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- 2019_ACL準々決勝_1・・リターンマッチの行方は、大槻毅さんによる、クレバーに徹底した「ゲーム戦術イメージ創り」にかかっている・・(上海上港vsレッズ、2-2)・・(2019年8月27日、火曜日)
- フ〜〜ッ!!
「あの」蒸し暑さのなかでの、ものすごい消耗戦。手に汗にぎった。
それにしても・・
両チームがイメージしている「チーム戦術」のコントラストが、あまりにも鮮明だったから、その意味でも、興味深い勝負マッチではあった。
その、コントラスト・・
言わずもがなだけれど、上海は、オスカル、フッキ、アフメドフ、そして新加入のアルナウトビッチという外国人プレイヤーの「個のチカラ」を絶対ベースに、チーム戦術を組んでいる。
まあ、アフメドフは、攻守ハードワークと組織的なリスクチャレンジのイメージは有しているけれど、その他の個人主義者たちは、まさに「足許パス&個人勝負」のオンパレードってな感じ。
もちろん彼らは、守備は、完璧に「おざなり」さ。
でも上海上港は、そんなサッカーのやり方(戦術メカニズム!)で、完璧にチームの「プレーイメージ」が統一されているんだよ。
周りの「元・中国代表選手」も、外国人スターの個のチカラを最大限に活用しようとしている。
もちろん、ポルトガル人のペレイラ監督も、そんな「チーム戦術イメージ」でまとめている。
そんな上海上港に対して、レッズは、「ゲーム戦術サッカー」に徹するんだよ。
そう、ブロック守備からの(ショート!?)カウンター。
もちろん、リトリートして(全体的に下がって)受け身にブロックを組むのではなく、あくまでも積極的に、組織的な「連動ボール奪取プロセス」を機能させるんだ。
そんなレッズの、まさに「猛禽類の眼」ってな、(連動イメージが機能しつづける)ボール奪取プロセスは、ホント素晴らしかった。
それが、興梠慎三の追加ゴールとなって実を結んだっちゅうわけだ。
もちろん彼らは、ワンチャンスのセットプレーという勝負イメージも、しっかりと準備していたんでしょ。
前半は、そんな勝負イメージが、ピタリと「つぼ」にはまったというわけだ。
そして、二つのゴールをブチ込んでからは、ホントに完璧なブロック守備で、上海に、まったくといっていいほどサッカーをさせなかったんだよ。
そりゃ、そうだ・・
ボールがないところでの動きも含め、チーム全体の連動ディフェンスが素晴らしく機能していることで、上海の全てのタテ(チャレンジ)パスが、完璧に「読めて」しまうんだからね。
そのときレッズのブロック守備は、まさに「一つのユニット」として完璧に連動しつづけていたんだ。
大槻毅さんは、とても良い仕事をしていると思う。
でも・・
そう、後半は、上海ペレイラ監督が、選手たちの「プレーイメージ」を、とても効果的に「修正した」ことで、彼らの仕掛けプロセスの危険度が、何倍にも膨らんでいったんだ。
たしかに、左右ゾーンの「使い方イメージ」にも修正を加えたかもしれない・・
でも、わたしの眼には、やっと、ホントにやっと、オスカルのチャンスメイク能力が機能しはじめたと映っていた。
そう、彼の「スターティングポジション」を少し下げたことで、それまでアフメドフ頼りだったゲームメイクプロセスで「も」、オスカルが存在感を発揮しはじめたんだ。
そして、ボール奪取プロセスへの効果的な絡みだけじゃなく、ゲームメイク、チャンスメイク、そして最終勝負での「個の勝負プレー」でも、実効プレーを披露しはじめた。
そんなだから、オスカルを中心に(周りの中国人選手たちも含めて!)、仕掛けの流れが高揚していくのも自然な流れだった。
もちろん、前半は、まったく機能しなかった「前線スター」連中も、オスカルを中心に、人とボールの動きを活性化させようっちゅうイメージを持ちはじめるんだよ。
それにしても・・
繰り返しになるけれど、とにかく上海の仕掛けプロセスでは、「個のチカラ」を、徹底的に前面に押し出そうとする。
でも後半は、前半のように、完璧に「ブツ切り状態」に陥るシーンは、少なくなった。
そう、オスカルが機能しはじめたことで、その「個のスター」連中も、より組織的に「リンク」するようになったということだね。
そして上海上港の仕掛けの危険度がアップしていった。
それに対して・・
あくまでも、攻守ハードワークとリスクチャレンジあふれる組織サッカーで対抗する(2対2にされてからの!)レッズ。
たしかに、局面デュエルでは、潰されてしまうケースもあったけれど、それでも、人とボールのクリエイティブな「動き」によって、何度も、上海上港の「ウラの決定的スペース」を突いていった。
なんか、2対2になってからの攻防プロセスに、埼スタでのリターンマッチにおける「ゲーム展開の内実」が投影されているような・・
そう、私は、リターンマッチでのレッズが、内容の濃い「質実剛健サッカー」で、立派な勝利を収めるに違いないって確信していたんだ。
あっと・・
もちろん、蛮勇ではなく、あくまでもクレバーに徹底した「ゲーム戦術サッカー」をもってね・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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