トピックス
- 2016_日本代表・・たしかに後半のピンチが後味を悪くした・・でも、だからといって進化ファクターの評価を忘れちゃいけない・・(日本vsシリア、5-0)・・(2016年3月29日、火曜日)
- ・・前半に何度か創りだした絶対的チャンスを決めていれば・・
ゲーム後の、チト「重たい雰囲気」が支配するなかで、そんなことを考えていた。でも、まあ、タラレバだから・・。
要は、結果はよかったけれど、特に後半、イージーなミスや、守備ブロック組織がアンバランスになったことで、何度かシリアに決定的チャンスを創りだされてしまったということです。
だから、スッキリと勝利の美酒を味わうってな雰囲気にはならなかった。
そのピンチシーン。
シリア選手がブチかましたキャノンシュートが幸運にもポストを直撃したり、GK西川周作が、何度もギリギリのスーパーセーブを魅せたり、長谷部誠が、これ
またギリギリのタイミングでブチかましたスライディングによって決定的シュートを阻止したり・・と、観ている誰もがフリーズし、そして直後に溜息をつくっ
てな決定的ピンチではあった。
でも前半のサッカーは、期待が大きくふくむに十分な内容だった。
ハリルホジッチは、前半からアグレッシブに仕掛けていくことを指示し、それをベースにブチかまされた攻守にわたる積極サッカーが、殊の外魅力的に(美しく)機能しつづけたんだよ。
でも、相手のシリアは、強い。
だから、そう簡単には決定的スペースを攻略できない。それでも何度かは、組織コンビネーションを主体に、シリア守備ブロックをズタズタに切り裂いたんだ。
あっと・・
この試合では、「希代の天才」宇佐美貴史が先発し、気を吐いたことにも触れておかなきゃ。
たしかに彼の(守備での!)プレー姿勢は、これまでのような「アリバイのぬるま湯ディフェンス」ではなく、「行くところ・・」と「寄せるところ・・」のメリハリが、とても良くなっていた。
要は、しっかりとハードワーク「も」探せるようになりはじめている・・ということだ。
いつも書いているように、私にとっては、そんな「希代の天才」を覚醒させることも、ハリルホジッチに期待している最も大きなポイントの一つなんだよ。
そして今日、攻守の汗かきハードワーク「も」こなすなかで、その天才が、天才たる所以を披露してくれたっちゅうわけだ。
シリアが、宇佐美貴史のことを知らないはずがない。でも、彼らは、宇佐美貴史のことを、比較的フリーにしていた。
だから宇佐美貴史は、とても良いカタチで(左タッチライン際ゾーンで)ボールを何度ももつことが出来ていた。
そして、爆発オーバーラップを仕掛ける長友佑都にタテパスを送ったり、自分自身でドリブル勝負&決定的シュートをブチかましたり・・と、自由自在に、クリエイティブな実効プレーを披露していたんだよ。
それは、ホントに、観ていて楽しいことこの上ないシーンの連続だった。
もちろん、攻守ハードワークには、まだまだ不満では残る(特に後半は消える時間が増えた!?)けれど、この試合では、自分自身で、効果的な攻守ハードワークを「より積極的に探せる」ようになりつつある・・と感じさせてくれたというわけだ。
それこそ、我々が待ち望んでいる「プレー姿勢」じゃないか。
あっと・・、もちろん、ガンバ長谷川健太監督のコーチングが実を結びはじめているという事実にも目を向けなきゃいけないけれど・・ね。
やっぱり人間には、希望が必要なんだよ。選手にとっても、観ている方にとっても。それがあるからこそ、毎日の生活に「張り」が出てくるっちゅうわけさ。
あっと・・、聞くところによると、宇佐美貴史選手が子供を授かったとか。
おめでとうございます。
ところで、そのハッピーな出来事。それって、もしかしたら、宇佐美貴史選手の「本物のブレイクスルー」のキッカケになったりして!? 否が応にも期待が高まるよ。
何といっても、サッカーは「意志のボールゲーム」なんだから・・さ。
あっと・・脱線。
とにかく、前半のハリルジャパンが、危険な「個の勝負」をミックスした素晴らしい組織サッカーでシリアを圧倒していたという事実を、しっかりとイメージベースにして、ゲーム全体を評価しなきゃいけない・・と思っている筆者なのだよ。
