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2021_日本代表フレンドリーマッチ・・二人のエキスパートによる、深いコノテーション(言外に含蓄される意味)を内包するコメント(解説)・・(日本vsセルビア、1-0)・・(2021年6月11日、金曜日)

・・あのような場面だからこそ、しっかりと動きつづけていることが大事なんですよ・・

このゲーム、フジテレビが中継した。

そのカメラワーク(ズーミングワーク)は良かったんだけれど、それにプラスして、解説陣、ゲストコメンテーターも、よかった。

そのなかで、冒頭の発言をしたのは、あの「師匠」鈴木隆行でした。

いいね〜〜・・

その言葉を発したのが、「あの鈴木隆行」だったからこそ、とても存在感のある「重い発言」として光り輝いたっちゅうわけだ。

そう、決勝ゴールをブチ込んだ、伊東純也が、動きつづけたからこそシュートを打てた・・っちゅう視点のことだよ。

右CKシーン。鎌田大地が、狙いすまし、ニアポストゾーンへ走り込む谷口彰悟へ合わせる。

谷口彰悟は、そのボールを、これまた「狙いすましたイメージ」のスリップヘッドで、ファーポストスペースへ送り込むんだよ。

「そこ」へ、ピッタリのタイミングで走り込んで(走りつづけて!)いたのが、伊東純也だったっちゅうわけだ。

もちろん・・

もう一人の解説、坪井慶介が指摘していたように、森保一に鍛えられた(トレーニングでイメージ創りした!?)カタチではあったんでしょ。

でも・・

そこで、もっとも大事なエッセンスが、「師匠」が言っていた、走りつづける(走り抜ける)ことだったわけさ。

そう、確信にみちびかれた「走り抜け」。

師匠は、それが(確信に引っ張られたアクションこそが!)大事だと言っていた。

そうなんだよ。

その「師匠の確信」こそが、2002年の日韓W杯で、トルシエ日本代表を、決勝トーナメントに進出させたわけだからね。

そして私は、その言葉に触発され、別な分析ディスカッションにも思いを巡らせていた。

そう・・

前半での、日本代表の「攻めあぐみ」。

セルビアの守備ブロックは、とても協力だよね。

次、その次のスペースをイメージしながら、ボール奪取プロセス(守備)を、とても効果的に機能させちゃう。

そして、そんな忠実&ダイナミック&狡猾なセルビア守備の「動き」に、徐々に、仕掛けプロセスでの森保一ジャパンの「人とボールの動き」が停滞気味になっていくんだ。

たしかに、伊東純也のドリブルシュートシーンはあった。でも、それって、「オプションがなくて、仕方なくブチ抜いていった・・」っちゅうシーンだった。

逆にセルビアは・・

そう、日本が意図する人とボールの動きを「うまく抑制」しながら、ボール奪取のチャンスを、「狡猾」に狙いつづけていた。

そして実際に・・

そうなんだよ。前半で、まさに唯一の「ゴール機会」のシーンは、セルビアが創り出したんだ。

そんな、こんなで、前半のゲーム展開は、まさにセルビアの「思うつぼ」だったわけさ。

でも、後半・・

それも、はじまって早々の3分。

冒頭の、「師匠の指摘エッセンス」が実を結んだ決勝ゴールが生まれるんだよ。

フムフム〜〜ッ・・

そしてそこから、ゲームが、まったくの別物へと変容していくっちゅうわけだ。

もちろん、セルビアが、ガンガン「前へ行き」はじめたことによって、ゲームが「動的な均衡状態」へと成長していったっちゅうことだよ。

そして、そこで・・

そう、二つ目の素晴らしいコメントが飛び出したっちゅうわけだ。

ゲストコメンテーターの、「鬼軍曹」ドゥンガ。

そこまでの印象を聞かれた彼が、まず強調したのが・・

・・日本代表のディフェンスが素晴らしい・・

たぶん彼にしてみたら・・

・・こんなに、日本代表のサッカーが(ボール奪取プロセス)が成長しているとは思わなかった・・

・・ってな印象だったんだろうね。

とにかくドゥンガは、素晴らしい守備について、短くコメントしたんだ。

日本にいたときの彼は、選手たちの「意識と意志の低さ」に対して、常に「怒オーラ」をブチかましていたよね。

そんなドゥンガの発言だからこそ、「師匠のコメント」と同様に、とても存在感がある「重さ」があったわけさ。

ドゥンガは、森保一ジャパンがブチかましつづけた、強烈な「意識と意志とイメージング」が迸(ほとばし)りつづける、「連動」するボール奪取プロセス(守備)の素晴らしさを言っていた。

チェイス&チェック(ボールホルダーや次のパスレシーバーへの寄せ!!)、ボールがないところでのマーキング、インターセプト狙い、カバーリングや協力プレスでの「選手たちの集散」、そして、局面デュエルと「最後の半歩」の内実などなど。

たしかに、それら全てのボール奪取プロセス要素で、森保一ジャパンは、「あの強豪」セルビアを凌駕した。

だからこそ、先制ゴールを奪ってからの残りの45分間、まったくといっていいほど、「危ない場面」は創らせなかった。

それだけじゃなく、攻撃でも、何度も(まあカウンター傾向の仕掛けが多かったけれど・・)、強烈に強いセルビア守備を、何度も振りまわし、スペースを攻略した。

言いたかったことは・・

森保一ジャパンが、とても「質実剛健」に、進化&深化しているという事実。

もちろん、選手を選ぶ森保一の「目」もあるだろうけれど・・

私が、もっと強調したかったコトは・・

選手たちが、攻守にわたって、自らすすんで(!)、攻守ハードワークやリスクチャレンジのチャンスを、まさに猛禽類の眼で「探しつづけている」という事実なんだ。

フル代表にしても、オリンピック代表にしても・・

とにかく・・

森保一を中心にまとまっているコーチングスタッフが・・

いかに選手たちの「主体性」を極限まで高揚させられているか・・

そして、持てる実力を存分に発揮させられているか・・

・・そのコトが言いたかった。

そんな、「ホンモノのウデ」とも呼べる、素晴らしい「心理マネージメントの内実」に対して、心からの敬意と感謝を捧げる筆者なのであ〜る。

へへっ・・


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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