湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第29節(2018年10月5日、金曜日)

 

積極的な攻撃サッカーを志向する両チームの、ダイナミックで魅力的な「ぶつかり合い」・・(マリノスvsコンサドーレ、2-1)

 

レビュー
 
互いに積極的に攻め合う、スゲ〜〜エキサイティングな勝負マッチだった。

そう、積極的な攻撃サッカーが、ガチンコでぶつかり合ったんだ。

だからこそ選手たちは、喜びと勇気をもってプレーできるし、観ている方も、心底、手に汗にぎって楽しめる。

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それにしてもコンサドーレ。

第26節で、フロンターレに「7点」もブチ込まれて負けた彼らだったけれど、でも、そのコラムで書いたように、サッカーの内容自体は、誇れるモノだった。

そして、この試合でも・・

たしかに、ゲーム全体としてはマリノスにイニシアチブを握られてはいたけれど、それでも彼らは、決して怯(ひる)むことなく、果敢に攻め上がりつづけたんだ。

ホント、立派。

そんな、「勇気」がほとばしる積極的な攻撃サッカーを観ながら、ミハイロに対して、心からの、驚嘆の拍手をおくっていた。

そのミハイロが、こんなニュアンスの素敵なコメントをしていたっけ。

・・たしかに我々には、まだまだ、山積の課題がある・・

・・でも、今シーズン選手たちは、積極的にチャレンジしていくことで、大きく伸びた・・

・・コンサドーレは若返っているし、気概に溢れているからこそ、伸びしろは大きい・・

・・我々は、来シーズンも、ステップバイステップで進化をつづけていく・・

ところで、ミハイロ(コンサドーレ)に対するレスペクトだけれど・・。

それには、こんなバックボーンも内包されていたんだよ。

それは・・

気候が「落ち着いていく」のに合わせるように、サッカー内容が、シーズン当初の「抜群の強さと美しさ」を甦らせている、「強い、強〜い」マリノスが相手だったということ。

そんなマリノスに対して、「あれほど」立派に対抗できていたわけだから・・サ。

ということで・・

コンサドーレは、普通の強豪クラブにまで発展している!?

まあ、そのテーマについては、来シーズン、本格的にディスカッションしましょうネ。

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あっと・・強さと美しさが甦(よみがえ)っているマリノスだけれど・・

実は、試合後の会見で・・

ポステコグルー監督に、下記のような質問を投げてみたかったんだ。

でも、「時間が押している・・」ということで、司会の方が、会見を早々に切り上げてしまった。

残念・・

ところで、その質問だけれど、それは、「こんな感じ」になったはず・・

・・ここにきて、マリノスは、シーズン当初に周りを驚嘆させた「素晴らしくダイナミックな組織サッカー」を取り戻しつつあると思う・・

・・とはいっても、夏場は少し苦労した・・

・・そこじゃ、相手も含めて、全体的な運動量は減退していくわけだが・・

・・そんな、厳しい(日本の)自然環境でサッカーをするなかで、ポステコグルーさんは、何を、どのように分析した(学習した)だろうか?・・

・・なんてね・・

まあ、その質問は、次の機会にしよう。

とにかく・・

全体的なサッカー内容では、マリノスに一日の長があったとはいえ、最後の最後まで諦めず、強烈な闘う意志をブチかましつづけたコンサドーレに(ミハイロに)対して、もう1度、心からの賞賛の拍手をおくりますよ。

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ということで、次のテーマだけれど・・

それは、両チームが創りだしたチャンスへ至るまでのプロセス・・という視点。

両チームともに、多くの人数をかける積極的な攻撃サッカーを魅せつづけていた。

そんななかで、ボールを奪い返した次の瞬間からブチかます、タテへの(直線的な!?)素早い仕掛けが目立っていたんだよ。

まあ、たしかに(ショート)カウンターとも言えそうだけれど、ここでは敢えて「タテへの素早い仕掛け・・」という表現にこだわりたい。

要は・・

守備ブロックが「カッチリ」と決まっていたら、両チームともに、そんなに簡単にはスペースを攻略できない・・

でも、攻め上がっていくなかで・・

「変なカタチ」でボールを失ったときに、大ピンチに見舞われてしまうケースが多かったんだ・・

その「変なカタチ」の典型は、安易な横パスやバックパスを奪われてしまう状況だよね。

もちろん、デュエル状況からこぼれた、ルーズな「セカンドボール」を意の一番に触るのも、チャンスにつながる。

言いたかったことは・・

両チームともに、人数をかけて攻め上がっていったからこそ、ボールの失い方によっては、大ピンチに陥ってしまうっちゅうことさ。

そして、そのピンチシーンは、コンサドーレの方が多かった。

そう、コンサドーレの方が、より悪いカタチでボールを失っていたんだよ。

だから・・

まあ、そんな「素早いタテへの仕掛け・・」という視点でも、「より」優れた人材に恵まれているマリノスに、一日の長があったのは確かな事実だった・・ということだね。

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あまり長く書くつもりはないけれど・・

最後に、もう一つだけ、ディスカッションテーマを・・

それは・・

不確実な要素が満載のサッカーだからこそ、「同じシチュエーション」は、二度と起こらないという視点。

だからこそ、「机上の空論」的なロジック展開で、幾何学的に、サッカー現象を語るのは止めにして欲しい・・って思うのさ。

一つの、とても偶発的な現象について、そこに「普遍性」を見出したかのごとく、得意になって分析ロジックを展開しようとする姿勢。

そこには、まさに空虚な(堂々巡りの!?)ディスカッションにつながってしまう危険性があふれているんだよ。

このゲームの会見でも、ポステコグルーに対して、そんな、机上の空論とも言える「幾何学ロジック質問」が出されていたけれど・・

でも・・

そう、そんなステレオタイプ的な質問に対してポステコグルーは、シンプルに・・

・・相手が、どんなにゲーム戦術を変えようと、選手たちは、スペースを創り出したり、スペースを見出しながら、そこを攻略しようと、(主体的に!?)考え、工夫しつづけているんだ・・

・・というニュアンスの内容をコメントしていた。

いいね〜〜・・

そういえば・・

ポステコグルーは、第26節レッズ戦の会見でも、降格の危険とも対峙しているマリノスのサッカーが「リスキー過ぎるのでは?」という質問に対して、素敵なコメントをしていたっけね。

それについては、「このコラム」の最後の部分で書きましたから、ご参照あれ。

あっと・・

前述した、「幾何学的にサッカー現象を語る・・」という不毛なディスカッションについては、「システム」と呼ばれるモノについて私見を述べた、「このコラム」も参照して下さい。

では、また・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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