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2021_シーズン終了にあたって・・軽く、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)について語っちゃおうかな・・(2021年12月11日、土曜日)

「そうなんだよ、VARが導入されてから、何となく、現場とレフェリーの信頼関係が深まっているって感じるんだ」

ブンデスリーガでも活躍した、友人の、ドイツ人プロコーチが、そう語っていた。

ミスジャッジ(誤審)・・

もちろん、我慢ならない現場では、根に持つ人がいるかもしれない。

でも、それは現場サイドのハナシ。

逆に、ミスジャッジをした当の本人(レフェリー)は、後で、様々な「映像情報」によって、組織から厳しい評価を受けるかもしれない。

まあ、そこからの顛末(後処理)については、千差万別だから、ここじゃスルーする。

そうではなく・・

ここでは、現場とレフェリーの「相互信頼の醸成」というテーマに入っていこうと思うわけだ。

もちろん・・

実際に、ミスジャッジによって不利益を被(こうむ)った現場は、簡単には納得できない。

だからこそ、ここでは、一つの「微妙な判定」に対する、現場の「正しい!」理解と納得をテーマにしたいんだ。

そう・・

現場が、「あれは誤審だった!!」って思い込んだ状態がつづき・・

そのまま、事実がクリアにされないことで、そのレフェリーに対する(協会に対する!?)不信感がふくれ上がってしまう・・ってな状態。

以前は、そんな「不健康な心理ステータス」が、微妙に「残りつづける」ケースも多かった。

そのような「微妙な判定シーン」を、ビデオを駆使して何度も見返すことで、しっかりと「事実」を把握しようとする「現場」は、そんなに多くはなかったからね。

そう・・

面倒くさいし、決まってしまったモノだから(クレームディスカッションの俎上に載せるのには大変なエネルギーが要る!?)・・

また、証拠である「画像」にしても、アングル(中継カメラの数)だけじゃなく、カメラの画素数が少なかったことで、シーンを正確に把握できないコトが多かったこともあった。

それが・・

テレビ技術の発展(4Kや8Kなど!?)や、シーンを把握するカメラ数の増加といった「中継環境の進化」をベースに(!?)VARが導入されてからは、状況が一変する。

そう、誰もが、とても「微妙なシーン」を、「より」正確に把握し、同じ理解をシェアできるようになったんだよ。

そりゃ、以前のような「くすぶりつづける誤解」が、大幅に減るのも道理さ。

そう、誤解が減れば、相互理解が深まっていくのも、理の当然なんだよ。

そのコトが言いたかった。

かく言うわたしも、以前は、「自分の真実」に凝り固まっていたときもあった。

あっと・・

そのテーマについては、15年来コラムを連載している「商工ジャーナル」に寄稿した下記の文章を参照して下さいネ。

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「だからVARは、主審(レフェリー)に対して、いまのは誤審の可能性があるから、ビデオで見直すことを、お薦めしますと話しかけるんです。決して、正しい判定はこうだった等の、正解を探すといったニュアンスではありません」

先日、日本サッカー協会の審判委員会が主催する、レフェリー・ブリーフィングが行われ、委員長の小川佳実さんが、最後をそう締めくくった。

VARとは、ビデオ・アシスタント・レフェリーの略称。レフェリーという資格が与えられている彼らは、別室でスクリーンに囲まれ、ゴールやPK、レッド カードといった重要な案件で、明白な誤審があったと判断した場合、主審(レフェリー)へ、無線を介して見直しをリコメンド(推奨)する。そして最後は、レ フェリーが一人で決断を下すのである。

重大な誤審は、少なくない。今シーズンの「Jリーグ」でも、誰もが目を疑うミスジャッジがつづいた。ボールが、完全にゴールに入っているのに、強く張られ たネットや、その外側に置かれたバッグに当たり、強く跳ね返ってきたことで、明確に「視認」できていなかったレフェリーと副審が、ポストに当たったと勘違 いしたのだ。

