湯浅健二の「J」ワンポイント


2014年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第31節(2014年11月2日、日曜日)

 

「優勝争い」vs「降格リーグ」

 

レビュー
 
今日は、テレビとスタジアムで、2種類の「サバイバルマッチ」を、つづけて2ゲーム観戦したぜ。

両ゲームともに、優勝争い真っただなかのチームが、降格争いギリギリのサバイバルチームと対峙したんだよ。

ガンバ対ベガルタ。フロンターレ対エスパルス。

「これぞサッカーッ!」っちゅうギリギリのシリアスマッチへと中身が詰まっていくのも道理でしょ。私は、他会場での、上位チームと下位チームが戦っているゲームの経過と結果をみながら、手に汗握っていた。

ということで、まず、ガンバ対ベガルタを自宅でテレビ観戦し、その足で等々力(フロンターレ対エスパルス)へと、愛車で馳せ参じたという次第。

あっと・・

ところで、頸椎ヘルニア由来の神経痛。それは、ほぼ癒えた。だから先日の、アントラーズ対レッズ戦も、鹿島まで愛車で駆けつけられた。

まあ、帰路は、予想だにしていなかった豪雨に見舞われてしまったけれど(気象庁の予報が大外れだったんだよ!)、それでも、とても充実した雨中ライドだった。

そのことについては、本田圭佑についても書いた「このコラム」をご参照アレ。

あっと・・蛇足・・

ということで、今日の二つのゲームに関する数字的なプロセスや結果については、他のサイトやテレビなどを参照して下さいネ。

まあ、こんなゲームだったからネ、私がピックアップするテーマは(お察しの通り!?)たった一つに集約せざるを得ないでしょ。

そう、不確実な要素が満載の(だからこそ自由度がとても高い!)サッカーは 、本物の心理ゲームという哲学的なテーマ。

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この二つのゲームを「サバイバル&シリアスマッチ」と表現した背景は、もちろん、これ以上ないほどのフィジカル&サイコロジカルパワーがぶつかり合ったという意味合いだぜ。

それも、部分的には、人知の及ばない領域にまで踏み込んでいたかもしれない・・と感じさせられるほどの闘い。そう、互いに、最後の最後まで、「半歩」先に足が出ていたんだよ。

一方は優勝争い、他方は降格争い。

そんな2種類のサバイバルマッチだったけれど、もちろん、実質的な内容としては、両ゲームともに、大枠で同じ傾向にあった。

それは・・

・・優勝戦線真っただ中のチーム(ガンバとフロンターレ)・・彼らは、「勝つしかない」降格リーグチームがガンガン前へ仕掛けてくるのを、ガッチリと受け止める・・そして「自分たちのサッカー」で重厚に押し返していく・・

・・たしかに立ち上がりは攻勢に出ていた両方の「降格リーグチーム」・・でも、時間を追うごとに、徐々に相手にイニシアチブを握られていくんだ・・

・・とはいっても・・ここが大事なポイントなんだけれど・・とにかく、降格リーグチームの守備における集中力が、まったく途切れないんだよ・・

・・私は、ボールがないところでのディフェンスの内容を言っている・・要は、何十回に一度ボールが回されてくるような相手フリーランニングへの対応のこと・・

・・そんな目立たない汗かきディフェンスの内容が、ものすごく充実していたんだ・・要は、サボらないということだね・・

特に、ガンバ対ベガルタでの、前半のべカルタの守備。それは、もう、感動的でさえあったよ。だからこそ、ゲーム全体でも、ベガルタがイニシアチブを握れた。

何せ、最前線の突貫小僧(武藤雄樹だったっけ!?)が、何度も、自軍ゴール前までフルスプリントで戻ってスライディングタックルを仕掛けるんだからね。

まあ、そのことは、フロンターレ対エスパルス戦での、エスパルス守備にも言えるよね。そう、常に、足が「半歩以上」先に出つづけるような、粘りの実効ディフェンス。

とはいっても・・

そう、(このポイントも、とても大事なんだけれど・・)サッカーの全体的な内容では、やっぱり、ガンバとフロンターレに一日の長があったという事実。

守備では、ボールを奪い返すプロセスで、また攻撃でも、スペースを攻略するプロセスで、そのコンテンツの量と質という視点で、明らかに相手(ベガルタとエスパルス)を上回っているんだ。

