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- 2014_W杯(35)・・さて決勝・・ギリギリのせめぎ合いだったけれど、結局ドイツが(ミロスラフの記録更新も含めて)歴史を作った・・私はハッピーな感覚に包まれていた・・(2014年7月13日、日曜日)
- いまの情緒を表現したら、まず何といっても、「フ〜〜ッ!」と、「ホ〜〜ッ・・」だろうな〜。
もちろん嬉しい。ドイツは、私の第二の故郷だし、ドイツ代表は、疑いなく、今大会のベストチームだったからね。
その「ベストチーム」の意味合いについては、(本当にしつこいけれど・・あははっ・・)新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」を参照して下さい・・ネ。
そんなベストチームのドイツだったけれど、実際のゲーム展開は・・
前半のゲームの趨勢(すうせい)。
それが、どんどんアルゼンチンへと傾いていったんだよ。そう、アルゼンチンのゲーム戦術が、「ツボ」にはまったんだ。
ドイツの攻め方を完璧にイメージした「組織的な連動ディフェンス」。そして、カウンターで、次々とチャンスを作り出していく。
ドイツは、自分たちのサッカーで仕掛けていこうとはするけれど、まったくといっていいほど機能せず、うまくチャンスを作り出せない。
それに対してアルゼンチンは・・
それは、まさに戦術サッカーがツボにはまったとしか言いようがない展開だった。
そのカウンターの主役は、もちろんメッシ。そして後半からはアグエロも加わった。
もちろん、ボール支配という視点では、ドイツがイニシアチブを握っているけれど、それは、単にボールキープ率というだけ。
そう、「ボールを持たされているドイツ・・」てな具合なんだ。その傾向は、誰が見ても明らかだったでしょ。
そしてアルゼンチンは、虎視眈々と、ドイツの「ボールの動きの不備」を狙いつづけるんだよ。
それにしてもアルゼンチンの守備は素晴らしかった。さすがに、アルゼンチンの伝統だ・・と感じさせられた。
とにかく、次、その次のボールの動きを、的確に「読み」、そしてものすごく忠実にカバーリングの環を、効果的に働かせるんだよ。
決して、高い位置でボールを奪い返そうというイメージの攻撃的な「連動プレス」じゃない。
あくまでも、守備組織をカチッと固め、そして、オーソドックスに、ボールホルダーへのチェイス&チェックを忠実に実行しながら、周りが「次」、「その次」を予測し、忠実に、まさに忠実にボール奪取を狙いつづけるんだよ。
そう、インターセプトや、相手トラップの瞬間を狙ったアタック、はたまた、チャンスを見計らっての連動プレス。その機能性が、ほんとうに素晴らしかった。
それは、まさに「忠実な創造性(想像性)ディフェンス」ってな表現がピタリと当てはまる連動ディフェンスだったね。
そんな強力なディフェンスだから、ドイツも、仕掛けの流れを完結できないだけじゃなく、途中で、自分たちのイメージとは、かけ離れたカタチでボールを失っちゃうんだ。
そしてアルゼンチンは、計ったような足許パスをメッシへ送る。もちろんそこからは、言わずもがなの、メッシショーだ。
それにしてもメッシ。確かに世紀の天才だよ。
屈強なドイツディフェンダーが、まったくアタックのタイミングを掴めずにズルズルと後退していくだけじゃなく、中途半端なアクションを起こしたところを、目にもとまらない早業で「逆を取られて」置き去りにされてしまうんだからね。
そんな感じでメッシは、常に、少なくとも一人、そして二人のドイツ人を「置き去り」にしてしまうっちゅうわけだ。
だから、特に前半は、まさにアルゼンチンの「思惑」がピタリとツボにはまりつづけたっちゅう具合なんだよ。
もちろんドイツも、2度ほどチャンスを作り出した。1つは、セットプレーから、ポスト直撃弾。もう一つは、アルゼンチンが攻め上がった逆を突いたカウンターからのクロス攻撃。
そんなゲーム展開を観ながら思っていた・・
・・そうそう、両チームともに、チャンスはカウンターからしか出来ないよな・・だからアルゼンチンのペースと言えるけれど・・
でも、そんなアルゼンチンの戦術サッカーのツボに「嵌(は)められていた」ドイツだったけれど、前半の終盤になってから、徐々に、本当の意味でのチャンスメイクの流れができるようになっていったんだ。
ドイツ的なチャンスメイクの流れ・・。
それは、もちろん人とボールが動きつづける素早い組織サッカーをベースに、中央突破のコンビネーションだけじゃなく、サイドゾーンを攻略し、そこから、「トラバース・クロス」や、逆サイドゾーンを狙うオーソドックスなクロス。
ドイツも、徐々に、そんなシーンを演出できるようになっていったんだよ。