ラグビーとは違い、間断なくプレーがつづいていくサッカーでは、そのスムーズな流れを止めることになる瞬間的なジャッジは、難しい。かく言うわたしも、前 述のレフェリーブリーフィングでのスローモーション再生で、それまで信じて疑わなかった「レフェリーの誤審」が、実は勘違いだったことを確認させられたこ とがあった。安易な思い込みに恥じ入ったものだ。

VARだが、昨年のロシアW杯を皮切りに、イタリア、ドイツ、イングランドといった欧州トッププロリーグでも導入され、ゲームの行方を左右する重大シーンでの誤審が大幅に減ったと聞く。

もちろん、最後は、副審やVARの意見を聞いたり、場合によっては、グラウンドに備え付けられているモニターを確認することで、レフェリー自身が、一人で決定を下さなければならない。その大原則は、変わらない。

とはいっても、スタジアム内の大型ディスプレイに、その、とても微妙な「疑惑のシーン」が映し出されるわけだから、スタンドの観客のなかで「人民裁判」的 な不満が渦巻く危険性だってある。だからスタッフは、その大型スクリーンに映し出される「再生シーン」を、うまく選ばなければならない。スローモーション などは、時として、意見の対立をあおってしまう危険性をはらんでいるのだ。

とにかくVARは、これからも、不可逆的に現場に浸透していくはずだ。そこは、微妙な疑惑ファクターのオンパレード。だからこそ、最終の意志決定が、AI などのコンピュータではなく、レフェリーという、ひとりの人間に委ねられるという大原則を、堅持しなければならないのである。

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・・ってなコトで・・

昨日、サッカー協会主催の「レフェリー・ブリーフィング」が、ネットを介して行われたんだけれど・・

そこで、講師を務められた扇谷健司さん(JFA審判委員会トップレフェリーグループマネージャー)に対して・・

・・VARは、ある意味、サッカーというフレームワークのなかに誕生した、新しい文化とも言えそうですよね・・

・・そう、現場とレフェリーの相互理解を促進するツールとしてね・・

・・なんて、語ってしまったよ。

もちろん、ダゾンで放映している「Jリーグ・ジャッジ・リプレイ」なんていう興味深いプログラムもあるしね(そう、扇谷健司さんに補足されちゃったよ!)。

とにかく・・

VARや協会の努力(ジャッジ・リプレイなど!?)のおかげで、着実に、レフェリー諸氏に対するレスペクト(≒現場との相互信頼!?)が充実してきているって思うのさ。

そのコトが、言いたかった。


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ところで・・

チト唐突ですが、知り合いのジャズシンガー、宮崎友紀子さんを紹介させてください。もう、ホントに素晴らしいソウルフルヴォーカリストです。

以前、あるキャフェライブで聴き、いっぺんにファンになったのですが、その宮崎友紀子さんと、偶然、友人のガーデンパーティーで再会したんです。

彼女については、このページあのページを参照してください。

私がコンサートで聴いたのは「ボサノバ」だったけれど、本当に心に染みわたりましたよ。

その宮崎友紀子さん。私の友人で、日本を代表するベーシスト(コントラバス奏者)藤原清登さんともコラボしたらしい。知らなかった。

 藤原清登さんだけれど、あるライブで彼女のヴォーカルを聴き、すぐに「いいですネ〜・・よければ、今度セッションを組みませんか・・」と、オファーしたんだそうな。

「あの」藤原清登だからね、宮崎友紀子さんの実力については推して知るべし・・だよね。

ということで、彼女の最新アルバムのカバー写真も載せておきます。

また、ギタリスト&シンガー(&パーカッション&マウス・トロンボーンなどのマルチ音楽家)として活躍するホブソン・アマラウさんとのコンビがパフォームするYouTube動画へも「リンク」を張っておきま〜す。

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あっと・・

私が愛用しているウエストポーチやバックパック。それについて何人かの方々に質問されたんですよ。それは、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」

ちょっと、プロモートさせてくださいね。

この方は、某有名メーカーのチーフデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードが散りばめられた「METAS」

とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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