トピックス
- 2014_W杯(31)・・3度目となる「ドイツ対アルゼンチン」の決勝・・それにしても、この準決勝での緊張感は尋常じゃなかった・・(2014年7月9日、水曜日)
- またまた、メディアセンターで眠ってしまった。
でも今回は、大住良之さんが、デスクに置いた荷物を見ていてくれたから、安心して、気持ちのよいソファーに身を沈めることができたという次第。
デスクの椅子でも、背もたれの上辺に肩胛骨を「押しつければ」、神経痛をある程度は抑え込むことができる。でも、そのためには、例によって浅く腰掛け、ふんぞり返るような格好で座らなければならない。だから、お尻がすぐに痛くなる。
でも、メディアセンターに設(しつら)えてあるソファーセットや、もう何度も私のコラムに登場した、発泡スチロール座椅子に腰を下ろせば、まさに天国なのです。
だから、デスクに置いた荷物を大住良之さんが仕事をしている最中、ちょっと見ててもらったというわけでした。
あっと・・
そうなんですよ、昨日のコラムで書いたように、帰りのバスのシートが、寝込むには厳しかったんです。もちろん、神経痛さえなければ、どんな格好でもしっかりと寝られるんだけれど・・。
そして早朝に長距離バスターミナルに到着し、友人宅でシャワーを浴びて着替えてから、市内のメディアホテルで朝食をとり、そのままメディアバスでスタジアムへ移動したという次第。
まだ試合まで5時間もあるタイミング。でも、メディアセンターのデスクのほぼ半分は埋まっている。サスガにワールドカップだ。
あっと・・、でもまあ、昨日のベロ・オリゾンテ(ブラジル対ドイツ)での混雑ぶりから比べれば、まだスペースがあるっちゅう感じ。
サスガに、世界中が注目した勝負マッチではあった。
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さて今日は、サンパウロで行われたもう一つの準決勝、アルゼンチン対オランダをスタジアム観戦です。
その勝負マッチは、本当にチカラの入った「守り合い」になった。
いや、この表現は適当じゃないかもしれない。それよりも、最高の集中力が、最後の最後まで途切れない、素晴らしい「テンション(緊張感)マッチ」だった・・なんていう表現の方がいいかも。
でもまず、私が選ぶ、この試合の「MVP」から。私は、何といっても、アルゼンチンのマスケラーノを推しますよ。
まあ実際には、PK戦で2本のオランダPKを止めたアルゼンチンGKのロメロが選ばれたみたいだけれど、私にとっては、マスケラーノこそが、この「テンション・マッチ」のコノテーション(言外に含蓄される意味)の象徴的な存在だったと思っているわけです。
最後の瞬間まで諦めない抜群のカバーリングだけじゃなく、後方からのゲームメイクや、チャンスを見計らっての、ドリブルでの攻め上がり・・等など。
私は、そんなマスケラーノのプレーぶりを、心から楽しんでいた。そのこともあって、私は、アルゼンチンの勝利を喜んでいたのです。
まあ・・ネ、延長後半の残り5分となったところで、まったくフリーで抜け出したパラシオがヘディングシュートを放ったり、直後にロドリゲスが決定的なシュートを放ったりと、アルゼンチンが決定機を作り出したこともあるよね。
それに対してオランダも、残り1分というところで、カイトが、これまた決定的なシュートを放ったけれど、私は、全体的に優劣つけ難いゲーム内容であったにもかかわらず、アルゼンチンが自ら掴み取った勝利だったとすることに躊躇(ちゅうちょ)しないのですよ。、
それにしても、両チームともに、素晴らしくディフェンスを機能させつづけた。
実は、この延長後半、残り5分というタイミングで(最後の最後で集中が途切れたことによって!?)唐突に出現してきた両チームのチャンスだけれど、そんな決定機は、そこまでの115分間、まったくといっていいほどなかったんだよ。
まあ、メッシのギリギリのフリーキックと、オランダが放った強烈な中距離シュートはあったけれど、その両方とも、GKの(ほぼ)正面に飛んでしまったからね。
