トピックス
- 2015_ナビスコ決勝・・(久しぶりに!?)内容と結果が「とてもクリアに一致」したファイナルだった・・(アントラーズvsガンバ、3-0)・・(2015年10月31日、土曜日)
- 「勝つと負けるのとでは、(イメージ資産が!?)まったく違う・・このゲームは、勝つぞっ!!」
ゲーム後の監督会見で、アントラーズ石井正忠監督が、ハーフタイムに小笠原満男(アントラーズのキャプテン)が、そんなニュアンスの発言をした・・と、言っていた。
いいね〜・・
ハーフタイム更衣室(密室)のことだから、本当のところは分からないけれど、私は、その話を聞きながら、優れた心理マネージャー石井正忠の面目躍如じゃネ〜か・・なんて感嘆していた。
何せ、重要な戦術リーダーであり、心理的な支柱でもあるキャプテン小笠原満男に、積極的に(!?)発言させたんだからね。
そう、ゲームがはじまってしまえば、あとは選手に任せるしかないんだよ。
その小笠原満男だけれど、この試合での彼は、攻守にわたって、まさにスーパーな「自発的ハードワーク」をブチかましつづけていた。
36歳の、「元」天才プレイヤーであり、現役のチームリーダー。
そんな選手が、ハードワークと、それを絶対的ベースにした素晴らしいゲーム&チャンスメイクを繰り広げるんだから、チームが鼓舞されないはずがない。
あっと・・
また「そこ」には、小笠原満男が自ら発言し、チームにカツを入れた・・という側面があったかもしれない・・という見方もできる。
要は、自分で言ったんだから、「率先してチームを引っ張るしかない・・」という意味合いだけれど、まあ、小笠原満男のことだから、発言とは関係なく、最高パフォーマンスは披露したでしょ。
でも・・サ、私は、「あの」クールな小笠原満男が、自ら率先してカツを入れたことに、特別な意味合いが込められていた・・と「も」思っているわけだ。
そして、そんな小笠原満男を観ながら、ガンバの天才、宇佐美貴史に対して、「少しは見習って欲しいね・・」なんて思ったものでした。へへっ・・
さて、試合。
皆さんもご覧になった通り、内容的には、アントラーズが完璧に凌駕した勝負マッチでした。
凌駕・・
それは、カウンター状況や、たまにガンバが繰り出す、組織的な(人数を掛けた)攻め上がり以外、ほとんどの局面でアントラーズが支配していたっちゅう意味合いですかね。
その絶対的ベースは、もちろん守備にあり。
とにかく、ヤツ等の組織ディフェンスは、「連動性の極み」といった風情だったんだ。
守備での「連動性ファクター」だけれど、言うまでもなくそれは、絶対基盤のチェイス&チェック、インターセプトや相手トラップ瞬間のアタック、協力プレスやボールがないところでの忠実マークといった守備アクションのことだよ。
アントラーズ守備は、それら全てのアクションが、強烈な意志をベースに有機的に連動しつづけるんだ。
ガンバの攻撃の勢いが「増幅」せず、矮小に縮こまってしまうのも道理だった。
まあ、あれだけ自分たちの「前へのプレー」が効果的に抑え込まれつづけたら、そりゃ、前へいく「意志」も萎えてきちゃうよね。
ドイツ伝説のスーパーコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが、私に、こんなコトを言った。
・・いいか・・ゲームの流れを効果的に牛耳るためのシークレットは、いかに効果的に、相手に勘違いさせるのかというポイントなんだぞ・・
そう、積極プレスをガンガンとブチかましてボールを奪いつづけることで、相手の「前へいこうとする意志のパワー」を、殺いじゃうんだよ。
・・この流れじゃ、いくら前にスペースがあっても、そこへ(パスをもらうために)飛び出していったら、逆に、オレが上がった後のスペースを狙われちゃう・・
そんな、意気消沈(受け身で消極的な!)ムードを増幅させることで、相手の「積極的なプレー姿勢」をブッ潰してしまう・・っちゅうことだ。
このゲームでは、まさに「勘違い現象(!?)」が起きていた・・と思う。まあ、擬似の、心理的な悪魔のサイクルに陥ったガンバ・・ってな感じかな。
そんなだから、アントラーズが完璧にゲームを支配するのも道理だった。でも・・
そう、私は、そんなゲーム展開を観ながらも、心配の方が先に立っていたんだ。何といってもアントラーズは、流れのなかで繰り返しチャンスを作り出すものの、どうしてもゴールを奪えなかったんだから。
ほくそ笑むガンバ長谷川健太・・!?
