湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第11節(2025年4月19日、土曜日)

 

前半に起きたゲーム展開の変容は、とても興味深いグラウンド上の現象だった・・そんなポジティブな変化を、自らの意志をもって、主体的に演出したアルビレックス選手諸君に、心からの称賛と感謝の拍手をおくります・・(アルビレックスvsサンガ、1-2)

 

この、(変な!?)大逆転マッチについてだけれど・・

やっぱり、前半のゲーム展開を中心に分析するのが正しい判断だと思う。

そこにゃ、ものすごく興味深い、文化的&哲学的(!?)とまで言えるほどのコンテンツがテンコ盛りだったんだ。

何せ、立ち上がり10分ほどまでは・・

サンガが、ものすごいパワーで、前からプレスをブチかまし、そのままゲームを決めちゃうってな「勢い」まで、感じさせていたわけだからね。

対するアルビレックス・・

彼らは、そんなサンガに押されまくり、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)を繰り出していくコトに四苦八苦していたんだよ。

そんな強烈な(一方的な!)ゲーム展開を観ながら、どうなることかと思っていたわけさ。

でも、驚いたことに・・

そう、そんな心理的な悪魔のサイクルとまで表現できそうな「ゲーム展開」からアルビレックスが抜け出し、完璧に「ゲームを逆流」させちゃうんだよ。

そう、あるときから、アルビレックスが、ある意味「唐突」に、イニシアチブを握り返しちゃうんだ。

ホント、ビックラこいた。

そんな「逆襲」の絶対ベースは、もちろん、ボール奪取プロセス(守備)のダイナミズム。

そう、チェイス&チェック(寄せ)の内実を「逆流」させたっちゅうコトね。

エネーチケー解説の、宮澤ミシェルも語っていたけれど・・

・・立ち上がりに押し込まれたアルビレックス・・

・・あのまま押し込まれ、ショートカウンターでゴールを奪われてしまったら、アルビレックスは、立ち直れなかったんじゃないですかネ〜〜・・

アグリー・・

そして、アルビレックスは、「あの強烈にネガティブな時間帯」を耐え抜き、そこから、勇気を振り絞って、積極的にボールを奪いにくまでに、「心の再生」を果たしちゃうんだ。

そこからの彼らが、ボールまわりの「デュエル」で魅せたチカラ強さには、目を見張らされたモノさ。

アルビレックスが魅せた、「攻守の爆発」は、ホント、ハンパなかった。

そしてわたしは・・

ゲームの「流れ」のなかで、アルビレックスが、イニシアチブを「握り返していく」プロセスを、とても興味深く、観察していたっちゅうわけだ。

何せ・・

アルビレックスは、ボール奪取プロセス(守備)でのチェイス&チェック(寄せ≒強烈な意志のチカラ)の「勢い」を、信じられないほどに高揚させたわけだから。

あっと・・

ゲームのイニシアチブを掌握するための、もっとも重要なリソースは、言うまでもなく、ボール奪取プロセス(守備)の活性化だよね。

それも、チェイス&チェック(寄せ)の内実こそが、ボールを奪い返す「流れ」を決めるんだ。

ゲームの立ち上がりは、サンガが、「それ」で、完璧に、アルビレックスを圧倒していた。

それが、時間の経過とともに・・

サンガがブチかます「勢い」をはね返すかのように、アルビレックスの「闘う意志」が、何倍にも増幅しいったんだ。

わたしは、そんなゲーム展開を観ながら、チト信じられない気持ちに襲われていた。

あれほど「押し込まれ」たら、そりゃ、選手だって、自信を失っちゃうでしょ。

そして、心理的な「悪魔のサイクル」に捕まって落ち込んでいく・・

それが、サッカーの日常茶飯事バターンなんだ。

でも、アルビレックスは、そんなステレオタイプの「ゲーム展開イメージ」を、見事に、ブチ壊してくれた。

それは、とりもなおさず、選手たちの、主体的な「闘う意志」の賜物だということだろうね。

だからこそ、前半における「ゲーム展開の変容」は、わたしにとって、ものすごく興味深い「グラウンド上の現象」だったんだ。

アルビレックスの新任監督、樹森大介さんは、とても良い仕事をしていると思う。

いまだ降格圏に沈んでいるアルビレックスだけれど、「このサッカー≒強烈な闘う意志」だったら、かならず、ランキングでも浮上してくると思う。

あっと、前半の顛末・・

終わってみれば、アルビレックスが、そのイニシアチブ(流れの変容)の内実からすれば、まさに理の当然と言えるほど、ゴール機会を創りだし、先制ゴールまでブチ込んだ。

だから私は、前半における、こんな、様々な意味合いを内包した、「ゲームの変容」について、考えをめぐらせていたっちゅうわけさ。

でも、後半・・

一点をリードされたサンガの押し上げダイナミズムが、アップするのは自然な成り行き。

たしかに彼らは、その流れに乗って、何度かは、ゴール機会に「近い」チャンスは、創りだした。

でも、それらは、ことごとく、アルビレックスの「強烈意志に支えられたディフェンス」にはね返されてしまうんだよ。

そんな展開を観ながら、わたしは、ゲームは、たぶんこのまま、アルビレックスが制するんだろうな〜・・なんて、例によって、安易に、考えていた。

でも・・

そう、そこから、サンガが、同点&逆転ゴールを、ブチ込んじゃうんだよ。

その二つのゴールの内実・・

まあ、先にボールに追いついたディフェンダーが、そのままボールを蹴り出していたら何事も起きなかったってな、同点ゴールシーン。

また、逆転ゴールのシーンでは、ディフェンダーとGKが「お見合い」し、互いに譲り合っちゃうなんていう愚を犯してしまった。

まあ、「変な二つのゴール」だったんだよ。

そりゃ、アルビレックス選手たちにしちゃ、納得できないし、「後に残る」失点だったろうね。

でも、まあ、「それ」もサッカーさ。

とにかくアルビレックスには、このゲームでの「ポジティブな収穫」を、しっかりと噛みしめ、次、その次に、つなげて欲しい。

ガンバレ〜、アルビレックス〜・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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