湯浅健二の「J」ワンポイント


2014年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第24節(2014年9月20日、土曜日)

 

勝者メンタリティーが深化しているレッズ・・リーグ終盤の紆余曲折へ向けて準備万端だね・・(レッズvsレイソル、 3-1)

 

レビュー
 
強いネ〜、レッズ。まさに、勝者メンタリティーの炸裂・・ってな感じ。

勝者のメンタリティー・・!?

まあ、言葉で表現するには、とても難しいテーマではあるけれど・・取り敢えず・・。

その絶対的バックボーンは、何といっても、攻守にわたる積極プレー(リスクチャレンジ)に対する「意志の高揚」と、その積み重ねによる「自信の深化」ということになるんだろうね。

だから・・

・・どんな逆境に遭遇しても、絶対にうまくいくという確信と、実際の積極アクションに対する強烈な意志(勇気)が湧き出てくる・・

・・そして、攻守にわたるプレーが、どんどん主体的なダイナミズムにあふれ、そのポジティブな「意志エネルギー」が、すぐにチーム全体へと波及していく・・

そんな感じですかネ、勝者メンタリティー・・。

その内実は、攻守のサッカー内容がうまくいっていないとき(まあ、特にディフェンスのダイナミズムが減退してしまいそうな流れにはまったとき!?)にこそ明確に見えてくる。

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ネルシーニョも(監督会見で!)認めていたように、いまのレッズは、本当に(チームとして)とてもいい状態にあると思う。基本的なチーム総合力が高いことも含めて(ネルシーニョの表現!)、まさにリーグトップの実力を誇っているんだよ。

ところで、ミハイロ・ペトロヴィッチ。

彼が、会見のなかで、我々ジャーナリストに、こんな質問を投げかけた。

それには、この試合でのレイソルも、様々な意味合いを内包する「バランス」の取れた(守備から入っていく!)ゲーム戦術で臨んでいたから。

たしかに、(特にこのところ!!)レッズの対戦相手は、まずしっかりと守備を組織し、それをベースに注意深く攻め上がってくる・・という(ゲーム)戦術で試合に臨んでくるよね。

そのことを前提に、ミハイロが、こんな質問を投げかけたわけだ。曰く・・

・・それは、レッズ選手たちの個の能力が秀でているからなのか?・・

もちろん答えは、決まっている。最初に質問に立った大住良之さんが、明快に、その質問に対して答えてくれた。曰く・・

・・たしかにレッズの対戦相手は、とても注意深くゲームに臨んでくる・・そのバックボーンは、レッズの個のチカラがずば抜けているからじゃない・・そうではなく、優れたチーム戦術をベースにしたチーム総合力に対してレスペクトしている(し過ぎている!?)からだ・・

そう、まさに、その通り。

そのハナシのついでだけれど、私は、ゲームを観ながら、こんなことも考えていた。

・・レッズの先制ゴールと追加ゴールは、セットプレーやカウンターではなく、しっかりとした組み立てプロセスをベースに、繰り返しチャンスを作り出すなかでゲットしたよな・・

強固に組織作りされた相手(レイソルの)守備ブロックをものともせず、その強固なブロックを崩し切ってチャンスを作り出しちゃうんだよ。

シンプルに表現したら、まあ、こんな感じかな・・

・・後方で、冷静にボールを動かす流れはそのまま・・でも、ある状況になったら(チームのなかにその状況に対する共通理解があるからこそ!!)、最前線だけじゃなく、サイドバックや中盤も、アクティブに動き出す・・

・・そう、仕掛けの「人の動き」・・

・・だから、前後左右に、小気味よくボールが動く・・そして、その動きを加速するように、人の動きが、幾重にもオーバーラップするように動きつづける・・

このテーマについて、ミハイロは、こんなことも言っていたっけ。曰く・・

・・我々は、日本代表のフレンドリーマッチによるリーグ中断中に、特に、ボールがないところでの動きの量と質というテーマを突き詰める作業を繰り返していた・・

・・組み立て段階から仕掛けへつながるプロセスだけじゃなく、もちろん、最終勝負シーンでの、3人目、4人目の動きも含めてだ・・

・・そこで、もっとも大事だったテーマは、選手たちが主体的に考え、勇気をもって実行していくということだった・・

そう、グラウンド上の主体は選手たちなんだ。

彼らが、攻守の「目的」を意識し、それを達成するために、どのようにするのがベストかを考えつづけてイメージを構築し、そして、勇気をもって実行していく。

そんな主体的なプレー姿勢。そう、(闘う)意志。

不確実な要素が満載のサッカーだからこそ、その不確実性を、いかに「自分のモノ」にするのか・・という根源的なテーマにも、「主体的」に取り組んでいかなければならないというわけだ。

サッカーにおける「主体性」の哲学的な意味は?

面白いテーマだね〜・・。でも、もちろんここじゃ、深入りしようなどとは思わないけれどサ・・。

あっと・・発展をつづける(勝者メンタリティーを深化させつづける)レッズというテーマだった。

だからこそ彼らは、膠着したゲーム状況でも、積極的に(ボールがないところでの!)仕掛けアクションを繰り出していくことで、『主体的』に、相手守備ブロックを振り回すことができるようになっているっちゅうわけだ。

このテーマは深い。

だから、これからもレッズの組織サッカーを(その発展コンテンツを)観察し、そこに内包されているコノテーション(言外に含蓄される意味)を表現することにトライすることにしまっせ。

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最後に、プレイヤーについても、ちょっとだけ。

とにかく、阿部勇樹と鈴木啓太のボランチ(中盤の底)コンビのプレーぶりは、本当に、それを追いかけるだけでも入場料にオツリが来るっちゅうもんだ。

特に鈴木啓太の、高みで安定した、攻守にわたるハード&クリエイティブワークは、楽しいことこの上ない。

「このテーマ」についても、新連載「The Core Column」で取りあげることにしますよ。

また、李忠成と梅崎司。

今この2人は、多くのケースで、「入れ替わる」ことが多いけれど、そのプレー内容(タイプ)に、様々な違いがあることで、レッズ攻撃にも(有為で有用な!?)変化が、もたらされている・・というテーマもあるよな。

とにかく、リーグ終盤戦へ向かうレッズの、これからの紆余曲折が、楽しみで仕方ありません。

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ところで、ブラジルW杯に、後藤健生さんと「スカイプ」を介して繰り返したディスカッションをまとめた、ライブ感あふれる「ナマ対談本」が出来上がりました。

その新刊については、「こちら」をご参照ください。ではまた・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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