・・そんなところが全体的な「印象」ではありました。
ということで、ここからは、ポイントをいくつかピックアップしましょう。
まず何といっても、両チームの「スーパードリブラー」が、完璧に「抑え切られてしまった・・」というポイント。
もちろん、メッシにしてもロッベンにしても、何本かは「抜け出したシーン」はあった。でも、結局はチャンスに結びつけられずに潰されてしまった。
それは、最初に抜け出したところまでは良かったけれど、そこから、シュートまで行ける可能性が「薄かった」だけじゃなく、周りのチームメイトたちの動き(パスレシーブのフリーランニング!)も、相手ディフェンスによって、完璧にマークされていたからなんだよ。
そう、高質なカバーリングと、ボールがないところでの忠実なマーキング。それが、完璧に機能しつづけていたんだ。
そんなところもまた、「極限のテンション・マッチ・・」と呼ぶにふさわしい現象だったと思う。
次は、この二人の天才ドリブラーに対する、両チームの「対応」に違いがあったというポイント。
まず、メッシ。
彼は、デ・ヨングが、意識的にマークしつづけていた。
もちろんオランダが攻撃に移ったら、デ・ヨングも、しっかりと攻めの流れに乗っていくけれど、アルゼンチンにボールを奪われ、そこからメッシへパスが回されそうになったら、スッと、メッシへ寄っていくんだよ。
もちろん、メッシがボールを持ったら、老練なディフェンスの見せ所。決して「安易に」アタックを仕掛けたりせず、あくまでも「粘り強く付いていく」んだ。
もちろん何度かは抜かれるシーンはあったけれど、そこからの「リカバリー」が素晴らしかった。そう、粘り強く追いかけ、再びマークに付いたりする。もちろん、そんな危急シーンでは、周りのチームメイトたちも、連動カバーリングに駆けつける。
そんな「粘りの連動ディフェンス」が、まさに、メッシの才能を「完璧に抑制」してしまったっちゅうわけだ。
そんな「メッシ対策」は、デ・ヨングが、クラシーと交替してからも変わらず、高い機能性を魅せていたっけ。
それに対して、オランダの天才ドリブラー、アリエン・ロッベン。
アルゼンチンは、彼を抑えるのに、効果的にマークを受けわたす方法をとった。
もちろん、その時点でロッベンのマークを「意識」するアルゼンチン選手は、つかず離れずという感じで、ロッベンへパスを回させようとする。
そう、タイミングのよいインターセプト狙い。
でも、ロッベンにボールが渡ったら、そこからは、粘りのマーキングと、周りの連動カバーリングが本領を発揮する・・っちゅうわけだ。
ことほど左様に、この試合では、この二人の天才ドリブラーは、まったくといっていいほど、彼らの本領を発揮できなかった。
このテーマについても、また日本に帰ってから、深掘りすることにしよう。
ところで、アグエロやディ・マリアの不在を補って先発したラベッシ。
とても良かった。たしかに、「ディ・マリア」にはなり切れなかったけれど、それでも、実効レベルでは、とても効果的な代替プレイヤーとして存在感を発揮していたんだよ。
この試合については、とにかく、両チームの徹底した戦術サッカーというのがメインテーマだったのであります。
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この「結果」についてだけれど、私は、決勝が「ヨーロッパ対決」にならなくて、本当によかったと思っています。
ドイツ対アルゼンチン。これまでに、2度もワールドカップ決勝で対決し、一勝一敗という結果が残っている。
まあ当時は「西ドイツ」だったけれど・・。
とにかく、もし南米のワールドカップで、ヨーロッパのチームが優勝すれば、歴代の「総ゴール数」の記録を塗り替えたミロスラフ・クローゼとともに、ワールドカップ初ということになるのですよ。
いまから胸が高鳴るじゃありませんか。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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