要は、「サッカーの内容的な流れ」と、実質的な「勝負の流れ」の相克というテーマのことだよ。
そこでは、まさに、「理不尽な神様ドラマ」が展開しようとしていたんだ。少なくとも、私は、そう感じていた。
それは、後半のこと。
その立ち上がり「も」、アントラーズが完全にゲームを支配する。そして、一つ、二つと、チャンスの流れを作り出す。でも・・
そう、5分もしたら、今度はガンバが、カウンターや、全体的な押し上げから、局面での個人勝負(天賦の才!?)を前面に押し出しながら、宇佐美貴史のミドル弾も含めて、何度か惜しいチャンスを作り出しちゃうんだよ。
だから、ガンバ長谷川健太監督に、聞いた。
・・それは、完璧に支配された前半と、後半の立ち上がりを失点ゼロで凌(しの)いた後に作り出した決定的チャンスだったわけですが・・サッカーでは、内容
と結果が一致しないことの方が多いという現実的な視点で、私は、長谷川さんが、「シメシメ・・・よ〜しっ、いけるぞっ!・・」なんて思っていたと推察する
んですが??・・
そんな質問に対して、長谷川健太さんは、例によって真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・
・・そう・・私も、前半に失点しなかったことも含めて、そこまでのゲーム展開から、そんな(ワンチャンス勝利の!?)可能性を感じていましたよ・・
・・たしかに後半は、何度かチャンスもあった・・だから、勝負という視点では大いに可能性ありと感じていたんです・・でも結局は、アントラーズの、「勝ちたいっ!」という気持ちが勝った・・逆にガンバには、勝てるだろうという慢心があったのかもしれない・・
フムフム・・
この「内容と結果の相克」というテーマについては、アントラーズ石井正忠も、同様ニュアンスの内容をコメントしていたっけね。曰く・・
・・前半からタフな闘いだった・・ガンバが相手だから、拮抗した闘いになると思っていた・・たしかに主導権は握れたけれど、ガンバのカウンターが怖かった・・とにかく、危ない時間帯を無失点でしのげたことが結果につながった思う・・
そう・・何せアントラーズのゴールは、その二つがセットプレーから、そしてカイオの天才の一発はカウンターからだったからね。
彼らは、流れのなかからのチャンスは、結局ゴールに結びつけられなかったんだ。だからこそ、「内容と結果の相克」という神様ドラマが話題になるっちゅうわけだ。
それにしても、久しぶりに、内容と結果が「とてもクリアに一致した」ファイナルではあった。
最後に、個人についても、少しだけ。
アントラーズのスリートップを形成した金崎夢生、赤崎秀平、そして中村充孝。
三人とも素晴らしいプレーを展開したけれど、ここでは、金崎夢生にスポットを当てたい。
以前の彼は、とても「ひ弱」というイメージを引きずっていた。局面でのせめぎ合いでは決して勝てない(闘う意志が弱く、淡泊に過ぎる!?)・・というイメージが先行していたんだよ。でも・・
そう、このところの彼は、ものすごく力強い「球際のせめぎ合い」を展開するようになったんだ。攻守にわたってね。この傾向は、石井正忠さんになってから顕著になった!? さて〜・・
とにかく最後に、(特に才能ある!)選手が為す「本物のブレイクスルー」ほど、ハッピーになれる現象はない・・というコトが言いたかった筆者なのでした。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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