湯浅健二の「J」ワンポイント


2016年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第19節(2016年7月9日、土曜日)

 

立派なサッカーを展開したレイソル・・そして、ミハイロとの対話・・(レッズvsレイソル、2-0)

 

レビュー
 
まあ、たしかに、ミハイロも言っていたけれど、(特に前半は!?)ちとフラストレーションが溜まるサッカー内容ではあったよね。

もちろん、そんな印象は、いまのレッズが魅せつづけている、とても素敵な進化&深化に対する期待値が大きいことの反作用とも言えそうだけれど・・サ。

でもネ・・。

そう、そこには、レイソルが展開した立派なサッカーに敬意を表さなきゃいけないという視点も持たなければいけないのだよ。

この試合でのレイソルは、強いレッズ(下平隆宏監督の弁!)が相手ということで、「対処ゲーム戦術」を、忠実に、そして勇気(強い意志)をもって実行していたんだよ。

でも、その対処ゲーム戦術は、決して、守備ブロックをガチガチに固めるような受け身のディフェンス戦術などではなく、あくまでも、前向きで積極的な「やり方」だった。

だから選手たちも、活き活きと、最後の最後まで、強い意志をブチかましつづけていたよね。

要は、カチッと守備の組織バランスを「決め」、それをベースにした組織プレッシングから、積極的にボールを奪い返しにいったということ。

そして、そんなレイソルの組織ディフェンスがうまく機能したからこそ、レッズにしても、そう簡単には、「得意な仕掛けの流れ」に持ち込めず、「攻守リズム」を最高潮レベルにまで引き上げるのがままならなかったという視点もあるということなんだ。

もちろんレイソルは、レッズ選手たちの「心理的なとまどい」の間隙を突いて、自分たちの(攻撃での!)持ち味を、存分に発揮していた。

そう、クリスティアーノ、ディエゴ・オリヴェイラ、伊東純也というスピードスターたちの才能を存分に発揮させる(ショートも含めた!)カウンターの流れ。

そんなレイソルのスピーディーな仕掛けに、何度か、レッズ守備ブロックも肝を冷やした。

もちろんソレは、とても貴重な学習機会でもあるわけだ。ピンチの冷や汗をかかされたからこそ、何度も、ビデオで確認し、「勝負イメージ」を充填、発展させなきゃいけない。

その積み重ねこそが、チーム戦術的な内実や勝者メンタリティーも含めて、次のステップへとつながるんだよ。

あっと・・

今日の監督会見では、こんな特筆テーマが出てきたっけ。

それは、レイソル下平隆宏監督がコメントした、「強いレッズ」という視点。

だから、そのポイントについて、「レッズの何が強いのか? 個のチカラでは、他のチームと比べて、ものすごく秀でているというワケでもないと思うのだが・・?」なんていう質問を投げた。

そしたら、とても真摯に、レッズの強さについて色々なファクターを列挙してくれた。

なかでも・・

・・レッズは、とても優秀な一人のプロコーチが、長い時間をかけてチームを作っている・・だからレッズは、戦術的なイメージが統一されている・・チームとしての完成度は、とても高い・・

そんなコメントが耳に残った。

そう、継続こそチカラなり・・。

このテーマについては、新連載「The Core Column」で、かなり前に、「こんなコラム」を発表したから、そちらもご覧あれ。モデルは、言わずもがなの、湘南ベルマーレ。

あっと・・

そんな、レイソル下平隆宏監督の素敵なコメントをベースに、ミハイロに対して、「その下平さんのコメントに対してコメントしてくれないか・・?」と聞いた。

そしたらミハイロは、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれたんだよ。曰く・・

・・彼が(下平隆宏監督が)そんな風に評価してくれたことは嬉しいし感謝する・・

・・監督が思い描く戦術イメージを体現するためには、チームの意志を統一させることも含めて、とても長い時間が必要・・

・・ミーティングで、ホワイトボードを使って説明した「動き」を、実際のグラウンド上で体現させるのは、そんなに簡単じゃない・・

・・要は、その「擦り合わせ」を、いかに効果的にマネージするのかというテーマなんだ・・

・・だからこそ監督は、選手たちが、自分自身で考え、勇気をもって積極的にアクションしていくことを求めつづけなきゃいけない・・それがあって初めて、チームが、監督のイメージを、それなりに表現できるようになるんだ・・

・・等など・・

それ以外にも、一つの理想イメージを追求していくプロセスでは、同じような要素のトレーニングを、しつこく繰り返すことも必要だ・・だから忍耐が肝心・・なんていうハナシも出た。

特に若いコーチ連中は、目新しいトレーニング方法を取り入れることに熱心だけれど、それをやればやるほど、トレーニングのテーマ(焦点)がブレてくる。

それでは、トレーニングの効果を極大化することなんて夢のまた夢だよね。

ミハイロも、サッカー史に残るスーパーコーチ、ブランコ・セベッチから、同じような内容の「教え」を受けたらしい。もちろん、イビツァ・オシムからも・・ネ。

だから会見が終わった後に、ミハイロに、こんなハナシをした。

・・オレも、ヘネス・ヴァイスヴァイラーから、同じようなコトを、何度もしつこく言われたよ・・

・・トレーニングを、本当の意味で効果的なモノにするためには、とにかく、同じことを、しつこく繰り返すことが肝要なんだ・・ってね・・

・・それに対して、若いヤツらは、目先の変化を求めようとする傾向が強い・・でもそれじゃ、本当の意味での実効は、逆に遠のいていくことが多い・・

今日は、ゲームのこと以外にも、なかなか深みのあるハナシ(対話)が出来ました。

面白かった。では、また。

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ところで、ワケの分からない、1.ステージ、2.ステージ、そしてチャンピオンシップ・・という「興行」について。

昨シーズンの「J」は、本当にツキに恵まれた。

何せ、年間最多勝ち点チームというリーグ頂点に立ったサンフレッチェが、「興行チャンピオン」にも輝いたわけだからね。でも、昨シーズンの二位クラブは、ガンバ大阪なんだってサ。要は、「興行チャンピオンシップ準優勝チーム」ということらしい。

まあ、皆さんも感じられている通り、とても、変。まあ、協会側は、この不自然なリーグシステムを「まだ」つづけるつもりらしいけれど・・サ。フンッ。

皆さんもアグリーだと思うけれど、「J」に関わっているサッカー人は、絶対に、『年間最多勝ち点チーム』を目指さなきゃいけないんだよ。

まあ、以前の「2ステージ制」とは違い、昨シーズンから始まった「今回の興行」では、シーズンが終了したとき、『年間最多勝ち点チーム』が一番エライってことになることだけが、救いかな。

ということで、その後のトーナメント(チャンピオンシップ)は、まさに「興行」。

そして「J」の歴史には、『年間最多勝ち点チーム』と『興行チャンピオン』の両方が刻み込まれる(刻み込まれなきゃいけない!)。そうじゃなきゃ、10年、20年後に、「昔」と比べられる、同じ基準のチャンピオンがいなくなっちゃうわけだからね。

だから、サッカー人だけじゃなく、読者の皆さんも、『年間最多勝ち点チーム』をイメージしてシーズンを楽しむべきだと思うわけなのですよ。

この「テーマ」については、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。

そこでは、いかに(目的が歪んだ興行の!)2ステージ制が、世界の主流フットボールネーションが築き上げた「伝統」に逆行しているのかというディスカッションを展開しました。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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