トピックス
- 2015_日本代表・・このゲームでは、強化ディフェンスに苦労する日本という見方は正しくない・・(日本vsシンガポール、0-0)・・(2015年6月16日、火曜日)
- フ〜〜・・まあ、仕方ない・・
私は、このような「構図」の勝負マッチと遭遇した場合、常に、チャンスメイクの内実(量と質)という視点でゲームを分析することにしている。
そう、シュートへ結びつく「スペース攻略の内実」という視点。
ということで、この日本対シンガポール戦は、決して、格下相手の引き分けという「結果」をベースに語るべきゲームではなかったと思っているわけです。
何せ日本代表(これからはハリル・ジャパンって呼びましょうかね)は、あれだけ集中して守備ブロックを固めてきたシンガポール相手でも、まったく動じることなく、自分たちの武器を、しっかりとグラウンド上で主張したと思うのですよ。
そう、彼らは、決して様子見になどなることなく、常にタテへの仕掛けをイメージし実行していく「意志のプレー」をブチかましたんだ。
何度彼らが、シンガポール守備ブロックを「崩し切って」決定的シュートをブチかましたことか。
中央ゾーンでの、素晴らしいパス&ムーブを駆使するダイレクトコンビネーション。
またサイドゾーンでは、「タテのポジションチェンジ」をベースに、優位なカタチに持ち込むことで効果的なドリブル勝負&クロス(orシュート!)をブチかましていく。
たしかに、ヴァイッドが望んでいたような「効果的サイドチェンジ」は少なかったかもしれないけれど、それを補って余りあるほどの、サイドゾーンでの想像的&創造的な仕掛けだったんだよ。
だからこそ・・
そう、その決定的チャンスをしっかりと決められなかったことを、限りなく、「運」という神様ファクターに委ねようと思うわけです。
ヴァイッド・ハリルホジッチも、同じような感覚だったでしょ。
もちろん彼は、グラウンド上の現象に対して全責任を負う「監督」だから、上記のようなニュアンスを我々に「押しつける」ようなことは出来ないし、彼は、やらなかった。でも・・
そう、こんなニュアンスのコメントはあったよね。曰く・・
・・我々は、19回も決定的チャンスを作り出した・・でも、それを決められなかった・・選手たちは、全力で、良いプレー(リスクチャレンジ)を展開し、そして、チャンスという結果に結びつけた・・でも、ゴールだけが決まらなかった・・
また彼は、ゲーム後すぐに、選手たちに対してこんな語りかけをしたという。曰く・・
・・選手たちには、タイムアップ直後に、素晴らしいプレーとサッカーだったと語りかけた・・このゲームは、下を向くような内容じゃない・・逆に、このようなゲームが出来たことを誇りに思っていいい・・オレも、諸君を、心から誇りに思う・・
いいね、ヴァイッド。
もちろんメディアのなかには、結果「だけ」を受け、偏った記事を書く方たちもいるでしょ。
・・これまでのアジア予選では、守りを固める相手を崩せずに苦労するゲームがあった・・この課題をどのようにクリアしていくのだろうか・・等など・・
でも・・サ・・
たしかに、これまでは、(勝負のかかった試合での!)アジア諸国の強化ディフェンスに対して、足が止まって「攻めあぐむ」ような不甲斐ない内容の勝負マッチも多かった。
でも・・
繰り返しになるけれど、このゲームの内実は、そんな「ゲーム展開タイプ」とは、明確に一線を画したモノだったんだ。
彼らは、最後の最後まで、人とボールが、タテ方向へ素早く(!!)動きつづける(タテへ仕掛けていく!)ダイナミックな組織(コレクティブ)サッカーを魅せつづけてくれたんだ。
まあ、皆さんも見られた通り、このゲームは、まさに「This is Football !!」だったということでしょ。
そうそう、ヴァイッドは、こんなニュアンスの内容もコメントしていたよね。曰く・・
・・こんなゲーム展開じゃ、多くのケースで、相手のワンチャンスに沈んでしまうような「事件」も起きがちになる・・でも今日は、そこまでは行かなかっ