そして、ニアポストゾーンに飛び込んでくるトーマス・ミュラーのアタマを狙ったりする。
でも後半は、アグエロが入ったアルゼンチンが攻勢に出ていくようになったね。
そんな流れのなかで、ドイツを応援する誰もが肝を冷やす絶対的ピンチシーンが・・
そう、唐突に、裏へ抜け出した完璧フリーのメッシへスルーパスが通ったんだ。
そのとき、ドイツを応援する誰もが、「アッ・・やられた・・」と身体を硬くしたに違いない。
でも、あろうことか、「あの」メッシがキックミスをしちゃうんだよ(後で記者席のテレビを観ていたら、アレは狙いすぎだったのかもしれないと思い直した!)。
それは、W杯のプレッシャーだった!? さて〜〜・・
その後は一進一退。そしてゲームは、順当に延長へ突入していった。
そこからのゲーム展開が、とても興味深かった。ドイツが、自分たちのサッカーで、ゲームを支配しはじめたんだよ。
もちろんアルゼンチン守備ブロックは、しっかりと組織をつくって対応し、アグエロやメッシを中心にカウンターを仕掛けていく。
そんな展開を観ながら、心配していた。またまた、アルゼンチンのゲーム戦術のツボにはまっちゅうんじゃないか・・ってね。でも・・
そう、アルゼンチンのカウンターに、前半のような「勢い」がないんだ。アグエロが入ったにもかかわらず・・ね。
これは、帰国してからビデオを見直すしかないけれど、ドイツが、しっかりとアルゼンチンのカウンターを抑制しはじめたということなのかもしれない。ということは、ドイツが「本当の意味」で、ゲームを支配しはじめたということか・・。
「なか4日」と「なか3日」の違い!? そう、準決勝が2日にわたったから、アルゼンチンの休みが1日少なかったんだよ。
どうだろうね・・
そして決勝ゴールが決まる。
このシーンでは、何といっても、シュールレの、勇気を爆発させたドリブル突破が秀逸だった。
左サイドを、ドリブルで駆け上がるシュールレ。たまらず、二人のアルゼンチンディフェンダーが、寄せてくる。
そのことで、中央ゾーンに入り込んでいた、マリオ・ゲッツェが、完璧にフリーになっちゃうんだよ。そこへ、シュールレから、計ったようなラストクロスが飛んだ。
後は、皆さん観られた通りです。マリオの、ワントラップ&ボレーシートは素晴らしかった。
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とにかく、この決勝は、どちらに転んでもおかしくない、とても、とてもエキサイティングな勝負マッチになった。
戦術サッカーがツボにはまったアルゼンチン・・
その戦術サッカーによって「自分たちのサッカー」が抑制され、どうやって打開していったらいいのか、迷いに迷ってしまったドイツ・・
そして、ドイツ守備のミスから、イグアインが、まったくのフリーシュートシーンを迎えただけじゃなく、カウンターの流れから、何度か、決定的なシュートへの流れを創りだしたアルゼンチン・・
でも徐々に、自分たちのサッカーを思い出し(要は、選手たちの足が動きはじめたことでボールも活発に動きはじめ!!)、効果的な攻撃を仕掛けていけるようなったドイツ・・
また、セットプレーという武器があったことを再認識しはじめたドイツ・・
でも、動的に均衡したゲームは、両チームともに、効果的な打開策を見いだせずに延長に突入し、そこからダイナミズムを取り戻していったドイツ・・そして・・
まあ、もちろんPK戦に突入したっておかしくない「雰囲気」ではあったけれどネ・・
私は、そんなゲーム展開に、最後の最後まで、手に汗握って観ていた。そして「決勝ゴールが入ったとき」、だからこその次元を超えた喜びが身体を包み込んだ。
でも、声は発しなかったし、ガッツポーズも出なかった。
何故だか分からないけれど、多分、「これは、くるっ!!」て確信したからなんだろうね。だから、その瞬間、身体を硬くして見入った。フ〜〜ッ・・
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これから、またまた夜行バスでサンパウロへ戻ります。帰国は、この週末になるかな。そしたら、すぐに「J」が始まる。
神経痛が、まだ完全に癒(い)えていないから、しばらくはオートバイは無理だね。だから、電車で観戦しに行くことになりそうです。
とにかく、「こんな状態」でも、ブラジルW杯を最後まで見届けることが出来たことに、心の底から満足し、ハッピーな感覚に包まれていた筆者なのでした。
では、皆さん、また日本で・・
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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