トピックス
- 2015_アジアカップ(17)・・行ってきました美術館・・でもまず、キングス・クロス地区のハナシから・・そして異文化接点コミュニケーション・・(2015年1月25日、日曜日)
- さて、昨日コラムにも書いた、NSW(ニュー・サウス・ウェールズ)州立ギャラリー(美術館)。
でも、その前に、ホテルがあるキングス・クロス地区についてのハナシをしましょう。
そこは、まさに、新宿の歌舞伎町のようなところなんですよ。実は、ホテルに入ってから、そのことに気がついた。
一昨日の、日本戦の後。
失意のなか、夜中の1時半ころに、そのキングス・クロスまでバスで戻ってきたのですが、降り立った瞬間に、その盛況ぶりにビックリさせられた。
オーストラリア人だけじゃなく、多くの観光客も含まれているんだろうけれど、女性もふくめて、とにかく「オーバーサイズ」の人々が群れているんだよ。
質量のある連中が、歓楽街の店から道路へ「はみ出し」、大声で談笑しているんだよ。その迫力は、推して知るべしでしょ。
また、ホテルのすぐ近くにある、ディスコと思(おぼ)しき店の前では、何やらポリスが慌(あわ)ただしい動きをしていた。
事件か!?
興味があったから、その場で野次馬になることにした。誰かが殴り合いのケンカをはじめということだったけれど、そこでの展開を見守っていたら・・。
すぐに女性ポリスが寄ってきて、「立ち去ってください!!」って追い出しに掛かるんだよ。フ〜〜ッ!! まあ、仕方ない。
でも昼間は、まったく普通の、単に人通りの多い道だよ。そう、歌舞伎町のようにね。
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ということで、美術館。
ここも、メルボルンの国立美術館同様に、とても良かったですよ。全体的にとても落ち着いた雰囲気。日本の、芸術・美術・工芸品の所蔵も多かった。
私は、ゆっくりと、あくまでもゆったりと歩きながら、芸術とコミュニケートしていた。あっ・・ゴメン・・そんな気取った表現をするなんて・・鳥肌が立っちゃうじゃないか(笑)。フ〜〜ッ・・
まあ、とにかく、気に入った「何か」を探すように、ゆったりとした時間を過ごしていたんだよ。
また、疲れたら、至るところに用意されているベンチに座り、メディテーションに入り込んだりもしたかな(あっ・・またまた気取った表現・・ゴメン・・)。
そして、一つのベンチに30分以上座り、まわりの雰囲気を楽しんでいたときのことです。
「アナタは・・ですか?」
この美術館の学芸員と思(おぼ)しき、初老の紳士が寄ってきて、私に話し掛けてきたんだ。とても分かりやすい発音。でも、言っていることが、分からない。
そんな〜・・。こんなに明瞭な発音の英語なのに、言っているコトが分からないなんて。それって、イディオマティック(慣用句的)な表現なんだろうな。そこで・・
「申し訳ありませんが、アナタが言っている意味が理解できないんですよ・・」
そしたら、その初老の紳士が、また、まったく同じフレーズで、何かを聞いてきたんだよ。そして私も、またまた・・
「いえ、発音と単語は分かるのですが、その意味が理解できないんです・・」
すると、その紳士が、表現を変えた。
「Are you lost ? (迷ったの?)」だって。もちろん、それは分かる。
ところで、彼が使った、イディオマティックな表現。それが、思い出せない。
私も知っている、いくつかの一般的な単語を組み合わせることで(それ全体で!)、単語一つひとつの意味とは関係のないニュアンスを表す「慣用句的表現」。まったく知らなかった。
そこじゃ、チト、自分の英語力に自信が持てなくなったっけ。フ〜〜ッ・・
「いえいえ、休んでいただけです・・まあ、ちょっと長めに座っていましたかネ・・スミマセン、ご心配をかけて・・」
そしてそこから彼が、堰を切ったように話し掛けつづけるんだよ。芸術のこと、オーストラリアのこと、この美術館のこと。私は、よく分からないから、聞くだけ。そして正直に・・
「私は、芸術に対する造詣は深くないんですよ・・実は私は、日本から来たジャーナリストで、今回のアジアカップの取材で来ているんです・・でも今日はオフですから・・」
「そうですか、アナタは日本人ですか(そのとき、彼の表情が、とても柔らかくなったような気がした・・)・・」
「ということは、準決勝で、我々のサッカールーと対戦するのですね?」
サッカールーとは、オーストラリア代表サッカーチームの愛称で、多分、サッカーに、カンガルーの「ルー」を語尾に付けた表現だと思う。
「エッ!?・・日本はもう負けちゃいましたよ・・一昨日のことです・・だからオーストラリアは、明後日ニューカッスルで、我々を倒したUAEと対戦するのです」
「エッ・・ホントですか?・・日本は負けたんですか?・・信じられない・・それで、どんな風に??」
そのとき、近くを通りかかった他のオーストラリア来訪者の方が、すぐに反応してくれた。彼には、我々の会話が聞こえていたんだね。
「PKのシュートアウトですよ・・私も、スタジアムで、そのゲームを観戦していたんです・・あれほどゲームを支配して、何本も決定的チャンスを作り出した
のに・・私には、日本の敗戦が、本当に信じられませんよ・・本当に、とても、とても残念です・・私は、日本とサッカールーの準決勝を心待ちにしていました
からネ・・」
とても、嬉しく、癒(いや)される言葉だった。だから、その方に・・
「日本のことを評価していただいて、本当に、有難うございます・・とても元気をいただきました・・これから私は、残ったチームのなかで、もっともハイレベルで質の高いサッカーを展開しているオーストラリアを応援するつもりです・・」
「そうですか、それは心強い・・我々には、ティム・ケーヒルもいますしね・・」と、その方。
私は、その言葉に、ボタンを押されてしまった。
「そう、天才ティム・ケーヒル・・我々日本は、過去15年間、彼に苦しめられつづけたんですよ・・とにかく、彼の天才を止めるのは至難のワザですからね・・」
「そうですよね・・彼は、そんなテクニックがあるわけじゃないけれど、とにかくゴールを奪うことでは、とても秀でた才能の持ち主ですよね・・」
その、通りすがりのオーストラリア人紳士と、ハナシが弾むこと、弾むこと。
側で聞いている美術館の学芸員の方も、フムフム・・と、我々の会話に頷(うなづ)いていたっけ。
「とにかく、お互い、最後までアジアカップを楽しみましょう・・」
誰が言ったんだっけ?
まあ、誰でもいいや。とにかく、その言葉で、我々3人は、それぞれ三方向へ分かれていったっけ。
ところで、その、自然発生的なコミュニケーション。
後から、それこそ、サッカーが、人類史上最大のパワーを秘めた、最高の「異文化接点」であることの証明だったじゃないか・・なんて思い返したっけ。
そう、人類史上最高の「異文化接点」、サッカー・・という視点。
このテーマについては、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」もご参照アレ。
さて明日から準決勝だ。
- PS: あっ、そうそう、「My Biography」も今日アップしたのでした。何せ、日本代表が負けてしまったからね。少しは余裕が・・
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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