湯浅健二の「J」ワンポイント


2024年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第16節(2024年5月25日、土曜日)

 

まあ、この試合については、ミハイロ札幌コンサドーレの完敗とするのが、ランコ・ポポヴィッチの「良い仕事」に対しても、フェアな評価だろうね・・(コンサドーレvsアントラーズ、0-3)

 

レビュー
 
フ〜〜・・

皆さんもご存じの通り、わたしは、ミハイロ札幌コンサドーレを、応援しています。

でも、このゲームは、ミハイロ札幌コンサドーレが、アントラーズに完敗を喫したという評価が、フェアだと思いますよ。

もちろん、逆に、これまた優れたプロコーチ、ランコ・ポポヴィッチが、とても良い仕事をしていると高く評価することも、忘れちゃいけない。

ダゾン試合後インタビュー・・

そこで、このゲームで二つのゴールを叩き込んだ、名古新太郎が、こんなニュアンスの内容を語っていた。

・・(素晴らしいゴールでしたが、という質問に)あれは、チーム全員で挙げたゴールでした・・

その後も、名古新太郎は、チームの良いパフォーマンスという視点で、話を続けていた。

そんな、立派な「姿勢」もまた、ランコ・ポポヴィッチの成果だって思うわけさ。

これでアントラーズは、7ゲーム、負けなしということらしい。

まあ、そんな「数字」よりも・・

彼らが魅せつづけた、攻守にわたる、立派なサッカーを称賛したい。

特に、ボール奪取プロセス(守備)・・

そのなかでも、チェイス&チェック(寄せ)が、素晴らしかった。

それが効果的だったからこそ、次の局面デュエルも、優位なカタチに持ち込めた。

また、マーキング&カバーリング、協力プレスへの選手たちの集散。

そして、主体的な「判断と決断」を絶対ベースにする、最後の半歩というファクター(守備イメージングの内実)。

そのどれを取っても、この試合では、アントラーズに、一日の長があった。

ということで、ミハイロ札幌コンサドーレ・・

特に前半は、次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)への切り替えに、まったくといっていいほど、「勢い」がともなっていかなかった。

たしかに・・

いまの彼らのリーグ成績では、勝ち点を挙げることが至上命題であるのは分かるけれど・・

でも、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)に、パワー(ダイナミズム=人の動き)を乗せられないというのは、いただけない。

彼らの、美しく魅力的なスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)では、やっぱり、人数が「必要」なんだよ。

それがあってはじめて、人とボールを、しっかりと動かせるし、相手ディフェンスだって、振り回すコトができる。

そう、いつものコンサドーレのようにね・・

そんな、ダイナミックに活性化したサッカーが動きはじめたのは・・

名古新太郎に、彼自身の、二つ目のゴールを決められてからだった。

どうなんだろうね〜・・

たしかに、いまの時点じゃ、安定感を前面に押し出すような「セキュアなサッカー」を展開するのが、主眼なんだろうけれど・・

それでも、このゲームのサッカーを観ながら・・

選手たちの「マインド」が、ネガティブに「振れてしまう」コトが、とても心配になった。

彼らは、やれば、出来る・・んだよ。

そのコトは、誰もが分かっていると思う。

いくら、「勝ち点プライオリティーのサッカー」を、イメージしていたとしても・・ね。

そう、彼らだったら・・

積極的にスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)をブチかましていくなかでも、しっかりと、相手からボールを奪い返せる(安定した守備を展開できる!)はずさ。

もちろん、このゲームで起きてしまったように・・

(オフサイドを取るための)ポジショニングミスとか、クリア(キック)ミスから、シュートをブチ込まれてしまったら、難しいけれど・・

それ以外では、ゲームの流れのなかでは、まあ、しっかりと守れていたと思うけれど・・

そんなセキュアなボール奪取プロセス(守備)を、コンサドーレの、いつもの、魅力的で危険なスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)をブチかましながらも、機能させられれば・・ね。

とにかく、今の私は、ミハイロ・ベトヴィッチに対して、幸運を祈ることしか出来ない。

もちろん、これまでの良い仕事を「継続」しながら・・ね。

ガンバレ〜、ミハイロ〜

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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