湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2020年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第26節(2020年11月3日、火曜日)
- 「前半3分の先制ゴール」という(心理的な!?)諸刃の剣・・同点ゴールをブチ込まれてからのレッズは、勝ち越しゴールを狙えるようなペースアップを演出できなかった・・(サンフレッチェvsレッズ、1-1)
- レビュー
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- フム〜〜・・
最後は、疲れ切ってしまったレッズ。
片野坂知宏に率いられ、とても良いチームに仕上がっているトリニータとの戦いから、なか二日で臨んだ、優れたプロコーチ城福浩が創りあげた、これまた強いサンフレッチェとのアウェー2連戦。
そりゃ、疲れるのも無理ない。
それにしても・・
ゲーム立ち上がりの前半3分に、興梠慎三がブチ込んだ、素晴らしいトラップ&コントロール&シュートは、芸術の領域だったね。
でも・・
そう、わたしは、その唐突な先制ゴールを観ながら、「これから、どんなゲーム展開になっていくんだろ〜・・」なんてテーマに、アタマを巡らせていた。
そんなコトを考えていたら・・
その直後からサンフレッチェが、ガンガン攻め上がり、とてもハイレベルな最終勝負を、繰り返し、ブチかましはじめるんだよ。
そして何度も、レッズ守備ブロックの「スペース」を突いた、決定的チャンスを創り出す。
えっ・・!?
「あの」堅牢なはずのレッズ守備ブロックが、こんな感じで振りまわされ、ウラを突かれちゃっている。
そんなグラウンド上の現象を観ながら、またまた、考え耽(ふけ)ることになる。
いや・・
誤解を避けるために、これだけは、もう一度、強調しておきますよ。
城福浩サンフレッチェは、とても、とても強いチームなんだよ。勝ち点は、そのサッカー内容に見合ったモノじゃないけれど・・サ。
とにかく、レッズは・・
あの時間帯(前半15分あたりまで!?)に同点ゴールを奪われなくてよかった、ホントに。
その後も、イニシアチブは、サンフレッチェが握りつづける。
それに対してレッズは、どんどん「堅牢度」を増していく守備ブロックをベースに、カウンターイメージを熟成させる。
それでも、城福浩のクレバーな戦術イメージによって、サンフレッチェは、レッズのカウンターの芽を、ことごとく摘み取ってしまうんだよ。
一度だけ・・
後半4分に、マルティノスが魅せた、まさに誰も追いつけないスピーディーな突進ドリブル(カウンター)&フリーシュートのシーンは、圧巻だった。
でも、惜しいカウンターシーンは、それくらいだったね。
どうなんだろうね・・
ことほど左様にレッズは、先制ゴール以降は、まさに「ブロック守備を堅牢にマネージする・・」ってなイメージで統一されちゃっていたんだよ。
そこでは、「イニシアチブを掌握し、2点目を奪いにいく・・」なんていう積極的な意志は、これっぽっちも感じられなかったネ。
そうではなく、ひたすら、ポールを奪い返してからのショートカウンターをイメージしつづけていたんだ。
そして、そんな「静的なゲーム」のなかで、時間ばかりが、コチコチと刻みつづける。
そう、「あの」レアンドロ・ペレイラの同点ゴールが決まるまではね。
もちろんレッズは、その同点ゴールを「スイッチ」に攻め上がろうとする。
でも・・
そう、それまでのゲーム展開からすれば、まったく「異なったイメージ」のサッカーをブチかまそうとしていた(急激な意志の高揚!!)わけだから、うまくいくはずがない。
逆に、変なカタチでボールを失い、サンフレッチェのカウンターを浴びることになるんだ。
まあ、そんな、こんなで、結局は引き分けという結果に落ち着いた。
まあ、サッカー内容からすれば、フェアな結果かもしれないね。
それにしてもサンフレッチェの交替選手。
ドウグラス・ヴィエライにしてもエゼキエウにしても、まったく、使えない。
あれだったら、交替してグラウンドを去った柏好文や浅野雄也、はたまた青山敏弘の方が、何倍も、可能性を感じさせてくれたはず。
まあ、外様の筆者のコトだから・・
数日前のマリノスとの32節マッチも含めて、変なネガティブコメント、許してくださいネ、城福さん・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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