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- 2018_WMの37・・なんか、長くて中途半端なコラムになってしまったけれど・・やっぱりベルギーが負けてしまって残念至極の筆者なのですよ・・(フランスvsベルギー、1-0)・・(2018年7月10日、火曜日)
- 落胆してグラウンドにたたずむベルギー選手を観ながら、わたしも、少し気が滅入っていた。
それは・・
様々な意味合いで、是非とも、ベルギーに決勝まで駒を進めて欲しかったから。
その希望のバックボーン・・
それは、まず何といっても、まだW杯を制したことのない「バージン国」に勝たせたい・・という感情の高まりがあったからに他ならない。
まあ・・ネ・・
もし、ドイツやブラジル、はたまたスペインといった、美しく勝つサッカーがここまで勝ち進んでベルギーと対戦したら、そこでの情緒は、チト違ったモノになっていたはずだけれど・・サ。
スミマセンね、煮え切らなくて・・
それには、今回のW杯では、(イメージ的にも!?)サッカーの将来を示唆できるホンモノの強豪国が、ことごとく敗れてしまったという背景があったんだろうね。
あっと・・
もちろん、決してベルギーが「美しく勝つサッカー」を展開できていなかったっちゅうコトじゃないよ、念のため・・。
むしろ・・
そう私は、ベルギーの方が、フランスよりも、様々な意味合いで「未来志向の美しさを秘めている」って思っているのサ。
あっと・・
そんなゲーム内容のディスカッションに入る前に・・
少し気が滅入っていたのには、このゲームも含め、今回の大会では、セットプレーによって勝負が決まったゲームが多かった・・という背景もありそうだね。
もちろんセットプレーは、とても大事な「攻め手」ではあるけれど、それが「決まり手の主役」になるというのでは、チトいただけない。
攻撃における「決まり手」の主役は、組織プレーと個人勝負プレーの効果的な絡み合いベースで成り立つ「仕掛けの流れ」の中からのモノじゃなきゃいけないと思うわけさ。
そう、セットプレーは、あくまでも「準主役」であるべきなんだ。
あっと・・
ということで、ハナシを、このゲームでの戦術的な内実というテーマにもどすけれど・・
そう、筆者が、ベルギーが魅せたサッカーの方が、より美しく魅力的であり、より将来につながるコノテーション(言外に含蓄される意味)を内包していると感じたというハナシ。
ここまで書いて、ハッと思い返した。
ホントに、フランスが展開したサッカーは、美しさや魅力に欠けるモノだったのかい??
いや・・決して、そんなことは・・ない・・
フ〜〜・・
この2チームの、チーム戦術的な「差異」は、どこにあったのだろうか。
両チームともに、人とボールはしっかりと動かしていたし、そんなハイレベルの組織プレーに、機を見計らって効果的に個人勝負プレーも絡ませていたよね。
その、個の勝負だけれど・・
ベルギーでは、言わずと知れたエデン・アザールやデ・ブルイネが、組織プレーの「リズム」に乗った、とても効果的なドリブル勝負や「タメ」を披露していた。
またフランスでは、言わずもがなのグリーズマンが、チャンスメイクだけじゃなく、シュートにつながる最終勝負のシーンでも、何度も、効果的な、キープや勝負ドリブルを魅せていた。
まあ、この試合でのムバッペは、「余計なコト」ばかりが目立っていたけれど・・サ。
でも、私が、どうして・・
そう、どうしてベルギーの方が、様々な意味合いで、将来につながる内実のあるサッカーにトライしているという印象をもったのだろうか?