とはいっても、後半のピンチシーンは、ちょっと行き過ぎだったかもしれないね。
その背景には、もちろん、山口螢の負傷退場があった。
何せ、前半に魅せたスーパーサッカーでは、長谷部誠と山口螢のボランチコンビが絶対的ベースになっていたわけだからね。
ということで、ここから、山口螢と交替出場した原口元気・・というテーマに入っていくわけだ。
そのとき私は、「どうするんだろ〜・・原口元気が中盤に入るのでは、次の守備が不安定になってしまうんじゃないか!?・・それとも、長谷部誠をアンカーに
して、その前に、本田圭佑、原口元気、香川真司、そして宇佐美貴史を並べるという発想なのかな!?」なんてことを考えていた。
でも、原口元気は、まさに山口螢と同じ「戦術タスク」をもってグラウンドに立ったんだよ。そう、長谷部誠のボランチパートナー。
私は、原口元気の「意識と意志」を注視していた。さて、どんなプレーを魅せてくれるんだろ〜。
そして、とても驚かされた。
何せ私には、レッズ時代の(攻守ハードワークを探せない!?)原口元気のイメージしかないし、ヘルタでも、サイドハーフとして前後に(攻守に)動くのがメインだからね。
そんな原口元気が、中盤でのチェイス&チェックやインターセプト、はたまた協力プレスやボール奪取アタック(それもスライディングタックル!!)までブチかましつづけたんだよ。
ちょっと目を疑った。
後でビデオで確認するけれど、彼のプレーは、しっかりとイメージに刻み込まれているから、たぶん間違いない。
彼は、ホントに、攻守ハードワークを、強い意志をもって存分にこなしていたんだよ。
実際に彼は、何度もボールを奪い返し、そこから爆発的なショートカウンター(ドリブル勝負)をブチかましたり、前戦へ勝負のタテパスを供給したり、逆サイドへの美しいサイドチェンジパスを決めたりと、抜群の効果レベルで存在感を発揮していたんだ。
まあ、たしかに後半のピンチシーンでは、「チェイスに行き過ぎ」たことで、逆にシリアにスペースを与えてしまったり、相手パサーへの寄せが甘くなったことで余裕を与え過ぎてしまったり、最終勝負シーンでの忠実マークに遅れたりと、ミスもあった。
でも私は、彼の、攻守ハードワークを積極的に「探しつづける」というプレー姿勢に、本物の「ブレイクスルーのニオイ」を感じていたんだよ。
やはり、環境こそが人を育てるということか。
ということで、私は、この試合から、宇佐美貴史と原口元気という「日常に張りを与えてくれる希望」を獲得したと思っているわけだ。
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ちょっと長くなってしまったから、ここらで締めよう。
最後は、「美しく勝つための攻守バランスの理想型」を追求していくプロセスには、様々なアプローチタイプがあるというテーマ。
ハリルホジッチは、「ゲームコントロール・・」とか、「守備のオーガニゼーション・・」という表現を多用する。
要は、「攻め上がっているときの攻守バランスの追求」というテーマなんだろうけれど、それについては、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」を参照していただきたい。
そのコラムでのキーワードは、リスクチャレンジ。
そう、優れたサッカーでは、「攻守のバランス」を、常に自分たち自身で積極的に崩していかなければならないというディスカッションだ。
だからこそ、次の守備においては、相手の攻撃を遅らせることも含め、素早く、自分たちのディフェンスブロックを再組織しなきゃ(バランスさせなきゃ)いけない。
そして、それこそが、優れたバランス感覚と呼ばれるモノの本質なんだ。
ということで、美しく勝つための攻守バランスの理想型(チームに共通するイメージング内容と、強い実行力≒意志力!)を実現していくプロセスには様々なアプローチタイプがある・・というテーマで締めることにしたという次第でした。
チト疲れた。では、また。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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