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2018_ACL(決勝、第1戦)・・前半と後半のゲームの変容・・やっぱりサッカーは、究極の意志の(心理・精神的影響が大きな!?)ボールゲームなんだよ・・(アントラーズvsペルセポリス、2-0)・・(2018年11月3日、土曜日)

そのとき、ガッツポーズのまま、弾かれたように立ち上がってしまった。

そう、アントラーズの先制ゴールシーン。レオ・シルバの冷徹なドリブルシュート。ホント、素晴らしいの一言だった。

まあ、2点目のときはガッツポーズだけ(上半身は、反り返った!)だったけどね。

ということで、このゲームでピックアップするテーマだけれど・・

それは、何といっても、前半と後半のゲームの流れの「変容」ですかね。

・・我々は、前半と同様のサッカーを意図した・・

・・でもアントラーズがより攻撃的になったことで、我々の意図とは逆に、アントラーズにゲームを(勝負の流れを!?)コントロールされてしまった・・

ペルセポリスのイヴァンコヴィッチ監督が、後半のゲーム展開について、そう述べていた。

実は、このテーマについて、大岩剛監督に聞いてみたかったんだ。

でも、(例によって!?)タイミングが悪く、質問の機会を失してしまった。

まあ、仕方ない・・

この、前半と後半での「ゲームの変容」については、大岩剛さんは、こんなニュアンスの内容をコメントしていたっけね。

・・前半は、相手の勢いを「受けて」しまった・・だからハーフタイムに、後半は自信をもって、積極的に前から仕掛けていけ・・というハナシをした・・

そう、そりゃ確かに、そうだったんだろうけれど・・

でも、この「変容の内実」を観ていたら、そんな言葉の指示だけで、この大きな変化を演出できたとは思えないんだよ。

だから聞いてみたかったんだけれど・・

まあ、仕方ない・・

でも、一つだけ「ほぼ」確かなことがある。

それは・・

この「ゲームの変容」が、アントラーズが主体になって(彼らのプレー姿勢が、よりアグレッシブになったことで!?)演出された可能性の方が高いということ。

まあ、たしかに、ペルセポリスの「前からプレス守備」の勢いが、前半の途中から徐々にダウンしはじめ、後半にいたっては、その勢いが、かき消えてしまったよね。

とはいっても、そんな、ペルセポリスのネガティブ変化にしても、アントラーズの攻守ハードワークとリスクチャレンジの姿勢が大幅にアップしたことが要因だったって言えなくもない。

それは、ニワトリが先かタマゴが先か・・っちゅう、際限のないディスカッション・・

でも私は、アントラーズの、攻守にわたる積極的な(攻撃的な)プレー姿勢が、その変化に「より」大きな影響を与えた・・って思っているのさ。

そんなゲームの流れの変容だけれど、それは、もちろん、個人的なプレー姿勢のポジティブな変化「も」引き出すことになるわけだ。

例えば、19歳の安部裕葵(あべひろき)。

前半では、たしかに何度かはドリブル突破や、リスキーな組織コンビネーションにチャレンジしたけれど・・

そのトライを、ことごとく相手のパワーと勢いに潰されつづけ、結局は、ボールをもっても、消極的な横パスやバックパスに「逃げる」っちゅう体たらくに陥ってしまった。

また守備でも、中途半端なプレーで置き去りにされるなど、まさに鳴かず飛ばずだった。

そんな安部裕葵だったけれど、後半になってからは、まさに180度のイメチェンを果たしちゃう。

そう、受け身で消去浮く的なプレー姿勢が、急激にアグレッシブになったんだ。

そんなポジティブ変化は、右サイドの玄人好みプレイヤー、西大伍にもいえそうだね。

前半の西大伍は、いつもの、攻守にわたる「憎たらしいほどの狡猾さ」が影を潜め、何か「舌っ足らずの消極プレー」に終始していたんだよ。

それが、後半になって、これまたガラリとイメチェンしちゃったというわけさ。

まあ、安部裕葵にしても西大伍にしても、前半と後半の「ポジティブ豹変」の主なバックボーンが、彼ら個人の「意志と勇気の高揚」だけではなく、チームの姿勢が、爆発的に高揚したことにもよるんだろうね。

ところで、前半の立ち上がりに魅せた、ペルセポリスの前からプレス守備・・

アントラーズは、その勢いに呑み込まれ、自分たちのペースを「見つけ出す」のに苦労した。

それは、戦前に伝わっていたペルセポリスの「チーム戦術」からしたら、少し違和感があった。

そう、彼らは、「ブロック守備からのカウンターに威力がある・・」って聞いていたんだよ。

実際・・

ツートップの70番と90番からは、素晴らしいスピードとパワーとテクニックも含めて、ペルセポリスのカウンターが危険であるという事実を、冷や汗とともに実感させられたよね。

とはいっても・・

アントラーズ守備は、彼らのスピードとパワー、そしてボール扱いの「タイプ」を感覚的に把握してからは、とても効果的に「抑える」ことが出来ていたけれど・・サ。

あっと・・

まあ、そのように、アントラーズ守備の「実効パワー」がアップしはじめてからは、ペルセポリス攻撃の勢いが抑えられ、そして彼らの「全体的なサッカーの勢い」も減退していったんだ。

そう、ゲームの「変容バックボーン」については、アントラーズ守備の実効レベルがアップしたこと「も」大きな要因の一つだったっちゅうことですかね。

さて・・

第一戦に限っては、まさに理想的な結果を掴み取ったアントラーズ。

でも、まだタイトルまでの道程は、長い。

友人のドイツ人プロコーチが仕事をしていたこともあって、私も、テヘランのアザディ・スタジアムでの試合(たしか国内リーグ戦!?)を観たことがある。

満員に近かったから、8万人近くの観客で、スタンドが埋まっていたと思う。

まさに、筆舌に尽くしがたい雰囲気。

そりゃ、アントラーズにとって、簡単なゲームになるはずがない。

でも・・

そう、この試合でもそうだったけれど、ペルセポリスが、組み立てベースで攻め上がってくる状況では、彼らの良さは、うまく表現できていなかったんだ。

それには、前述したように、アントラーズ守備が、彼らの(個々の相手プレイヤーの!)プレーの「タイプ」を感覚的に掴んだことが大きかったよね。

やはり、ペルセポリスの勝負強さが発揮されるのは、ブロック守備を効果的に機能させるなかで、蜂の一刺しカウンターをブチかますようなゲーム展開が機能したときなんだろうね。

でも第二戦での彼らは、2点以上の差で勝利することが大前提。

そんな状況だから・・

もちろん、この試合での立ち上がりに魅せた、積極的な「前からプレス守備」をベースにした攻撃サッカーという展開もあるわけだから、一概には言えないけれど。

とにかく、一週間後の、アザディ・スタジアムでの第二戦が、楽しみで仕方ないじゃありませんか。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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