湯浅健二の「J」ワンポイント
2025年Jリーグの各ラウンドレビュー
第1節(2025年2月16日、日曜日)
エスパルスの「集中力」は、まさに、ハンパなかった・・秋葉忠宏には、同じサッカー人として、心からの称賛と感謝の拍手を、おくります・・(ヴェルディvsエスパルス、0-1)
レビュー
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- 両者ともに、粘り腰のボール奪取プロセス(守備)をぶちかまし合った。
それは、それで、見所満点だったぜ。
とにかく、両者ともに、チェイス&チェック(寄せ)、タテパスへのハードマーキング(アタック)など、守備が、忠実でダイナミックそのものなんだ。
もちろん、時間帯によって、互いの「前からプレスの勢い」は、変化するサ。
そして、その「勢いの変化」が、そのまま、イニシアチブの揺動につながるっちゅうわけだ。
そう、ゲームの流れは、互いにイニシアチブを握り合うってな、互角の展開になったんだ。
いや・・
全体的には、ボール奪取プロセス(守備)の、忠実さとかダイナミズムという視点で、エスパルスに、少しだけ、一日の長があったというのが、フェアな評価だろうね。
とにかく、そこじゃ、ものすごい、意志(集中力!)の闘いが繰り広げられていたんだよ。
そんな雰囲気のなかでチャレンジするスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)だからね・・
うまく人とボールの動きで相手守備を振り回し、スペースを攻略していくなんて・・
そりゃ、至難のワザなんだよ。
要は、「流れのなか」からチャンスを創りだすのに、四苦八苦する両チームということさ。
そして、そんなときにこそ、レベルを超えた「個の才能」が活きてくる!?
まあ、たしかに、その視点じゃ、エスパルスに、少しだけアドバンテージがあったかな・・!?
そう、ゲームを読む(!)スキルの乾貴士と、パワーのカピシャーバ・・
とはいっても、彼らにしても、ウラのスペースを攻略できるほどの「個の勝負」は、ブチかましていけなかった。
そんな膠着状態に陥ったときは・・
そう、まず、セットプレーからチャンスが生まれるのが常。
前半では、ヴェルディに、コーナーキックから、惜しいゴール機会が訪れたっけ。
まあ、エスパルスにも、何度か、チャンスになりそうなセットプレーシーンは、あったけれど・・
そんななかで、まさに「一瞬の気抜け」が、ヴェルディ守備に、出現してしまうんだよ。
前半40分。
エスパルスが、ゆっくりと、後方でパスを回す。
最後にボールをもったのは、センターバックの、蓮川壮大。
素早くボールをコントロールし、視線を上げる、蓮川壮大。
それが、勝負の瞬間だった。
典型的な、勝負のアイコンタクト・・
その瞬間(いや直前のタイミングで!?)、全力スプリントをスタートしたのが、右サイドバックの、高木践だった。
もちろん、センターゾーンには、センターフォワードの北川航也が、タイミングを合わせながら、詰めてきている。
そして、最後の瞬間。
高木践からのラストクロスが、見事に、北川航也のアタマに、ピタリと合わせられたっちゅう次第。
それが、決勝ゴールということになった。
それにしても・・
前述したけれど、エスパルスの、ボール奪取プロセス(守備)でのハードワークは、レベルを超えていたよな。
あっと・・
もちろん城福浩ヴェルディの「それ」だって、とてもレベルは高かった。
それでも、前述したように、この試合に限れば、エスパルスの、忠実さとダイナミズム(意志のチカラによる集中力)が優っていたと評価するのが、フェアだと思うよ。
最後に・・
ボール奪取プロセス(守備)でのチェイス&チェック(寄せ)の内実が、試合イニシアチブを左右する、決定的なファクターだという視点。
まあ、わたしが言うまでもないけれど・・
要は、「前から行け〜っ!!」ってな感じの、「勢い」こそが、ゲームの流れを左右するっちゅうこと。
後半の、最後の10分あたりまで・・
3人の交替を仕掛けたヴェルディだったけれど、その「仕掛け」が、エスパルスの「勢い」に、まったく手も足も出なかったんだよ。
そう、まったくといっていいほど、攻め上がれないヴェルディ。
それが・・
残り10分あたりから、エスパルスの「勢い」が落ち着いてきたことによって、逆に、ヴェルディのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)に、「勢い」が乗っていったんだ。
こちらは、「よし、ここからだ〜っ!!」なんて・・
昨シーズン何度もあった、残り5分の「逆転や同点ゴール」を期待してしまったよ。
それでも・・
うん、このゲームでのエスパルスの「集中力」は、まさに、ハンパなかった。
監督の、秋葉忠宏には、同じサッカー人として、心からの称賛と感謝の拍手を、おくります。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-
"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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