人勝負」しか残されていないということが見えていた。だからこそ、嵩(かさ)に掛かってボールを奪いにいった。
そんなシーンを観ながら思った。(冒頭でも書いたけれど・・)あのブラジルでも、こんな風になっちゃうんだ〜・・。
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もしかしたら、この大会は、様々な意味で、初物づくしっていうコトになるのかもしれない。
まず何といっても、ワールドカップの準決勝以降で、ホストカントリーが、このような大敗を喫したこと(まあ、1958年スウェーデン大会でもペレの活躍で、ブラジルが5-2でホストカントリーのスウェーデンを撃破したコトはあったけれど・・)。
また、ミロスラフ・クローゼが、怪物ロナウドの「歴代総ゴール数」の記録を塗り替えたこと。
そして何といっても、もしかしたら、南米の大会でヨーロッパチームが優勝するかもしれないこと。
フ〜〜ッ・・。
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私は、後半がどうなるのかと、心配していた。
こうなったら、勝敗なんていう視点など、まったく意味を為さない。そこで問われるのは、ブラジルの意志とプライド。
ブラジルが「さらし者」になってしまうのか、歴史的な意味で、そして哲学的な意味でも、世界のレスペクトを勝ち取るのか・・。
もちろんブラジルは「サッカーの王国」。その意味合いには、まったく変化はないはずだけれど、そこには、以前のように、テクニックの大きな差がないという事実がある。それは、重い。
だから私は、ブラジルの「意志のプレー」を追いかけた。それが、組織的に連動していくのかどうかを追いかけた。そして思った。そりゃ、行き過ぎだろ〜・・。
そう、積極的に仕掛けていくのはいいのだけれど、前後のバランスが完璧に崩れてしまうのだよ。それもまた、組織プレー的な「センス」だからね。
そんなブラジルだけれど、たしかにチャンスは作り出す。でも結局は、ドイツのスーパーGKノイヤーの名声を高めることに貢献するばかりになってしまうのだよ。
そして逆にドイツが、(そんな展開では!)理の当然というカウンターチャンスを、着々と追加ゴールに結びつけていく。
「あの」ブラジルが・・
いまは、ちょっと、それ以上の「思い」を絞り出すことができない。帰りのバスのなかで反芻しよう。
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最後に、強い(強くなったドイツ)というテーマについて・・
しつこいですが・・、そのバックボーンについては、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」もご参照アレ。
それでは、また明日・・
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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