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- 2016_ACL・・素晴らしい「闘う意志」だった・・FC東京(城福浩)に乾杯!!・・(FC東京vs上海、2-1)・・(2016年5月17日、火曜日)
- すごかったネ〜〜・・立派だったネ〜〜・・FC東京。
もちろん私は、詳細な戦術イメージ(=ゲーム戦術の内容)なんて知る由もない。
でも、重点的にマークすべき相手へのチェック、最終勝負の流れの抑制、最前線への後方からのパスの寸断などなど、部分的には見えていたところもあった。
皆さんもご覧になった通り、(特に後半・・それも一点をリードしてからの!)上海がブチかましたパワフル&ダイナミックな攻めには、アジア最高峰チームの「趣」があった。
それに・・
そう、近年の中国チームは、以前のように(まあ以前の中東チームのように・・とも言えるかね)個のパワーやスピードを武器に「ゴリ押しの勝負」を仕掛けてくるような、「洗練」とはかけ離れた低次元サッカーから脱皮しつつあるという視点もある。
そのことは、広州恒大にも言えるし、江蘇にも言える。
まあ、優れた外国人選手を買ってくるだけじゃなく、監督も含めた「パッケージ」として外国から招聘した現場スタッフも、良い仕事をこなし、そのポジティブなインフルエンス(影響)が、中国のサッカー界にも浸透しはじめている・・っちゅうことなんだろうね。
要は、中国サッカーが、ハイレベルに、「組織」と「個」がバランスしはじめているということだ。
「個」に頼っていた頃は、ドリブル勝負「しか」効果的な最終勝負ツールはなかった。
でも今は、しっかりと人とボールを動かしながらスペースを攻略し、「より有利なシチュエーション」まで持ち込んでから、危険なドリブル勝負をブチかましたりする。
ことほど左様に、中国サッカーは、長足の進歩を遂げているんだ。まあ、ここで私が言うまでもないことだろうけれど・・さ。
20年近くまえのこと。
当時、ヨーロッパのコーチ仲間は、「アフリカは個のゴリ押しサッカーだし、彼らの文化を考えたら、良いチームが出来るまでには、相当な時間が要る・・」なんて言っていた。
でも実際は、想定外の短い期間で、トップネーションに追い付こうとしている。
カメルーンやナイジェリアだけじゃなく、コートジボワール、ガーナなどなど、とてもスマートな組織サッカーを展開するチームが育ってきているんだよ。
そして、だからこそ、彼らが秘める、レベルを超えた「個の才能」を存分に活かせる。
そう、いま私は、そんな発展プロセスを、中国に重ね合わせているっちゅうわけさ。とにかく中国の進化スピードは、脅威以外のなにものでもないよね。
彼らは、フットボールネーションが長い年月をかけて培った、「良いチーム」についての感覚的な理解と、それを創り上げるノウハウを、「産みの苦しみ」を味わうことなく手にしようとしている!?
そう、カネ・・なんてコトまで考えてしまう。
あっと・・ちょっと脱線。
そんな強い上海が相手だったからこそ、FC東京が魅せつづけた、強烈な意志ベースの立派な闘いを、殊の外強く、誇りに感じていたっちゅうわけさ。
特に、局面でのボールをめぐる「せめぎ合い」。
そんな、ガチンコのぶつかり合いを観ながら、これまでの経験から、どうしても東京の劣勢を予感させられていたんだよ。
何せ相手は、スピードとパワーだけじゃなく、最近では、テクニックと戦術的な理解(スマートさ!?)にも長けた屈強な中国(&外国のスター)選手たちだからね。
でも・・
そう、FC東京の強者たちは、そんな私の安易な予感を、見事に覆(くつがえ)してくれたんだ。そりゃ、溜飲を下げるのも当然でしょ。
もちろん、二回のリードの後は、押し込まれはしたよ。でもそれは、あくまでも「表面的」なグラウンド上の現象だったんだ。
実際は、そんな「表面的な見え方」とは違い、しっかりと、相手の「決定的な最終勝負プロセス」を抑え切れていたんだよ。
そう、FC東京の強者たちは、局面での(ボール周りでの)ぶつかり合いだけじゃなく、上海が繰り出す組織パスによる最終勝負までも、しっかりと抑え込めていたんだよ。
だからこその「舌鼓」だったっちゅうわけさ。
ところで、監督会見。
エリクソン監督の会見では、日本語、中国語、英語という三つのステップが煩雑で、質問する気が失せてしまった。
また城福浩さんの会見でも、間に中国語が入るから、質問は諦めた。
とはいっても、興味深いコメントはあったよ。
なかでも、城福浩さんの、こんな興味深いニュアンスのコメントには聞き耳を立てた。曰く・・
・・失点をしないサッカーと、積極的にゴールを奪いにいくサッカーの、どちらを優先するのか、というご質問ですよね・・
・・私は、二者択一的に目標イメージを設定するのではなく、あくくまでも、失点をせずにゴールも挙げるというイメージで、選手たちをグラウンドに送り出します・・でも・・
・・もちろん実際のゲームでは、その目標イメージも、さまざまな紆余曲折を経ながら変容しつづけていくわけです・・
・・そのことも含め、私は、一つの試合でのサッカーの内実が(本当の意味で!?)集約されるのは、ラスト10分だと思っているんですよ・・
・・そこでこそ、本物のサッカー内容(目標イメージと、それを達成しようとする意志の内実!?)が問われてくる(表現される!?)と思っているんです・・
ちょっと難しいけれど、要は・・
・・疲れが頂点に達する最後の10分間においてこそ、そのチームの本物の強さ(または弱さ)が凝縮される・・っちゅうことなんだろうね。
とにかく、気持ちよく家路についた(単車ライドを楽しめた!?)筆者だったのであ〜る。へへっ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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