_______
このゲームは、まずフランスが攻め上がり、ベルギーがカウンターを狙うといった展開からスタートしていった。
そんな展開を観ながら、「ベルギーは、ブラジル戦での成功体感で確信を深めたのかな・・」なんて感じていたんだよ。
そう、彼らは、強い意志をもって、高めの位置で守備ブロックをマネージし、次のパスを狙おうとしている・・ってね。
でも・・
そう、数分もしたら、逆に、フランスの守備が、少し高い位置で「組織的に落ち着き」、反対にベルギーがゲームの主導権を握りはじめたんだよ。
それは、とても興味深い「シーソー展開」だった。
私は、そんなシーンを観ながら、いろいろな考えをめぐらせていた。
・・フランスは、最初攻め上がってベルギーを押し込み・・そして今度は、スッと全体的に下がることで、ベルギーの軸足(感覚的な重心!?)を、より前へ来させようとしていた!?・・
さて〜〜・・
まあ、たしかに、カウンターという視点じゃ、超速ムバッペや素早い両サイドバック(パバールとエルナンデス)がいるし、効果的にカウンターの流れを演出できるグリーズマンがいるから・・
でも、そんな「シーソー展開」は、その後も、繰り返すんだよ。
そして両チームともに、ある程度のチャンスを創りだす。
それって・・完璧に「互角」の展開・・って言えるのかな〜・・
まあ、普通だったら、イニシアチブを握ろうとする両チームのせめぎ合い・・なんていう表現がアタマに浮かぶんだろうけれど、実は、「それ」ともチト違うような感覚だったんだ。
そう、何となく、両チームともに、相手を「挑発」しながら、中盤の高い位置でのミスパスのカット(=決定的なショートカウンター!?)にターゲットを絞り込んでいる・・とかね。
さて〜〜・・
でも、そんな「シーソー展開」のなかでも、やはり・・というか、個の勝負に「より」長けたベルギーが、組み立ての流れのかなから決定機を創りだしちゃうんだ。
主役は、言うまでもなくエデン・アザール。それに、デ・ブルイネとフェライニが、効果的にボールに絡んでいくっちゅうわけだ。
ちょっと驚いたのは、これまで抜群の存在感を発揮しつづけていたルカクが、「消えて」しまったこと。
もちろん「その現象」は、フランス守備の(最終ラインとボランチコンビニよる!)ゲーム戦術が、殊の外、うまく機能していたっちゅうことだろうね。
でも・・
そう、逆に、エデン・アザールが仕掛けつづける、縦横無尽&変幻自在のポジショニングからのフリーパスレシーブと「勝負ドリブル」が、ものすごい実効レベルを魅せつづけるんだよ。
そして何度か、決定的なカタチを創りだし、実際に何度か、ギリギリのシュートまでブチかましちゃうんだ。
そんなエデン・アザールだから、今度はフランス守備ブロックが、そんなエデン・アザールに「引きつけられ」て、バランスを崩してしまうっちゅう、興味深い展開になっていったんだ。
そう、別のゾーンにいるデ・ブルイネとフェライニだけじゃなく、ルカクまでが、少し、相手マークからフリー気味になっていったんだよ。
それに対してフランス・・
たしかに、エデン・アザールのような、破壊的ドリブラーはいないけれど、それでも、ツボにはまれば威力を発揮するムバッペがいる。
たしかにこの試合じゃ、(前述したように!)ベルギーが準備していた(!?)守備イメージがまさり(!?)、ドリブルでは鳴かず飛ばずだったよね。
でも・・
そう、それでも、彼のドリブルがベルギー守備を引きつけることによって、1度だけ、そのムバッペから、エルナンデスに(!?)決定的スルーパスが出されたっけね。
そんな、まさに互角の展開のなかで・・
そう・・、フランスのウムディティが、フリーキックから決勝ゴールを挙げたんだ(後半6分)。
そして、その後のベルギーは・・
何度もサイドゾーンを崩しては、危険なクロスをブチ込んでいたけれど・・
結局は、最後の最後まで、フランス守備ブロックの集中力と「闘う意志」が減退することはなかったっちゅう次第・・。
もちろんベルギーは、何度も、「ハッ!!」とさせられる決定機シーンは創りだしたけれど・・
________
ということで、ベルギーとフランスのどちらが、サッカーの将来に対して、(戦術的に!?)よりポジティブな風を吹き込めるのか・・というテーマ。
たしかに、チャンスの量と質では、ベルギーに軍配が挙がる。
でも・・
たぶんそれは、エデン・アザールという「個の天才プレー」によるとこが大きかったということなんだろうね。
言い換えれば、ベルギーの方が、より、人とボールが動く組織サッカーのなかに、効果的に個人の勝負プレーをミックス出来ていたっちゅうことなのかもしれない。
でも、考えてみたら、フランスも・・
そう、彼らも、組織と個のバランスをしっかりと意識してプレー出来ていたよね。
だから、前述したように、この両チームの微妙な差異は、個のプレイヤーの「質」に拠るところが大きかった・・!?
もちろんフランスは、決勝ゴールの後、後半のほとんどの時間帯は、意識して守りを固めていたわけだから、そのサッカー内容を比較するのはフェアじゃないよね。
その決勝ゴールまでは、しっかりと組み立てながら、両サイドバックの押し上げをマネージすることで、組織的な「人とボールの動き」も、ハイレベルだったわけだから・・。
フム〜〜・・
どうも、煮詰まらずに、中途半端・・
ということで・・
このテーマについては、帰国してから、ジックリと自分のなかで考えをめぐらせようと思います。
________
ということで・・
とにかく、こうなったら、後は、クロアチアに、「初」の期待をかけるしかない。
明日は、電車での移動はキツイから、モスクワまで飛ぶことにしたんですが(片道フライト・・とても高かった!!)・・
とにかくそこでは、「美しく勝つサッカーを展開する!!」クロアチアを、あからさまに応援しようと思っている筆者なのであ〜る。
でも「また」、イングランドに、セットプレー一発でやられちゃったりして・・
フ〜〜ッ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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