トピックス
- 2015_ACL・・ソ・ジョンウォンとの興味深いコミュニケーション・・また、後半生き返ったレッズで目立っていた選手を何人かピックアップ・・(レッズvs水原、1-2)・・(2015年4月21日、火曜日)
- イタリア人のフリーランスジャーナリスト、チェーザレ・ポレンギさんが、私が聞きたかったことを質問してくれた。曰く・・
・・このことは、J・リーグの試合後の記者会見でも、よく質問するのですが、いま日本のクラブチームは、韓国のクラブに勝てないという事実があります・・それはどうしてだと思いますか?・・悪い癖なんでしょうかね(笑)・・
まあ、たしかに、そこには何か「クセ」に近い心理ファクターがあるのかもしれない。
そんなポレンギさんの質問に対し、水原ソ・ジョンウォン監督が、とても格調高く、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれたっけ。曰く・・
・・「J」の選手は、スキルのレベルはとても高い・・でも世界では、それにプラスして、フィジカルとスピードが、とても重要なファクターになってくる・・
・・そのファクターが、もっとも如実に見えてくるのが、セカンドボールの競り合いだ・・ゲームの流れを制するという意味合いで、セカンドボールの競り合いが、とても重要な意味をもってくる・・その視点で、世界とアジアの「差」の本質は、「そこ」にあるのかもしれない・・
・・そのファクターが充実すれば、「J」のクラブは、彼らの高いスキルに見合った本来のチカラを存分に発揮できるようになるはずだ・・別な見方をすれば、韓国選手は、スキルでは日本に劣るかもしれないが、意志の部分では上回っているとも言えそうだ・・
いいね〜、ソ・ジョンウォン。
さすがに、高麗大学を卒業してプロサッカー選手になり、ヨーロッパでも、フランスやオーストリアで活躍したキャリアを感じさせてくれるじゃないか。もちろん韓国代表でも、長い間、主力を張っていた。
だから、聞いた・・
・・いまのソ・ジョンウォンさんのコメントに刺激されたから聞くのですが・・いま言われた意志の部分・・わたしは、不確実だからこそ、サッカーは意志のスポーツだと表現します・・
・・そして、その意志の部分で、韓国チームは、いつも日本に対して一日(以上の!?)長をもっていた・・それって、社会環境や、社会文化などとリンクしている要素だと思いませんか?・・
そんな私の質問に対し、ソ・ジョンウォンさんが、真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれたっけ。曰く・・
・・意志という視点ですが、たしかにそれは文化からの影響は大きいと思います・・以前の韓国チームは、その部分で、とても強かったと思います・・心理・精神的に強かったんですよ・・
・・でも、いまの若いジェネレーションは、その闘う意志という意味合いで、心理的に後退していると感じています・・
・・ハナシは変わりますが、私はヨーロッパでプレーしていたことで、ヨーロッパとアジアの差の本質もまた、その意志というファクターに、かなり関わりがあると体感していました・・
・・私は、水原のチームを、その視点でもしっかりと鍛えていると自負しています・・だから水原のゲームでは、後半に良くなること(闘う意志がアップすること!?)も多いんですよ・・
・・そう、疲れがピークに達する最後の時間帯でこそ、強烈な意志のプレーを展開できるというわけです・・個のチカラでは大差なくても、それを支える意志が強ければ、グラウンド上の現象には、おのずから違いが出てきますからね・・
とても興味深いコミュニケーションだった。
あっと・・試合。
皆さんも観られたように、前半は、西川周作が「神様」になってくれたお陰で、ゼロ失点でしのげた。内容は、ミハイロが言うように、今シーズン最低だった。
でも、後半立ち上がりからの選手交代で、レッズが、まったく違うチームに生まれ変わり、ゲームを「深い」ところまで支配しながら先制ゴールまでブチ込んでしまうんだよ。
この時点で、誰もがレッズの勝利を確信していたに違いない。
それこそが、ミハイロ・ペトロヴィッチのウデというわけだけれど、でもその後、水原が、まさに、唐突な同点&逆転ゴールを奪ってしまったという次第。
その同点ゴールシーンでは、ヘディングシュートを決めた水原の選手が、まったくフリーという体たらくだった。
あの場面は、誰がケアーすべきだったのか。
後でビデオで確認してみよう。
これは大事な「学習機会」だから、選手諸君にも、しっかりとビデオ認識作業(=イメージトレーニング)を徹底して欲しいと思っている筆者なのです。
でも・・サ、その後の逆転ゴールについては、まさにツキに見放されたっちゅう印象の方が強かったけれどね・・。
まあ、仕方ない。
ということで最後に、後半に得られた、個人的なポジティブポイントをまとめようと思います。
まず、高木俊幸。
これまで、サイドゾーンに「張り付く」ばかりで活動量が(攻守ハードワークが!)少なく、ボールをもっても、リスクにチャレンジするのではなく、バックパスや横パスに「逃げて」しまう・・という、プロにはあるまじきプレー姿勢にアタマにくることが多かった。
でも、2列目のセンターに入った(限りない自由を与えられた!?)後半では、まったくの別人になったと見まがう程に「積極的に攻守ハードワークを探し」つづけるだけじゃなく、ボールをもっても、常に、勇気をもってリスクにチャレンジしていった。
そんな後半のプレー内容で、私の、高木俊幸に対するイメージが、大きく好転した。良かった。
そうそう、仕事(ハードワーク)を探しつづけるプレー姿勢というテーマだけれど・・
ここでは、守備プレイヤー、永田充と青木拓矢にスポットを当てよう。
彼らについても、ひどかった前半と比べ、後半は、大きくプレー内容が好転したというポジティブな印象をもった。
チェイス&チェック(守備ハードワーク!!)はもちろんのこと、カバーリングや協力プレスだけじゃなく、最後の勝負の瞬間にも、決して集中を切らすことなく、危ないポイント(相手選手)を正確にイメージし、しっかりと抑え込めるだけの「強烈な意志」を魅せた・・と思う。
あくまでも印象だけれど、とにかく、(ヒョウヒョウとプレーする!?)この2人には、以前から、積極的に仕事を探すための「闘う意志」という視点で、ものすごい不満があったからね。
ということで、このゲームの後半では、何となく希望がもてるような感じになったことで少しハッピーになっていた筆者だったのですよ。
とにかくディフェンダーには、流れのなかでのハードワークだけじゃなく、決定的な最終勝負シーンで、いかに決定的瞬間のイメージを脳裏に描き、それを、強
烈な意志をもって(その時点でマークしていた相手を放り出してでも!!)、正確に、そしてダイナミックに「トレース」していけるのか・・というクオリ
ティー(イメージングと実行力)も要求されるんだよ。
そう、数日前のマリノス戦の後半に、阿部勇樹が魅せた、ギリギリのカバーリング(ヒールで相手シュートを弾き出した奇跡のディフェンス!!)とかネ・・。
とにかく、永田充と青木拓矢は、とても能力が高い。
でも今までは、「闘う意志」に、大きな課題があった。だから使われなかったし、チームからも十分に信頼されていなかった。
だからこそ、彼らには、強烈な「イメチェン」が必要なんだよ。
そのイメチェンは、もう何といっても、日常のトレーニングにおいて、強烈に「自己主張」することでしか達成できない。
この、とても能力の高い(それアグラをかいている!?)2人には、そんな根源的な課題を見つめ直して欲しいと思っている筆者なのでした〜。
では、また。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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