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2015_日本代表・・前半は鈍重だったサッカーが、後半は良くなった・・また、宇佐美貴史という天才についても、ちょっとだけ・・(日本vsウズベキスタン、5-1)・・(2015年3月31日、火曜日)

またまた、良かった〜・・

ハリルホジッチは優れたプロコーチだし、日本サッカーにとって、(この時点で・・また様々な周辺環境や条件を踏まえても!!)とても大きなプラスをもたらしてくれるに違いないと確信できる。

そんな(様々な意味合いで!!)理想に近い「ストロングハンド」が、最初の仕事で、内容だけじゃなく、素晴らしい結果「も」出したんだから。

とにかく、これからの彼の仕事が「やり易くなる」ことには、ものすごく意義深いコノテーション(言外に含蓄される意味)が内包されているんだよ。

でも・・

そうなんですよ。私は、ゲーム内容には、そんなに納得できていなかったんだよ。

特に前半。

もちろん青山敏弘がブチかました「スーパー・キャノン・シュート」は素晴らしかったし、興奮させられた。でも、その後は、どんどん攻守のダイナミズムが失われていったんだよ。

そしてウズベキスタンにイニシアチブを握られて攻め込まれる時間が増えていく。

たしかにウズベキスタンに守備ブロックの「裏スペース」が攻略されたわけじゃない。

でも、ボールを奪い返すプロセス(ボール奪取シーン)に、余裕がない・・というか、予測ベースのスマートな「クオリティーディフェンス」が感じられなかったんだよ。

要は、日本代表が、ウズベキスタンの人とボールの動きをコントロールしてしまうような、クレバーな守備を展開できなかったということ。

だから、インターセプトや、相手トラップの瞬間を狙ったアタック等で、スマートにボールを奪い返すシーンは希で、相手のミスや、ガチンコの(フィジカルな!)競り合いでボールを奪い返す・・なんていうシーンが目立ったというわけだ。

守備が「そんな」だから、次の攻撃の内容も推して知るべし・・だね。

とにかく、あまり良くなかった。人とボールの動きが少なく、それが出てきたとしても単発で、うまく連動しない。

タテへの仕掛けパスが少なすぎるし、タテパスを最前線の「足許」につけても、パスレシーブの動きが十分じゃないから、相手マーカーのアタックで安易にボールを失ってしまう。

それでも、一度だけ、香川真司や本田圭佑が、素晴らしくスムーズにダイレクトパスをつなぐ最終勝負コンビネーションが決まったシーンがあった。

最後は、左サイドスペースへ走り込んだ岡ア慎司がパスを受け、完璧フリーのシュートを放ったけれど、残念ながら、相手アタックの足で弾かれてしまった。

「アレ」が決まっていたら、「鈍重」な雰囲気にポジティブな変化がもたらされたかも知れない。でも結局は・・

私は、そんな「鈍重」なサッカーを観ながら、こんなことを思っていた。

・・中盤での組み立てでの「人とボールの動き」が、あまりにも単調に過ぎる・・もっと周りが動き回ってパスを要求しなければ、スペースなんて攻略できっこない・・

・・中盤のリーダーがいない・・そのときほど、長谷部誠の不在を強く感じたことはなかった・・

・・また、前戦への仕掛けプロセスにしても、(前述したスーパーコンビネーションは別にして!)人とボールの動きが少なく単調だから、相手の背後スペースを突いていけない・・

・・そして結局は、個のドリブル勝負に頼るようになってしまう・・でも、「そこ」には、ウズベキスタン守備を切り裂いていけるような「ホンモノのドリブラー」がいない・・

・・ホンモノのドリブラー・・そのとき私は、武藤嘉紀を観たいと、切実に願っていた・・でも・・

そして、後半。

やっと、日本のサッカーに「動き」が出てきた。少しホッとした。

もちろん、ハリルホジッチに、檄を飛ばされたんでしょ。また選手たちにしても、前半のサッカー内容が良くないことを体感していたはずだからネ。

もちろんウズベキスタンは強いチームだけれど、それでも、チュニジア戦での日本代表のように、一人の例外もない全員が、積極的に「攻守ハードワーク」を探しつづけ、勇気をもって実行していけば、おのずとサッカーが活性化するでしょ。

前半は、「それ」がなかった。

そして追加ゴールが入った。

私にとっては、この得点こそが、このゲームでのベストゴールだった。

左サイドから仕掛け、最後は、太田宏介の正確なサイドチェンジ・ラスト・クロスを、「それ」を明確にイメージし、ファーサイドにいる相手マーカーの背後スペースで待ち構えていた岡ア慎司がヘディングで押し込んだ。

後半9分のこと。私も、心なかでガッツポーズを作っていた。

そしてそこから、日本の、ダイナミックな「人とボールの動き」が加速していくんだよ。だからこそ、「パンチ力」抜群のカウンターも決められた。

ということで、ここからは、後半の選手交代について触れたいと思います。

そう、何といっても、宇佐美貴史。

・・前述した、カウンターでの、迫力満点でスピーディーなドリブル勝負・・また、ドリブルと見せ掛けてブチかます、ものすごく正確で(特異なリズムの!!)危険なラスト(スルー)パス・・

・・彼のパスセンスは、天才的だ・・

・・一度などは、後方からタテパスを受け、天才的なトラップから素早く振り向き、ステップを「踏み換える」ことなく、そのまま決定的スペースへ、スルーパスをブチ込んだ(パスレシーバーは岡ア慎司だったっけ!?)・・

・・そしてスーパードリブルシュート&ゴール!!・・それについては、解説の必要なんてないでしょ・・

・・でも・・

そう、やっぱり、攻守のハードワークという視点で、まだまだ不満が残る。

もちろん、相手ボールホルダーは追いかけるよ。一応はネ。でも・・

そう、そのチェイス&チェックがいい加減なんだよ。粘りがなく、一発でいくから、簡単にハズされてしまう。それじゃ、次のボール奪取を狙うチームメイトだって、ポジショニングに迷ってしまう。

また、ボールがないところで走る相手をマークしなければならないシーンで、何度も、その相手を「安易に行かせて」しまい、そのフリーな選手にパスを回されてしまった。

また攻撃でも、ボールがないところでの「フリーランニング」が十分じゃない。

もちろん、チュニジア戦での、香川真司とのコンビでブチかました、「爆発スタート&全力スプリント&天才トラップ&天才シュート」のシーンは秀逸だった。

それは、本当に素晴らしかった。

でも、全体的な、爆発スタート&全力スプリントの量と質という点じゃ、不満の方が先に来る。

この、爆発スタート&全力スプリントというテーマについては、前回コラム同様に、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。

そこでも、宇佐美貴史は、まだまだ大きな課題を抱えているっちゅうわけさ。

でも・・

そう・・、今日は、まさに「彼にしか出来ない勝負プレー」を存分にブチかました。そんな天才勝負プレーには、私も舌を巻いた。

でも、彼は、決して、ディエゴ・マラドーナじゃない。

だからこそ、彼の「天才勝負プレー」を、より効果的にブチかましていくためにも、攻守にわたる「ハードワーク」が、とても重要な意味をもつんだよ。

彼に期待しているからこそ、そのコトを、しつこく強調しつづける筆者なのでした。

そんな宇佐美貴史についても、新連載「The Core Column」で「こんなコラム」を発表したから、そちらもご参照アレ。

では、また〜・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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