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2016_ドイツ国際会議(その5)・・昨夜のフルダ市招待パーティー・・そして国際会議がはじまった・・(2016年7月25日、月曜日)
昨夜の、フルダ市長招待パーティー。
そこでは、以前FIFAの技術畑トップだった「Mr. Walter Gagg」とか、ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟の前会長で、いまは終身名誉会長に収まっている「Mr. Horst Zingraf」といった重鎮の方々との再会を果たせた。
ところで、その「Mr. Walter Gagg」。
いまはヨーロッパ(サッカー)コーチ連盟の会長に収まっているけれど(FIFAでもまだタスクフォースの一人!)、その彼のことを、皆さん覚えているだろうか・・。
2002W杯、韓国対イタリア戦で、その、あまりに「不自然」なレフェリングに怒り狂っていたイタリア代表監督トラパットーニが、イタリアベンチの背後で
観戦していた、(当時の)FIFAテクニカル責任者「Mr. Walter Gagg」に対して、思いっきりウデを振り下ろしたんだよ。
もちろんそのパンチは透明のアクリルカバーが受け止めたけれど、それは、その透明アクリル板が大きく歪むほど強烈だった。
そのシーンは、全世界にテレビで放映されたから、覚えている方もいるだろうね。
「そうなんだよ・・トラッピー(トラパットーニの愛称)とは懇意だから、あのとき怒りをブチかます相手は、オレしかいなかったということだろうな・・まあ、今では笑い話だけどサ・・」
「Mr. Walter Gagg」は、微笑みながら、当時のことを振り返っていた。
彼とは、かなり以前に、この国際会議で知り合ったから、かれこれ10年ほどの知己ということになるね。
もちろん、料理やビールが殊のほか美味しかったこともあって、我々の席が、サッカー談義で盛り上がったことは言うまでもない。
ということで、本日(7月25日の月曜日)からはじまった、ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟が主催する国際会議。
開会を宣言する、新会長のルッツ・ハルンガルトナー。
彼につづいて、昨日のパーティーでも、インテリジェンス溢れる明るいパーソナリティーで場を盛り上げていたフルダの市長が、エネルギーレベルを、もう一段アップさせた勢いで、千人ほどの参加者を盛り上げていた。
今日は、2016EUROの総括、レフェリーとのディスカッション、また、スタジアムへ移動しての実技デモンストレーションなどの予定が、つつがなく進行していった。
そのなかでも、現在の(最高峰の)プロコーチ養成コース責任者(まあ日本ではS級ライセンスなんて呼ばれているヤツだね)フランク・ヴォアムートの講演は、とても興味深かった。
以
前に聴いたとき、「トレーニングは、選手たちの主体的な思考を促し、向上させる場だ・・」とか、「同じトレーニング内容でも、誰がグラウンドに立って指揮
しているかによって効果に雲泥の差が出る・・」等など、心理マネージメントの重要性を強調するような、とても興味深い発言をしていたこともあって、一目置
いている。
もちろんここで、内容をすべて網羅するわけにゃいかないけれど、その導入部で彼が示唆した、コーチングコンテンツのニュアンスには、とても共感を覚えた。曰く・・
・・ロジカルな方法論を駆使することが大前提・・でも、それだけじゃ足りない・・
・・選手たちには、主体的に思考するこを要求し、冷静に、そして繰り返し語りかけることで、深く理解させることにチャレンジしなければいけない・・
・・そこでは、彼らに語りかける表現や態度を、常に工夫しなければいけない・・
・・話される内容が充実していることはもちろん、言葉の表現、声色、表情の変化、ジェスチャーなどなど、様々なコミュニケーション技術を駆使しなければいけない・・
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・・テーマは、もちろん、選手たちが、具体的なトレーニング目標を理解し、自分たちが主体になって、積極的に工夫するように仕向けること・・
・・そう、選手たちに、さまざまな意味での主体的な成功を体感させることが目標なんだ・・
・・監督は、優れた心理マネージャーでなければならない・・等など・・
うんうん、とても面白い。
それ以外でも、ハーフタイムの監督の発言や態度は、様々な意味合いで、上手くバランスしていなければならない・・なんていうテーマも興味深かったネ。
感情に支配された雰囲気で表面的な指示をブチかまし過ぎたり、選手たちが戸惑うくらいに多くのコトを喋りすぎるようなコーチは、自分の言動を見つめ直さなければいけない・・等など。
また午後には、実際にヴォアムートがグラウンド上で指揮を執る「実技デモンストレーション」も行われた。
様々に変化しつづけるポジティブな言動で選手たちの心を鷲掴み(わしづかみ)にしたり、量と質がとても上手くバランスした簡潔な指示を飛ばしたり。
そこでの彼は、常に、選手たち自身に考えさせ、工夫させるように仕向けていく。
ホント、とても、良かったですよ。
ということで、今日の夜は、協会ご招待のパーティーです。
そして明日は、クリストフ・ダウムの講演が待っている。いまから楽しみです。
では、また・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか~~・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは
”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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