湯浅健二の「J」ワンポイント


2023年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第19節(2023年7月1日、土曜日)

 

レッズのボール奪取プロセス(守備)が、本当の意味で「安定」するまでには紆余曲折があった・・でも勝って良かった・・(鳥栖vsレッズ、1-2)

 

さすがに、レッズのボール奪取プロセス(守備)は、強い。

でも、その「安定ディフェンス」に至るまでには、紆余曲折があった。

その「流れ」が良くなったキッカケは、やっぱり、選手交代だったと思う。

そこで交替したのは、前線の二人。

そして、一点を追う鳥栖のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)の流れが、明らかに、勢いを失っていったんだ。

その勢いの減退だけれど・・

そのバックボーンは、レッズの、最前線からのチェイス&チェック(寄せ)が、より忠実でダイナミックになったことだった。

そのことで、後方チームメイトたちが、より積極的&攻撃的に「イメージング」を組み立てられるようになったんだ。

前線で、しっかりと「追って」くれれば、次、その次を、しっかりと狙うイメージングを、「より明確に」アタマに描けるんだよ。

逆に、その最前線からのチェイス&チェック(寄せ)が、お座なりだったら・・

もちろん、後方チームメイトたちのイメージング内容と「寄せ」のアクションに、迷いが生じてしまい、足が止まり気味になってしまう。

その選手交代までの鳥栖は(特に前半は!)、かなり自由に、人とボールを動かしつづけ、何度も、スペースを攻略していたよね。

そんなゲーム展開は、もちろん、レッズ守備陣のマインド(意識と意志)を落ち込ませる。

もしかしたら、そのことで彼らは、心理的な悪魔のサイクルへ誘われてしまうかもしれない。

そう、心理的な「バタフライ効果」・・ね。

不確実なファクターが満載のサッカーは、もう何度も書いているように、ホンモノの「心理ゲーム」なんだよ。

不確実だからこそ、次、その次の、攻守プレーは、「自ら、主体的に!!」考え、勇気をもって決断して実行しなきゃ、決して良いプレーなどできないわけだ。

そして・・

だからこそ、サッカーが、ホンモノの「組織スポーツ」だって言えるのさ。

もちろん、相互信頼ベースの「組織力」ね。

あっと・・

この心理ゲームというファクターは、もちろん、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でも、とても重要な意味をもってくる。

後方から前線への攻撃参加。

そこで、前線の動きが「ニブ」ければ、後方プレイヤーたちの、バックアップに対する「意識と意志パワー」だって高揚するはずがない。

逆に、前線が、タテパスを「呼び込む」ために、しっかりと動き、そして、「そこ」で、しっかりとボールをキープできれば(信頼があれば!?)、後方からのバックアップも(それに対する意識と意志パワーも!!)、倍増する。

サッカーチームは、そんな、有機的、心理的な「相互信頼ベース」で、成り立っているのさ。

イチバンいけないのは、意識と意志が「希薄」な、ハードワークを「サボる」ヤツなんだ。

もちろん、そいつが、ディエゴ・マラドーナやメッシといった、世紀の「超」天才だったら、誰だって、ウムを言わずに「奉仕」するでしょ。

でも・・

あっ、しつこいか・・

皆さんは、わたしの言いたいことは、お分かりいただいていると思うから・・

最後に・・

ダゾン試合後インタビューで、岩尾憲が、こんな素敵なコメントをしていた。

・・自分から交替を進言した・・

・・普段から、厳しいライバル競争をやっている仲間だから、もう、誰が出てきても、同じレベルのパフォーマンスができるはず・・

その言葉のバックボーン哲学には、(彼のスーパー決勝ゴールも含めて!!)敬意を表するし、自らの「状態」を自覚して交替を進言する態度は、立派以外の何ものでもない。

でも・・

そう、いまのレッズでは、まだまだ、「誰が出てきても・・」ってなレベルには至っていないと思うよ。

だからこそ、チームの重心であるダブルボランチ(岩尾憲と伊藤敦樹)には、なるべく、最後まで、チームの「重心」としてグラウンド上に居続けて欲しいわけだ。

まあ、これからも、今日のような厳しい自然条件がつづくだろうから・・

岩尾憲が言うように・・

誰が出ても、攻守ハードワークを、限界まで、主体的に(!!)探しまくるってな強烈マインドを(覚悟を)もって、日々、精進して欲しいね。

それにしても、ものすごく素早く、効果的な「攻守の切り替え」も含めた、スーパーなセンターバックコンビと両サイドバックの「闘う意志の高さ」には、いつものように、目を見張らされた。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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