トピックス


2018_ルヴァンカップ・・連チャン観戦・・チト疲れた・・でも興味深いテーマは見つけたよ・・(マリノスvsヴィッセル、4-2)&(ベルマーレvsベガルタ、3-0)・・(2018年6月2日、土曜日)

さて、ではまず、ニッパツで行われた、マリノス対ヴィッセル。

まとめたら、「内容でも結果でも、マリノスが凌駕した・・」っちゅうことになるんだろうね。

ということで、「美しく勝つこと」を志向する、ポステコグルー・マリノス。

このゲームでも、美しい勝利を飾ったっちゅうわけさ。

そこで珠玉だったのは、マリノスが魅せた、とても良い「バランス」の美しいサッカーだった。

とにかく、このレベルまで、様々なコノテーション(言外に含蓄される意味)を内包する、錯綜した「バランス」を高揚させたポステコグルーには賞賛しかない。

彼は、周りが何と言おうと、あくまでも、攻守にわたって攻撃的に仕掛けていく(リスクチャレンジ!)というアプローチで、選手たちのバランス感覚を磨いてきたんだよ。

その心理メカニズムは、こうだ。

もちろん選手たちは、リスク要素が大きいサッカーにトライしているため、常に、「不安な感覚」をもちながらプレーしている。

でも・・

そう、彼らは、「危うさ」を感じながらプレーしているからこそ、自分たちで何とか「リスクヘッジ」をマネージすることに心血を注がなければならないっちゅうわけだ。

そう、彼ら自身が、考えながら、リスクチャレンジも含めた効果的な「仕事」を探しつづけ、それを、勇気をもって実行していくんだよ。

もちろんポステコグルーは、決して守備ウェイトを高めるような「ゲームへの入り」は許さない。

それじゃ、どうするの??

もちろん、選手たち自身で、声かけも含めた、互いの勝負イメージの「確実なシェアレベル」を極限までアップさせるしかない・・っちゅうわけさ。

平たく言えば・・例えば攻撃・・

・・誰かが、前線にスペースを見つけ出し、次の瞬間には、自分のマークを放り出し、その全戦スペースへ抜け出していく・・

・・そんな状況では、アドレナリンいっぱいの選手と、「次の守備」を冷静にイメージしている選手が、とてもうまくバランスさせなきゃいけない・・

もっと平たく言えば・・

・・選手たちは、いまのチーム戦術を、自分たちがやりたい(志向する)サッカーだと心から確信し、そのために、互いのカバーリングも含め、例外なく全員が、素早い(攻守の)切り替えも含めた攻守ハードワークを積極的に「探し」つづけている・・っちゅうわけさ。

あっ・・もっと分かりにくくなった!?