攻守プレーの「コンテンツの量と質」・・なんて、分かりにくい表現をつかってしまって申し訳ありません。でも、今日は、テーマが違うから・・

でも一つだけ・・

要は、組織サッカーの内容が同等だったら、最後は、個のチカラがモノを言う・・という普遍的な真実のこと。

そう、ガンバには、宇佐美貴史、遠藤保仁、そしてパトリックという「個の才能」が揃っている(もちろん他にも特筆の才能はいるけれど・・)。

またフロンターレには、中村憲剛、レナト、大久保嘉人という「個の才能」が揃っている(もちろん他にも特筆の才能はいるけれど・・)。

まあ、このテーマについては、別の機会に・・

ということで、後半立ち上がりにベガルタゴールに先制ゴールをブチ込んだガンバは、その後も、バーやポストを直撃するなど、決定的チャンスを作り出しつづけるんだよ。でも・・

そう、そんな「アタマをハンマーでブン殴られるような状況」を何度も体感させられたベガルタだったにもかかわらず、彼らの、攻守にわたる忠実ハードワークの量と質には、まったく衰えが見えなかったんだ。

そこが、スゴイ。

いや、むしろ、ピンチに陥れば陥るほど、攻守にわたるギリギリの競り合いで、それまで「半歩」だったのが「一歩」まで伸びる・・ってな感じ。

とにかく、その諦めない姿勢は、感動的でさえあった。そして・・

まあ、後半途中から交代出場したベガルタの柳沢敦がブチ込んだ、まさに「執念のカタマリ」という同点ゴールについちゃ、ネットやテレビで確認してくださいネ。

その同点ゴールにゃ、ホント、ビックリさせられたっけ。

何せ、「あれだけ頑張っているんだから・・」なんていう思いが、本当に、実際のゴールとなって報われてしまったんだから。

そんな「驚愕体感」は、フロンターレ対エスパルス戦も同じだったよね。

そう、後半32分から投入された村田和哉が、後半ロスタイムにブチ込んだ決勝ゴール。

・・ところで村田和哉・・

・・ウワサは聞いていたんですよ・・それでも、彼のスーパー決勝ゴールを目の当たりにして、度肝を抜かれた・・その勝負強さというか、確信が込められたエイヤッのドリブル突破シュートというか・・彼には、特別な何かを感じさせられる・・

・・たぶん彼は、普通の人と、何か違うはずだと思うのだが・・例えば、性格が変だとか(笑)・・

村田和哉について、大榎克己監督に、つい、そんな質問を投げた。

それに対して大榎さんは、真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれたっけ。曰く・・

・・いや、性格が変ということはありませんよ・・村田については、彼のHPを読めば、よく分かるのですが・・

・・居残り練習の意図とか、自分のミスの分析など、その文章から、彼の、こつこつ努力する真摯な姿勢が、ダイレクトに伝わってくるんです・・

・・彼は、自分が良いと思ったモノを、常に、積極的に採り入れようとしている・・そうそう、その意味じゃ、岡ア慎司につながるモノがありますよね・・ま あ、岡アと比べるのは失礼かもしれないけれど(そのとき・・いや、本質的には同等だと思う・・ってな大榎さんのニュアンスが伝わってきたゼ!)・・

・・とにかく、その前向きに努力するという姿勢にはアタマが下がる・・もちろん、チームにとっても、ムードメイカーとして、素晴らしくポジティブな影響をあたえてくれる・・

・・あっ、そうそう・・実は、ショップのグッズ売り上げでも、彼関連のモノが一番なんですよ・・彼のキーワードは、努力・・ですかネ・・あと、自分をプロデュースするプロ・・なんていう表現もいいかもしれません・・エヘヘッ・・

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とにかく、お互い、これからの血湧き肉躍る「優勝争い」と「降格リーグ」をとことん楽しみましょう。

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ところで、先日、高円寺のパンディットという「トークライブハウス」で、下記の「ナマ対談本」に絡めて、後藤健生さんと対談をやったんですよ。

アナウンス(事前の告知)が足りず、参加していただいた方は少なかったけれど、その対談全体が、「You Tube」にアップされましたので、お知らせします。

2時間近くも話しまくったのですが、その第一部が「こちら」で、その第2部が「あちら」です。

また、下記の「ナマ対談本」についても二人で語っている部分があるのですが、編集部が、それを、このように「編集」したのだそうです。まあ、ということで「こちら」もご参照アレ。

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ブラジルW杯に、後藤健生さんと「スカイプ」を介して繰り返したディスカッションをまとめた、ライブ感あふれる「ナマ対談本」が出来上がりました。

その新刊については、「こちら」をご参照ください。ではまた・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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