湯浅健二の「J」ワンポイント


2024年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第17節(2024年6月2日、日曜日)

 

今 シーズン限りでの勇退が(信じられないコトに!!)報道されてしまった、ミハイロ・ペトロヴィッチ・・彼は、この時点で勇退すべきだと思う・・そうでなけ れば、彼の、比類なき「legendary work」に、取り返しのつかないキズが・・(ヴェルディvsコンサドーレ、5-3)

 

レビュー
 
ミハイロ・ペトロヴィッチ・・

素晴らしい才能にあふれるプロコーチだ。

わたしは、彼の高質なマネージメント能力の内実を、よく知っているつもりだ。

でも・・

そう、そのミハイロが、今シーズン限りで「退任」するってな、チト信じられない報道が、流れた。

その真偽は、闇の中。

でも、その報道が出た時点で、もうミハイロは、彼が秘める優れた心理マネージメント能力を、うまく操れなくなってしまうんだよ。

そう、選手も、先が見えないという、「確信」をもち難い状況に追い込まれてしまうわけだからネ。

そんな、「状況的」に発生してしまうネガティブ心理メカニズムは、歴史が証明しているとおりさ。

とはいっても・・

このゲームでのコンサドーレは、もちろん、「そこそこ」の闘いを魅せた。

そう、「そこそこ・・」ね。

それでも、わたしの眼には、「一味」が足りないと、映っていた。

特に、ボール奪取プロセス(守備)において・・。

いつも書いているように、不確実なファクターが満載のサッカーは、究極の「心理ボールゲーム」なんだ。

だからこそ、攻守にわたって、「最後の半歩」が、出るかどうかというのは、「意識&意志」という視点で、決定的な勝負ファクターなんだよ。

今日のコンサドーレでは、その「決定的な最後の半歩」が、出ていなかった。

ボール奪取プロセス(守備)でも、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)においても。

でも、その多くは・・

ボールがないところでの「アクションの量と質」ということだから、目立たない。

グラウンド上の現象として、例えば・・

マーキングやカバーリングでの、「遅れ」が目立っていたり、局面デュエルに突っ込む「パワー」が足りなかったり・・等など。

もちろん、感覚的なモノ(評価)ではあるけれど・・

わたしは、プロコーチとして、それを見極める「眼」は、まだまだ衰えていないって自信をもっているんだよ。

そんなだから、コンサドーレでは・・

攻守にわたって、決定的な「勝負スポット」でのアクション内容が、足りなくなる。

要は、「全力を出し切っているかどうか」という視点だね。

もちろん・・

コンサドーレ選手が、「いい加減」にプレーしていたと言っているわけじゃない。

そうではなく・・

誰もが「感じられる」コトだけれど・・

攻守の勝負シーンに注ぎ込む「エネルギー」が、限界レベルに達していなかったという事実が、そこにはあったと、思うのさ。

さて、最後に・・

わたしの意見を表明しておこうと思う。

そう、私は・・

ミハイロ・ペトロヴィッチは、この時点で、勇退すべきだと思っているんだよ。

そうでなければ・・

サンフレッチェ、レッズ、コンサドーレで築き上げた、外国人監督としての比類なき「legendary work」に、取り返しのつかない「キズ」がついてしまうかもしれない。

あっ・・

外国人だけじゃなく、日本人プロコーチの戦績も、含めた、比類なき戦績だった。

さて、彼とクラブが、どのような結論を下すのか・・

注意ぶかく、見ていよう。

ちなみに・・

読売サッカークラブ(現東京ヴェルディ)時代に、わたしのパートナーだった(監督の)ルディー・グーテンドルフに、「辞めるべき」と進言したのは、わたしだった。

それは、その年の天皇杯に、負けたゲームのあと。

会場になったグラウンドを、何周か、一緒に歩きながら、そのコトを話し合った。

まあ、そこでの私の考え方のバックボーンについては、ここでは詳しく書かないけれど・・

とにかく、人は、引き際が肝心なんだよ。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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