湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第16節(2025年5月10日、土曜日)

 

両チームが秘術を尽くした、ものすごくエキサイティングな勝負マッチだった・・だからこそ、この「終わり方」に、それが正しかったかどうかは別にして、落胆させられた・・(FC東京vsヴィッセル、1-0)

 

たしかに、勝負はついてしまった(後述)けれど・・

そこには、とても興味深く、血湧き肉躍る、ギリギリの勝負シーンが、テンコ盛りだった。

そう・・

チカラのある両チームだから、攻守にわたって、極限テンションの主体性プレーを、ブチかまし合ったんだよ。

ボール奪取プロセス(守備)でも、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)においても・・

まず、攻守にわたる、極限テンションの主体性プレーに、スポットを当てたい。

両チーム選手たちは、後ろ髪を引かれることなく、攻守にわたる「ハードワーク」を、限界まで探しまくっていたんだよ。

そんな、「リミットレスの闘う意志」こそが、「主体性プレー姿勢」の本質的な意味なんだ。

そしてソレは、自身のチカラを進化&深化させるための、唯一の「リソース」でもあるんだ。

あっと・・

そりゃ、ディエゴ・マラドーナ、リオネル・メッシに代表される、「超」のつく大天才は、別だよ。

彼らは、自分の「好きなプレー」をしていれば、チームにとっての、掛け替えのない「価値」を提供できるわけだからね。

そして、チームメイトたちも、それが、「エゴイスティックなプレー姿勢」であろうが、なかろうが、ソレが、もっとも金を稼げるツールだって、深く認識している。

だから、その超天才への「奉仕」を、率先して、こなしていくわけだ。

でも・・

そう、そんな、レベルを超えた天才って、まさに「希有」な存在だよネ。

だから・・

世の中には、勘違いした(!?)天才が、あふれかえるっちゅうワケだ。

まあ、プロコーチにとっては、さまざまな意味合いで、「挑戦オブジェクト」でも、あるけれどネ。

あっと・・

この試合では、そんな「勘違いした天才」は、一人も、いなかったというコトも言いたかった。

前述したように、全員が、仕事(≒攻守ハードワーク)を、探しまくっていたんだよ。

だからこそ、攻守にわたって、ものすごくエキサイティングな「デュエル」が展開されたし、両チームともに、観ているコチラがフリーズするような「ゴール機会」を、何度も、創りだした。

そんなエキサイティングマッチだったから、観ている方々も、手に汗にぎりながら、サッカーの「ホンモノの醍醐味」を、体感しつづけたに違いありません。

その意味でも・・

両チームに対して、心からの称賛と感謝の拍手をおくります。

でも・・

そう、後半ロスタイムが終わろうとしていた最後のタイミングで、コトが起きちゃうんだ。

ペナルティーエリア内で、ヴィッセル選手のウデに、ボールが当たってしまったんだよ。

どうしようかな・・

わたしの見解を、主張しておこうかな・・

まあ、ここまで書いて、主張しないようでは、プロコーチのメンツに関わるから・・

わたしは、「あのハンド」は、「ノー」だって主張するよ。

そこにゃ、不自然な「動き」とか、まして、身体を「大きくさせようとする意図」など、なかった・・と思うわけだ。

倒れ込む身体を「支える」ための、自然な「腕の動き」だったって思うわけさ。

でも、たしかに、微妙だな〜〜・・

そんな主張をしながら、スローモーションを見直していたら・・

そう、ハンドを取られた、本多勇喜の、ものすごく微妙な「ウデの動き」も、見えてきた。

たしかに、見方によっては・・

安斎颯馬の、ボールコントロール体勢から、「ここにボールがくるかも・・」ってな「感じ」に、ウデを、その「方向」へ、微妙に動かした「感」も残るんだよ。

フ〜〜・・

難しいネ〜〜・・

まあ、わたしは、その「腕の動き」は、ごく自然なモノであり、身体を大きくしよう(ボールを止めよう)なんていう意図はなかったって判断するけれど・・

でも、レフェリーの岡部拓人さんは、前述した、その動きに「意図あり」って判断したわけだ。

もちろんわたしは、その岡部拓人さんの判断(主張)も、レスペクトするけれど・・ね。

でも・・サ・・

あんな、エキサイティングで、素晴らしい内容のデュエル・マッチが、こんなカタチで終演を迎えるのには、どうも納得がいかないんだよ。

もちろん、なかには、ホントにヒドイ判定もあるよ。

そして、それまでの素晴らしい勝負マッチが、そのことで、ブチ壊されちゃう。

まあ、とにかく・・

ペナルティーエリア内での「ハンドの反則」の判断基準については、ハンドそのものの解釈含めてだけれど、これからも、紆余曲折があるに違いないと思っているわけだ。

そして・・

素晴らしい「攻防」だったからこそ、「こんなカタチの決着」に、意気消沈している筆者なのだよ。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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