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2018_プレナスなでしこリーグカップ決勝・・両チームが展開した高質なサッカーに、心から、舌鼓を打っていた・・(ベレーザvs神戸レオネッサ、 1-0)・・(2018年7月21日、土曜日)

・・そうなんですよ・・もう1人絡むような危険なコンビネーションを出せていたら、レオネッサ守備のウラスペースをもっと攻略できたと思うんですけれど・・

優勝した日テレ・ベレーザ監督、永田雅人さんが、そんな言い回しで、このゲームで発見した課題を語っていた。

いいね〜・・

実は、記者会見の後、彼と、短く立ち話をしたんだよ。

・・たしかに素晴らしく内容のあるサッカーだったし、ほとんどの時間帯、ゲームを支配したよね・・

・・シュートも、レオネッサの三倍もブチかました・・

・・でも、ベレーザが創りだした実質的な「ゴール機会」という視点じゃ、やっぱり限られていたという印象の方が強いんですよ・・

そんな私のアプローチに、永田雅人さんが、冒頭のように反応したっちゅうわけさ。

もちろん彼は、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションだけじゃなく、もっともっと多くの「戦術的な課題」も列挙していた。

とても前向きな、チーム戦術を探求する姿勢。頼もしい。

そう、彼は・・

あれだけゲームを支配しながら、実質的に、レオネッサ守備ブロック裏の「決定的スペース」を攻略できたシーンが限られていたという事実と向き合うことで、課題を抽出しているんだ。

そうそう・・

そこには、決勝ゴールが、どちらかといったら「アバウトな放り込み」から生まれた(!?)という確かな事実もあったわけだからね。

あれだけゲームを支配し、人とボールを動かしつづけたにもかかわらず、結局は・・

とにかく、ベレーザ監督、永田雅人さんにとっても、有意義な「課題」を見つけ出すという意味で、とても価値のある学習機会だったということだね。

あっと・・

ベレーザが、決定的なウラスペースを攻略し切れなかったことの背景に、素晴らしくスマートに機能しつづけた、レオネッサの「連動する組織ディフェンス」があったという事実にもスポットを当てなきゃ。

そう・・

・・決して追いすぎず・・

・・それでも効果的に、ベレーザを、自分たちがイメージするスペースへ「追い込んで」いく・・

レオネッサは、そんな、ものすごくクレバーでスマートな守備戦術をベースに、なるべく高い位置で、ボールを奪い返そうとしていたんだ。

まあ、たしかに・・

その後の(カウンターの演出も含めた!?)攻撃では、人数を掛けられなかったことで、仕掛けの勢いを加速させることは叶わなかったよね。

でも・・

そう、前半には、岩渕真奈、中島依美、仲田歩夢、増矢理花、それに機を見てオーバーラップしていく両サイドバックが絡む、超速カウンターが危険なニオイを放散していたっけ。

また後半には、コーナーキックから、「幻の先制ゴール」までもブチ込んじゃったしね(それは、オフサイドということでノーゴールだったけれど・・)。

実は、わたし、そんなレオネッサの、「一発勝負マッチをイメージした戦術サッカー」にも、舌鼓を打っていたんだ。

その、スマートに美しく「有機的に連動」しつづける組織ディフェンスは、まさにモダン守備そのものだったんだ。

決して、爆発的なダイナミズムのチェイスをブチかますのではない。

そうではなく、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)への、とてもクレバーに圧を掛ける「プレッシャー」で、ベレーザ攻撃を、自分たちが意図するスペースへ「追い込んで」いったんだ。

そう、高質な、ポジショニング・バランス・オリエンテッド組織ディフェンス。

今回のワールドカップでも、決して「リトリート」して守備ブロックを強化するのではなく、あくまでも、互いのポジショニングを意識して相手を追い込んでいくような、とてもスマートな組織ディフェンスが目立っていた。

そうそう・・

そんなクレバー組織ディフェンスは、森保一が指揮を執り、何度もリーグ優勝をかざった頃のサンフレッチェ広島がデモンストレートしていたっけね。

もちろん、永田雅人さんが率いるベレーザは、とても立派な積極的な攻撃サッカーを展開していたんだよ。

でも私は・・

そう、そんなベレーザの、美しいサッカーの勢いを、スマートに「抑制」しつづけた、鈴木俊監督率いるレオネッサに対しても、心からの拍手をおくっていたのさ。

いや、ホントに、女子サッカーも、日進月歩の勢いで進化している。

要は、テクニックでも戦術的な視点でも、とてもハイレベルなサッカーになってきているということだね。

だから、観ていて、ものすごく楽しめた。

ホント、観にいってよかった。

あっと・・

今日のゲームで躍動した多くの選手も選ばれている「高倉なでしこジャパン」が、7月26日からUSAで開催される、「2018 Tournament of Nations」という大会に参加するんだったっけ。

7月27日にはアメリカ合衆国と、その後、ブラジル代表、またオーストラリア代表とも対戦する。

その全試合は、「BS1」でライブ中継されるとのこと。

いいね〜〜・・

お互い、「なでしこ」も、とことん楽しみ尽くしましょう。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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