トピックス


2018_WMの27・・一発勝負の常だけれど、とても落胆した・・だから、高質サッカーの担い手の一角として、今度はクロアチアに出てきてもらいたいと期待していいる筆者なのだ・・(スペインvsロシア、 1-1, PK戦=3-4)・・(2018年7月1日、日曜日)

観客のほとんどが狂喜乱舞している。

そりゃ、そうだ。何せ、ホストカントリーが、レギュラータイムで優勝候補のスペインと引き分け、「運」も大きく作用する「PK合戦」まで生き延びたんだから・・ネ。

そう、ゲームの内容を体感している観客は、まさに「生き延びた・・」って感じているんだろうね。

さて・・

いまは、PK合戦がスタートするのを待っているところ。

今回のメディアシートは、最前列ならぬ、最後尾の、もっとも高いところだった。だから、全体の動きが、本当によく見えた。

まあ、「全体の動きがよく見える・・」という視点じゃ、メディアセンターに設置されている、超精細な「4Kテレビ」だって、カメラワークが優秀なことも相まって、かなり深く「観る」ことができる。

もちろん、カメラという媒体を介しての間接映像だから、「この瞬間・・」ってな感じで、ボールと離れたトコロでの「駆け引き」まで正確に視認するのは、少し難しい。

でも・・

たしかにそんなマイナス面はあるけれど、それでも、以前の、テレビ画面とカメラワークの質を考えれば、最近のテレビ中継については、戦術的な分析が、かなりのレベルまで出来るという視点でも、まさに隔世の感があるように思うよ。

あっと・・PK戦がはじまった。

よしっ!! 神戸のイニエスタが、まず成功した。

でも・・

そう、結局、強豪のスペインは、この1回戦で姿を消すことになったんだよ。

文章家ではない私には、ロシアが勝ったことを体感したときのスタジアムの盛り上がりを表現する言葉が見つからない。

でも、私の情緒は・・

そう、正直、ドイツと同様に、とても、寂しい。

ブラジルと並び、「組織と個の高質なバランスをベースに、美しく勝つサッカーの筆頭格だったスペインが、この時点で姿を消してしまうんだからね。

ホントに、寂しい・・

ということで、試合・・

皆さんもご覧になったように、このゲームの「構図」は、守って一発カウンターを狙うロシアと、完璧にイニシアチブを牛耳って攻めつづけるスペイン・・というモノでした。

私は、そんな「構図の勝負マッチ」だったからこそ、スペインに期待していたんだよ。

そう、スペインは、守備を強化した相手を、ハイレベルな「組織と個のバランス」によって崩していける(決定的スペースを攻略できる)数少ないチームだと確信していたわけだからネ。

でも・・

そう、彼らが決定的スペースを攻略したシーンは、ホントに数えるほどしかなかったんだ。

そんなシーンで、決定的に重要なファクターが、言わずと知れた、ボールがないところでの動きの量と質。

それが優れていて初めて、相手ディフェンス組織を、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションと、個のドリブル勝負で「翻弄」できるんだよ。

でも今日のスペインでは、そんな、決定的に重要な、ボールがないところでの動きの量と質が、とても低級だったんだ。

そりゃ、攻め上がる自分たちの眼前に、何人ものロシア選手が待ち構えているんだから、少しは躊躇(ちゅうちょ)するのかもしれない。

それでも、「いつもの」百戦錬磨スペインだったら、そんなプレッシャーをモノともせず、ガンガンと積極的に仕掛けいったはず。

そして・・

そんな積極的な仕掛けのリスクチャレンジこそが、同時に動き出すべき「ボールがないところでの動きの量と質」をアップさせていくんだ。

そう、それこそが、ボールまわりと、ボールがないところでのアクションの有機的リンケージ(優れた連動性!?)っちゅうわけさ。

その「リンケージ」が、残念なことに、まったくといっていいほど機能しなかったんだ。

それには・・

そう、前半12分という早いタイミングでの先制ゴールも、心理的に大きく作用しただろうね。

それは相手のオウンゴールだったわけだけれど、それまでの12分間、スペインは、「この相手だったら楽して勝てるよな・・」なんて、甘く見る心理が強化されたのかもしれない。

それが、その後のスペインが展開した、ものすごく沈滞したサッカーの元凶だったと思うわけさ。

そして、セルヒオ・ラモスのハンドで得たPKを、そのハンドを呼び込むヘディングをブチかました「ジュバ」が自ら蹴り込んで同点にしたんだ。

でも・・

そう、そこからの、前半の残り5分間では、私にとって、とても興味深いグラウンド上の現象を確認できたんだ。

そう、その5分間で、スペインは、このゲームで初めて、私がイメージする(期待する)、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションを、うまく機能させたんだよ。

もちろん「それ」は、ボールがないところの動きが活性化したからに他ならない。

また、間接的には、イスコに代表される、ボール絡みの攻撃プレー(要はドリブルでの仕掛け!)も、周りのチームメイトを刺激したと思っているんだ。

とにかく、このゲームを通して、その前半最後の5分間にこそ、「最高品質のスペイン」が凝縮されていたと思うわけさ。

でも・・

そう、その後は、まさに泣かず、飛ばず。

スペインの攻撃が、ことごとく、(仕掛けの行く先が鮮明にイメージできている!?)ロシア守備ブロックに潰されつづけるっちゅう体たらくだった。

まあ、神戸のイニエスタが出てきてからは、彼自らが、ボールがないところで仕掛けていくから、少しはコンビネーションが活性化したとは思うよ。

でも、あれだけロシア選手が密集しているゾーンに切れ込んでいったって、そりゃ潰されちゃうでしょ〜。

だからこそ、3人目、4人目のフリーランナーが必要だったんだよ。

でも・・

とにかく、そんな落胆のネガティブ心理にもめげず、メディアシートでコラムを仕上げようと奮闘していた筆者なのであ〜る。

さて、これから、クロアチア対デンマーク戦を、メディアセンターでテレビ観戦します。

これで高質サッカーの担い手の一角が消えたわけだから、その代わりに、是非、クロアチアに出てきてもらいたいと、大きな期待を掛けている、自分勝手な筆者なのです。

へへっ・・


============

最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]