湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2020年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第24節(2020年10月25日、日曜日)
- 紆余曲折を経ながら、最後は、互いに秘術を尽くし「切る」エキサイティング勝負マッチへと成長した・・堪能した・・(鳥栖vsベルマーレ、2-2)
- レビュー
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- 数日前にベルマーレのホームで行われた、同じカードの、エキサイティングな「動的均衡マッチ」。
まさに、両チームの強烈な意志と意地が、ガンガンぶつかり合った。
そのゲームについては、「このコラム」で簡単に書いたわけだけれど、それでも今日の展開は、すこし「趣」を異にしていたよね。
そう、数日前の「爆発的なダイナミズムのぶつかり合い」が、今日は、落ち着いた雰囲気の方が先行していたんだよ。
そこでは、ホームの鳥栖が、全般的にはイニシアチブを握るってな展開。
対するベルマーレは、「やんちゃ坊主から落ち着いた青年へ・・」ってな感じのイメチェンだったんだ。
・・と、ここまで書いてから正直に明かすけれど・・
実は・・
ここまでの文章は、ハーフタイムに、「メモ書き」として残したヤツだったんだ。
でもね・・
そんな「落ち着いた展開」でも、ベルマーレが、二つのゴールを奪い、「1-2」のリードを奪っちゃったんだよ。
私は、その(イニシアチブの動向からすれば、少し違和感のある!?)ベルマーレリードのバックボーンを、こう考えた。
ベルマーレの、落ち着いた、実効レベル重視のボール奪取プロセス(守備のやり方)・・
サッカーを分析するときの絶対ベースは、やっぱり、ボール奪取プロセスをつかさどる基本イメージングの連動性でしょ。
その視点で・・
前半のベルマーレは、前からプレス守備と、落ち着いたブロック守備を、とてもスムーズに使い分けていたんだ。
だから・・
そう、ベルマーレは、攻め上がる鳥栖の「勢いの逆を突く」感じでボールを奪い返し、それをスペース攻略チャンスにつなげていたんだ。
カウンター狙い・・!?
いや、そうではないと思う。
彼らの攻撃は、あくまでも組織的な組み立てから、鳥栖のディフェンスブロックのバランスが、微妙に「開いたスキ」を、とても巧妙に突いていった・・ってな感じ。
でも、後半は・・
そんな、ある意味「落ち着いた」ゲーム展開が、風雲急を告げはじめるんだ。
そりゃ、そうだ・・
「そのまま」じゃ、ホームの鳥栖が、負けちゃうわけだからね(後半スタート時点で、1-2とベルマーレのリード!)。
鳥栖の、仕掛けへの(ボール奪取への!)ダイナミズムがアップしていくのも道理。
でも・・
そう、そんな、鳥栖の「アグレッシブマインド」に刺激されたのか(!?)、ベルマーレの、ゲーム支配への意欲も、どんどんアップしていったと感じられたんだ。
この、「ゲーム内容(意志)の揺動」という現象のバックボーンは?
う〜ん・・実は、よく分からない。
実際にグラウンド上でプレーしている選手たちが感じる、微妙な「感性の揺動」もあったのかもしれないね。
そう、相手にボールを支配されることに対する「フラストレーション」とかね。
まあ、スポーツの世界では常識だけれど・・
最後の心理エネルギーは、怒り(焦燥感)とか、もっと言えば、憎しみといった、人間心理の「ダークサイド」から絞り出されるモノの方が大きいと思うのさ。
喜びとか楽しみっていうようなハッピー感性は、やっぱり、人間心理のダークサイドパワーにゃ、勝てない。
フムフム・・
あっと・・チト脱線・・
とにかく・・
ゲーム内容変容のバックボーンは定かじゃないけれど、ベルマーレのサッカーが(意志と意地のパワーが!?)より活性化したことだけは確かな事実だったのさ。
でも・・
そう、皮肉なことに、ベルマーレが主導権を握ったゲーム展開のなかで、鳥栖の同点ゴールが生まれたんだ。
これで、2対2。
そして、そこからは(まあ、その前の時間帯も、その傾向が強かったけれど・・)、ゲームが、数日前のような、エキサイティングな「動的均衡マッチ」へと成長していったんだ。
攻守にわたって、激しく「せめぎ合う」両チーム。
それも、とてもハイレベルな、(攻守の個人&グループ戦術を駆使する!)局面プレーや、攻守イメージが連動する組織プレーの応酬なんだよ。
素晴らしくハイレベルな攻防・・
堪能した。
この両チームの場合・・
皆さんもアグリーだとは思うけれど・・
強豪チームが相手でも、とても高質なサッカーでイニシアチブを握ってしまうケースだって多いんだよ。
それでも・・
そう、一発カウンターとか、セットプレー、はたまた、個のドリブル勝負や、一瞬の「気の緩み」で、フィニッシャーに(パスレシーバーに!)ウラの決定的スペースへ走り込まれたり等など、ほんのチョットした集中切れ(!?)で負けてしまうケースが多い。
もちろん・・
そんな、一瞬のスキを突けるのも、強豪の証だっちゅうコトなんだけれど・・さ。
とにかく、今日は・・
高質な内容が詰め込まれたエキサイティングマッチを観せてもらったって、心から満足している筆者だったのであ〜る。
へへっ・・
あっと、最後に・・
その「高質な内容」を体感できたのも、ダゾン・カメラワークのお陰です。
とにかく、スタジアム観戦と同じレベルの「俯瞰する観戦」が可能だったんだ。
だから、ボールがないところでの、攻守の「イメージングのせめぎ合い」だって、うまく視認できた。
そんな高質なズーミングワークに対して・・
今でも、たまに、「低級なズーミングワーク」に悩まされるコトがあるんですよ。
例えば、昨日の「モンテディオ山形vsヴェルディ」でのカメラワークとかね。
もちろん、大多数は、今日の中継チームのように、優れたズーミングワークと映像構成を魅せてくれています。
だからこそ・・
そう、たまに遭遇する、低級なカメラワークに、辟易(へきえき)するんですよ。
スミマセン・・ね・・文句が多くて・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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