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2016_なでしこ・・初陣をとても良い「雰囲気」で乗り切った高倉なでしこ・・(USAvsなでしこ、3-3)・・(2016年6月3日、金曜日)
お恥ずかしながら、ゲーム内容を体感しながら、チト驚かされていた。
そりゃ、新生「高倉なでしこ」の、「あのような」立派なサッカーを魅せられたわけだから・・サ。
逆から言えば、冒頭の書き出しのように、お恥ずかしながらの認識不足・・ってなわけさ。
その新生「高倉なでしこ」。
たしかに、純粋な、スピード、高さ、パワー勝負の競り合いシチュエーションでは、今までどおり少し見劣りする。
でも逆に、彼女たちが、そんな基本的な「弱点メカニズム」を、とてもクリアに「自分たちのモノ」にしているコトも体感させられる。
だから、しっかりと走りつづけることで(組織的に連動しつづける攻守ハードワークを積み重ねることで!?)、とても立派な、チーム一丸の組織サッカーをブチかましていけた。
特に前半は、互角以上のゲーム内容を魅せた時間帯も多かった。
そりゃ、観ているこちらが気分爽快になるのも道理でしょ。
このコラムでは、個人については触れず、とにかく、「高倉なでしこ」が魅せた全体的なコノテーション(言外に含蓄される意味)にだけ目を向けよう。
とにかく、「高倉なでしこ」に対する期待が、これ以上ないほどに膨れ上がったんだよ。
だから、冒頭で述べたような、「お恥ずかしながら・・」という心境にも陥った。フムフム・・
何だろうね・・
やっぱり、次の世代がしっかりと育ってきていた(関係者の皆さんの地道な努力の賜物!?)という評価が正しいんでしょうね。
もちろん「その背景」には、2011年ドイツ女子W杯での優勝によって、多くの才能あるユース選手たちがサッカーをやるようになったこともあるでしょ。
とにかく、澤穂希を中心にした、世界チャンピオンの「なでしこ」には、感謝の言葉もない。
あっと・・、新生の高倉なでしこ。
まず、サッカー選手(チーム)の基本要素について触れておこうと思う。それには、五つのファクターがある。
フィジカル、テクニカル、タクティカル、サイコロジカル、そして「神様スクリプト」。
たしかに「世界」と比べた場合、「なでしこ」は、フィジカル要素で、簡単には越えられない高い壁と対峙しなきゃいけない。
だから彼女たちは、そのディフィシット(Deficit・・足りないトコロ)を、その他のファクターで補うわけだけれど、そのことが、彼女たちの「高質サッカー」のバックボーンでもあるということが言いたかった。
このテーマについては、「サッカーコーチ国際会議」でもよく話題になったものだ。つまり・・
そんな「なでしこ」の進歩的なコノテーション(言外に含蓄される意味)を、ドイツやフランス、もちろんアメリカやブラジル、中国やオーストラリアといった世界トップネーションが、効果的に自分たちのチームにも取り込もうと躍起になっているという事実のことだ。
でもトップネーションは、そのプロセスにおいて、「組織と個のハイレベルなバランス・・」という普遍的なテーマと対峙せざるを得なくなるというわけさ。
男子サッカーでも、昔はそうだった。そう、「組織ファクター」よりも「個の能力」こそが大事だと考えられていた時代もあったんだよ。
そう、他の(女子)トップネーションは、誰もが期待できるほどの「個の武器」によって、諸刃の剣というテーマにも向き合わなければならないということだ。
私は、以前、それは簡単なテーマじゃない・・なんて思っていたんだよ。
でも・・
そう、男子のアフリカや中東がそうであるように、世界の女子強豪国もまた、組織プレーと個の勝負プレーを、「より」高い次元でバランスさせられるようになってきているんだ。
だから私は、軽率にも(!!)、女子サッカーの、そのような発展傾向のなかで、「世代交代した高倉なでしこ」には、より厳しい逆風が吹くに違いないと思っていたんだ。
でも・・
そう、このゲームでの高倉なでしこは、日本女子サッカーの質が、期待以上に高まっていることを明確に体感させてくれたというわけだ。
別な表現をすれば、攻守ハードワークに支えられた「究極の組織サッカー」を志向するベクトルはそのままに、その全体レベルが、着実に高まっているというというコトかもしれない。
だからこそ、相手がどんな世界の強豪でも、常に、互角の勝負を挑んでいける。
頼もしい限りじゃないか。
とはいっても、確かに、テレビの解説が指摘していたように、「一人足りなくなってからの守備ハードワーク(特にチェイス&チェックの寄せ)が甘い」とか、「リーダーシップが足りない(阪口夢穂や川村優理の自覚に期待する!?)」といった課題は多い。
でもまあ、この試合での「高倉なでしこを観ていると、そんな課題にして、意識と意志のアップによって日進月歩で進化するに違いないと思えてくる。
何といっても、なでしこの最大の強みは、「サイコロジカル」にある「はず」なんだから・・。
ということで、3日後の第二戦が、とても楽しみになってきた。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか~~・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは
”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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