た・・その意味でじゃ、ツキに恵まれていたとも言えそうだ・・フフッ・・(最後の含み笑いは筆者の脚色でした〜・・失礼・・)
私は、このゲームの結果が、これからの「ハリル・ジャパン」の進化&深化にとって、クリエイティブな(心理=意志の)エネルギー源になるに違いないと思っています。
ヴァイッド・ハリルホジッチには、「脅威と機会は表裏一体・・」という普遍的なコンセプトを体現できるだけの優れたパーソナリティーが備わっていると思うのですよ。
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ということで、ここからは、メモから拾ったポイントをいくつか・・
・・ゲーム最後の時間帯・・
・・太田宏介のクロスが、とても危険で効果的だった・・彼は、何度か、ドリブルでタテへ抜け出すようなリスクにもチャレンジした・・彼は、このゲームでも、日本代表を「補強する戦力」であることを如実に証明した・・
・・たしかに前半にも、チャンスが多かった・・
・・前半16分の、長谷部誠のボール奪取からのカウンター・・やはり、相手守備ブロックのバランスが崩れた状況を突いていくのが、もっとも効果的な仕掛け・・
・・また、中央ゾーンでの素早いコンビネーションや、サイドゾーンでの突破から、香川真司や長谷部誠のミドルシュート・・香川真司の(完璧フリーの!)ダイレクトシュートなどが飛び出した・・
・・また宇佐美貴史も、攻守ハードワークも含め、このゲームでも、彼が秘める「価値の高さ」を証明した・・
・・というか、両サイドの、宇佐美貴史と本田圭佑をコアにした仕掛けは、とにかく、常に「何らかのチャンスの芽を感じさせられる」という意味合いでも、ハリル・ジャパンにとって素晴らしい武器になっている・・
・・とにかく、ハリル・ジャパンでは、人とボールの(タテ方向への)素早くクリエイティブな「動き」が素晴らしい・・だからこそ、個の才能も、素晴らしく活きる・・
・・要は、ドリブル勝負を、より効果的に(より優位な形で!)仕掛けていけるようなシチュエーションを作り出せるということ・・まあ、パスを、ある程度フリーで受けられる状況を頻繁に演出できる(!)とも表現できるかな・・
・・後半のチャンス・・
・・後半早々・・宇佐美貴史のドリブル勝負からのクロス・・決定的なカタチ・・
・・後半6分・・またまたカウンターから、宇佐美貴史が起点になったワンツーが決まる・・そこで岡崎慎司から戻されたボールを宇佐美貴史がダイレクトでミドルシュートをブチかますも、大きく「ふかして」しまう・・まさに絶対的なチャンスだったのに・・残念・・
・・後半10分・・カウンター気味に(相手守備ブロックが整わないうちに!)左サイドを攻め上がった太田宏介が、素早いクロスを上げる・・岡ア慎司のフリーヘディングシュート・・惜しい・・
・・後半17分・・またまた宇佐美貴史のドリブル勝負からのクロス・・本田圭佑の決定的ヘディングシュートにつながる・・でも相手GKの正面・・フ〜〜・・
・・後半22分・・太田宏介のコーナーキック・・ファーサイド側で本田圭佑にピタリと合う・・完璧なヘディングシュート・・でも、またまた相手GKのスーパーセーブが・・フ〜〜・・
・・その他にも・・槙野智章のフリーヘディングシュート・・コンビネーションから飛び出した柴崎岳からのラストクロスを、フリーで叩いた香川真司のダイレクトシュート・・本田圭佑の抜け出しから、最後は、岡ア慎司のフリーシュート・・決まらず・・
あっと・・
やっぱり悔しさばかりが残っているんだろうね、最後は、「タラレバのシーン描写」の羅列になってしまった。失礼・・
ということで、とにかく、「脅威と機会は表裏一体・・」というコンセプトに則り、この悔しい体感を、次につなげて欲しいと節に願っている筆者でした。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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