スミマセン・・

とにかく、だから・・

マリノスのサッカーでは、「リスクチャレンジ」と「セキュリティー」という相反するファクターが、ものすごくバランス良く「相殺」され始めているっちゅうわけだ。

そう、この「バランス」という要素は、サッカーコーチにとって、まさに永遠のテーマなのさ。

この「美しく勝つサッカー」というテーマについては、「The Core Column」で以前にアップした「このコラム」も参照して下さいネ。

そこでのコアディスカッションテーマは、こんな感じ・・

・・「バランス感覚」を確固たるレベルまで高めるために・・

・・リスクの少ないセキュリティーサッカー(堅牢な守備サッカー)から入っていくのか・・

・・ポステコグルーやミハイロ・ペトロヴィッチのように、リスクチャレンジ豊富な攻撃サッカーを突き詰めることで選手たちの自覚をうながしていくのか・・

ホント、興味深いテーマではあるよね・・

________

さて・・ということで、ベルマーレ対ベガルタ・・

このコラムは、何といったって、監督会見で飛び出した、こんな「チョウ・キジェのスーパーコメント」から入っていくしかないよな。

とにかく、そのコメントが、メチャクチャ面白かったんだよ。曰く・・

・・今日のゲームの前、ライオンがキリンを追いかける映像を見せたんですよ・・

・・キリン・・メチャクチャ足が速いんです・・

・・そこで強調したかったのは、相手の逃げ足が速くっても、諦めずに追いつづければ、必ず何らかの果実を得られる(仕留められる!?)ってなコトですかね・・

・・もちろん、ライオンは、協力して追いますからね・・一人が汗をかいて追い込み、他のヤツらが仕留めるケースも多い・・

・・そんな、協力作業の効果的メカニズムも意識させるという意図もありました・・

凄いネ〜、サスガだね〜、チョウ・キジェ。

そして今日のゲームでは、そんな、事前の「イメージング強化マネージメント」が功を奏した。

そう、ベルマーレの忠実なプレッシングが素晴らしいエフェクトを魅せつづけたんだ。

もちろん、キリンを追うライオンのように、追いつけないかもしれないし、(仲間に)次を狙わせるために追い込むことだって叶わないかもしれない。

でも選手たちは、まったく「めげること」なく、忠実に、協力プレッシングをかけつづけ、そして美味しい果実にありつけたっちゅうわけだ。

ところで、プレッシング機能の内実メカニズムだけれど・・

グラウンド上の現象としてのプレッシング機能性は、ホワイトボードで図式を「いじくる」ようなコトで説明がつくような、生半可なモノじゃない。

そのメカニズムを、チョウ・キジェは、「意志」という心理バックボーンで説明していた。

要は、今日の成果が、ボールを奪い返すという守備の目的を達成するために、考え、工夫し、極限の汗かきプレー(ハードワーク)を、自ら「探しつづけた」ことの果実というわけだ。

それは、「システムを変えた・・」なんていう、次元の低い、「ホワイトボードで指し示す図式」ではなく、まさに根源的なサッカーの(心理的&戦術的な)メカニズムっちゅうわけだ。

そりゃ、そうだ・・

選手たちは、協力して(守備アクションを連動させることで!)ボールを奪い返そうと、それぞれのアクションを効果的に連動させようとするわけだからね。

そこが彼らが意識するのは、カタチから入る「ホワイトボードに描かれる図式」とはまったく違う、ボールを奪い返すという目的そのものなんだよ。

その結果として、あるカタチが(システムなんて呼ばれるカタチの図式が)グラウンド上に現れてくる。

そして、そのポジショニングのバランスによって、システムを変更した・・なんて言う。

違うでしょ・・

それを、「システムチェンジ・・」なんて語るコトの浅はかさ。

よくあるじゃない。

「トライアングルを創れ〜〜っ!!」なんて叫んでいるコーチ。

ホントに彼は、選手たちに、三角形を創らせるようにプレーさせようとしているのだろうか。

そうだとしたら、まさに狂気の沙汰じゃないか。

選手たちは、人とボールをしっかりと動かすことでスペースを攻略しようとしているんだよ。

そう、攻撃の目標である「スペースの攻略」をイメージして、人とボールが動くんだ。

そんな「攻撃の取り敢えずの目標」を達成するために人とボールが効果的に動くことで、自然とトライアングルができてくるんだよ。

もちろん、相手の能力などに応じてポジションを入れ替えたり、重点的にケアするゾーンをイメージさせたり(そのことで主たるプレーゾーンが変わる!?)などなどの、具体的な「戦術的変更」は、対処戦術としても、監督の大切な仕事ではある。

でも、ホワイトボードに「カタチや数字の図式」を描くような、ステレオタイプの表現は、ノーサンキューなんだよ。

ホントに〜〜・・

あっと、ゲーム・・

とにかく、内容的には、コンパクトにプレッシングを掛けつづけた(ベガルタ渡邉晋さんは「圧」という表現をしていたけれど・・)ベルマーレの、意志の勝利・・ってなことかな。

もちろんベガルタも、負けていることで(!)、ベルマーレのプレッシングに陥れられた擬似の「心理的な悪魔のサイクル」から、徐々に自分たちのイメージを取り戻して押し返し、しっかりとチャンスも創りだしてはいた。

でも・・

そう、最後の最後のトコロで、常にベルマーレ選手の「最後の半歩」によって、シュートをブロックされたり、ラストパスをカットされたり・・。

結局ベガルタは、数えるほどしか「ゴール機会」を創りだすコトができなかった。

だからこそ、ベルマーレの意志の勝利。

とはいっても、仙台でのリターンマッチが、とても厳しいモノになることは必至。

何せ、強豪のベガルタは、失うモノがなくなった(やることは一つだけ!!)わけだからね。

私は観ていないけれど、これまた強豪のレッズも、ヴァンフォーレ甲府とのアウェー第一戦に敗れたとのこと(2-0)。

ということで、ルヴァン・プレーオフの第二戦は、様々な視点で興味深い勝負マッチが目白押しということになったね。

まあ、私は、埼スタへ馳せ参じるつもりだけれど・・


============

最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]