湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第15節(2025年5月6日、火曜日)

 

レッズの完敗でした・・とにかく、素晴らしく積極的&攻撃的なボール奪取プロセス(守備)を魅せつづけたガンバに、心からの称賛と感謝の拍手をおくります・・(レッズvsガンバ、0-1)

 

ホント、ガンバ監督ダニエル・ポヤトスは、素晴らしい仕事をしている。

まあ、昨シーズンでの存在感アップをみれば、誰もが、アグリーでしょ。

そして今シーズンも、その「良い流れ」が、うまく継続しているんだよ。

そんなガンバの「良い仕事の結晶」は、その多くが、ボール奪取プロセス(守備)で結実する。

とにかくガンバは、「あの」強いレッズに、まったくといっていいほど、ゴール機会を、創りださせなかったんだからね(枠内シュートがゼロ!!)。

前節のベルマーレ戦でも、そうだったけれど・・

とにかくガンバが、勝負所で魅せつづけた、ディフェンスでの忠実&創造的な、ボールがないところでのアクションの量と質が、素晴らしかった。

もちろん、局面デュエルも、含めてネ・・

そうだな〜・・

わたしが使う、次の相手の仕掛け展開に対する「予測」という意味合いでの「最後の半歩というファクター」もそうだけれど・・

それだけじゃなく、とにかく、ガンバ選手たちは・・

次、その次の、相手仕掛けにおけるボールがないところでのアクションを、忠実&完璧に、イメージングしつづけているって感じるんだよ。

抜かれても、マークを外されても、決してアクションを「途切れさせる」ことなく、次、その次の守備アクションを、「爆発」させつづけるんだ。

それは、攻守の切り替え(トランジション)の内実に、如実にあらわれてくるし・・

そう、前半には、何度も・・

最前線でのチェイス&チェック(寄せ)によって、レッズのボールを奪い、そこから必殺のショートカウンターをブチかましたよね。

とにかく、このゲーム(その実質的な攻守コンテンツ!)については、ポヤトス大阪ガンバに対して、称賛と感謝の拍手をおくるしかない。

ホント、彼らは、よく頑張った。

いや、彼らは・・

意識と意志を、極限まで研ぎ澄ました、攻守にわたる「主体性プレー」を、明確にイメージングしつづけていたっちゅう称賛が、その内実には相応しいだろうね。

まあ、そんな総体的な評価に、異論をはさむ方は、少ないに違いありません。

やっぱり、サッカーは、積極的&攻撃的ボール奪取プロセス(守備)から、はじまるんだよ。

それも・・

そう、誰もが嫌がる、チェイス&チェック(寄せ)という守備ハードワークから、ネ。

それに彼らは、ゲーム戦術も、しっかりと、選手のアタマのなかに「組み込んでいた」と思うよ。

例えば・・

レッズが、頻繁にブチかます、危険な「タテのポジションチェンジ」。

たとえば、サイドからの仕掛け・・

そう、長沼洋一と石原広教が、マテウス・サヴィオ、金子達郎と、クリエイティブに(タテに)ポジションを入れ替えつづけるんだ(まあサポート協力ね)。

それだけじゃなく、松本泰志や安居海渡が、後方から前戦の味方を追い越し、タテのスペースへ抜け出すようなシチュエーションでも・・

必ず、前戦の渡邊凌磨や松尾佑介が、後方のカバーリングに入っている。

ガンバのダニエル・ポヤトスは、そんなレッズの、危険なタテのポジションチェンジへの対処を、ガンバ選手たち全員に、厳しく「植えつけた」に違いない。

だからこそ・・

普通だったら、うまく機能する、そんなレッズの組織的なスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)が、このゲームでは、ことごとく阻止されてしまった。

そんな、ものすごくクリエイティブな(創造的な)ディフェンスの協力作業が、ホントに美しく、機能しつづけていたガンバだったんだ。

それに対して、レッズは・・

そんなガンバのディフェンス創造性を「超える」ことは、この試合では、できなかった。

組織でも、個の勝負でも・・

まあ、ネ・・

次にガンバと対峙するときには、まったく異なったゲーム展開になるはずだけれど・・さ。

このゲームでのレッズ選手たちは・・

うまく、タテへ仕掛けていけないシーンがつづいてしまったコトで・・

レッズ選手たちは、ミスを恐れて(!!)仕掛けていけなくなってしまっていた!?

まあ、心理的な悪魔のサイクル・・

そんな「悪魔を断ち切る」ためには、フレッシュな「闘うマインド」が必要になるんだ。

そう、選手交代・・

わたしは、特に、中島翔哉に、期待していた。

たしかに、これまでのなかでは、期待できるかも(!?)ってな内容も、含まれていたけれど・・

積極的&攻撃的な、仕掛けネ・・

それでも、やっぱり、まだまだ、「何か」を恐れているって感じさせられた。

だから、彼の真骨頂である、変幻自在の勝負ドリブルも、まったく目立たなかった。

本来のソレは・・

マテウス・サヴィオの「それ」にも、まったく引けを取らない「怖さ」があるはずなんだけれど・・。

でも結局は・・

誰か、中島翔哉の「恐怖心(ケガに対する!?)」を、解放できないモノだろうか。

このままじゃ、単なる「普通レベルのプレイヤー」として、沈み込んでしまうばかり・・

なんとか、彼を、「恐怖から解放させられないだろうか・・」。

今日の中島翔哉のパフォーマンスを観ながら、そんな感傷的な思いに苛まれたモノさ。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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