湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2024年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第1節(2024年2月24日、土曜日)
- 2024_J1_第1節・・「昇格組」のサッカー内容にスボットを当てました・・今回はジュビロとゼルビア・・(ジュビロvsヴィッセル、0-2)(ゼルビアvsガンバ、1-1)・・(2024年2月24日、土曜日)
- レビュー
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- さて、リーグ開幕の二日目。
今日のテーマだけれど・・
「昇格組」が、どんな戦いをするのかってな分析にも、取り組もうと思った。
ということで、まず、このゲームの前に行われた、「ジュビロvsヴィッセル」から。
それは、内容でも結果でも、ヴィッセルが凌駕したってな完勝劇になったけれど・・
とはいっても・・
そう、ジュビロが、立派なサッカーを魅せたコトも、フェアに評価しなきゃいけない。
全体的なピックアップポイントだけれど・・
何といっても、ヴィッセルが魅せつづけた、素晴らしいボール奪取プロセス(守備)がハンパなかったという視点は、はずせない。
前からプレスに代表される、積極的&攻撃的ボール奪取プロセスでも・・
・・ブロック守備においても・・
・・また、攻め込まれた状況での「最後の半歩というファクター」でも。
いま、私が気に懸けているテーマ、チェイス&チェック(寄せ)という視点・・
それで、ヴィッセルの強者どもがブチかましつづけた「強烈な意識と意志パワー」が、とても印象的だったんだよ。
そこには、「相手は昇格組だから・・」ってな「オゴリ」は、まったく感じられない。
そこでブチかまされた、全力パワー(集中のことネ)での、「ハードワーク」を探しまくるプレー姿勢に、「サスガにチャンピオンチーム」ってな称賛の気持ちが、湧き上がってきた。
あっと、昇格組のジュビロ・・
全体的には、今日は(!)、やっぱり、総合力の差は、否めなかった。
何せ、「あの」強いヴィッセルが、まったく気を抜かず、フルパワーで、攻守ハードワークとリスクチャレンジを、それぞれの選手が「探しまくった」んだからね。
ジュビロには、次からの(立派な!!)闘いに期待しましょう。
さて・・
ということで、引き分けに終わった、ゼルビア対ガンバ。
ところで、ゼルビア監督、黒田剛さん・・
昨シーズン、私は、「J2チャンピン」に輝いたゼルビアについて・・
・・超絶の「徹底サッカー」・・
・・「寄せ、命」ってな、プレー姿勢・・
・・「結果だけ」を追い求める、究極の「戦術サッカー」等など・・
私は、彼らを、苦々しい思いで観ていたんだよ。
昨シーズンのコラムでは、そんなネガティブ論調が、目立っていたんだ。
でも・・
そう、このゲームを、かなり「リキ」を入れて観察したことで・・
黒田剛さんに対する印象が、かなりポジティブに変わり始めていると感じていた。
彼もまた、状況さえ許せば(選手さえうまく揃えられたら!?)、美しい質実剛健サッカーを目指していけるって、考えているんだろうな・・
そんな印象に、わたしのマインドが、変わりはじめているんだよ。
まあ、彼が、今回のアジアカップでイランが魅せたサッカー(スペース攻略プロセス=攻撃&仕掛け)の内容を、高く評価していたらしいけれど・・
たぶんソレ(ポジティブ評価)は、タテへ送り込める状況だったら、かならず、ロングも含めて、タテパスを供給する・・ってなコトかな。
もちろん・・
そのタテパスに合わせた、チームメイトたちの、ボールがないところでのアクションの量と質をアップさせる・・というニュアンスも含めてネ。
そして、ゼルビアでも・・
決してタテパスを躊躇しないことで、チームのなかに、深い「合意」が得られている!?
それは、黒田剛さんの真骨頂でもある、「超絶の徹底サッカー」ってなコトに、つながるよね。
このゲームの前半・・
皆さんもご覧になったように、ガンバは、まったく手も足も出なかった(一回だけ、アバウトなゴール機会は創りだしたけれど)。
そこでのゼルビアは・・
例によっての「寄せ・命」ってな忠実ボール奪取プロセス(守備)をベースに、まったくといっていいほど、ガンバにサッカーをやらせなかったんだ。
そして、チームのなかで「合意」している、タテへのロングフィードを連発する。
ここで、前半の、ガンバの攻めに「も」目を移してみましょうか。
彼らは、完全に、イニシアチブを失っていたことで・・
そう、ゼルビアがブチかます、前からプレスに、まったく人とボールを動かせないんだ。
そして、まさに「ヤミクモ」に、タテへのロングフィードを出しつづけるなんて体たらく。
その、同じ、タテへのロングフィードだけれど・・
ガンバの、前戦で孤立したフォワードへのフィードとは、まったく別次元に・・
ゼルビアでは、そのロングフィードの「受け手」のまわりに、ある程度の数のチームメイトが、「寄り添う」んだよ。
だから、ガンバの、タテパスへの期待効果が、まったく違うのも道理。
黒田剛さんも、ダゾン試合後インタビューで、日々野真理さんの鋭い質問に、「前半は、うまくいっていた・・」ってなニュアンスの内容をコメントしていたっけね。
そう、前半のゼルビアは、まさに彼らが思い描いていたゲーム展開で、イニシアチブを握りつづけたんだ。
まあ、後半は・・
ガンバの選手交代がうまく機能したり、ゼルビア選手の退場ドラマもあったコトで、かなり押し込まれる展開がつづいてしまったけれど・・
それでも彼らは、押し込まれるなかで、強烈な「意識と意志パワー」は、魅せつづけた。
後半ロスタイムに入ってからの決定的ピンチシーンで、ガンバのシュートに対して、何人もの選手たちが、必殺ブロックに「身を投げ出した」シーンは、皆さんもご覧になったでしょ。
そう、彼らのボール奪取プロセス(守備)では・・
素早い攻守の切り替え、チェイス&チェック(寄せ)、忠実なマーキングやカバーリング、強烈な局面デュエルだけじゃなく・・
「最後の半歩」という「勝負ファクター」でも、素晴らしい「主体性プレー」を魅せつづけたんだ。
わたしは、プロコーチ、黒田剛さんに、称賛の拍手をおくっていましたよ。
まあ、とはいっても・・
も少し、人とボールを、活発に動かすようなサッカーにも、チャレンジしてもらいたいけれど・・ね。
ということで、昇格組・・
明日は、城福浩ヴェルディが、難敵のマリノスと対峙するんじゃないか。
いまから、楽しみで仕方ないよ。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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