湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第9節(2025年4月6日、日曜日)

 

今のレッズは、闘う意志を、極限まで高揚させなきゃいけない・・そのためには、心理的な「ブレイクスルー」につながる、何らかの「刺激」が必要かもしれない・・(アビスパvsレッズ、1-0)

 

ゲーム立ち上がりは、レッズがペースを握った。

そこでのゲーム展開を観ながら、こんなコトを考えていた。

・・たしかに、レッズがイニシアチブを握ってはいるし、「個の勝負」を基盤に、ゴールに「迫る」ような仕掛けプロセスは魅せている・・

・・でも、実際は・・

・・そう、「この」レッズのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)では・・

・・しっかりとアビスパ守備を崩し、そのウラの決定的スペースなど、突いていけないんじゃないか・・

そんな疑問符が、アタマのなかを駆けめぐっていたんだよ。

そして実際に・・

そう、20分を過ぎたあたりから、アビスパが、イニシアチブを完全に、握り返してしまうんだ。

そんなゲーム展開のバックボーンは、もちろん、両チームが展開する、ボール奪取プロセス(守備)の内実。

前半20分過ぎからのアビスパは・・

ボール奪取プロセス(守備)のスタートラインである、チェイス&チェック(寄せ)の内実が、完璧に、レッズを凌駕しはじめたんだ。

ここでも、最前線、チアゴ・サンタナの「追い方」に、チト不満が募った。

まあ、アビスパほどの、「忠実&ダイナミックな寄せ」を期待できないのは、はじめから分かってはいるんだけれど・・

とにかく・・

・・もしチアゴ・サンタナの「ガンバリ」が、粘りの「高揚」を魅せていたら・・

・・それが、背後のチームメイトたちにとっての、大いなるモティベーションになり、次のボール奪取勝負へ「絡んでいくイメージング」を、より具体的に「アップ」させられた・・

そんなコトを考えていたモノさ。

そりゃそうだ・・

何せ、ボールホルダーの「自由度」が、両チームじゃ、まったく違うんだから。

でも、まあ、チアゴ・サンタナは、二度、三度、また後半でも、期待を抱かせる個人勝負で、ゴール機会は創りだしたわけだから・・。

ということで、このゲームのメインテーマが・・

アビスパが魅せつづけた、素晴らしい効果レベルの、ボール奪取プロセス(守備)にあるコトは、疑いの余地がないよね。

皆さんも観られたとおり、アビスパがブチかましつづけた、忠実&ダイナミックで、粘り強い、前戦からのチェイス&チェック(寄せ)は、もう、レベルを超えていた。

それは、レッズの「パス出し」を、ものすごく効果的に「邪魔」しつづけたんだ。

そんなアビスパの「勢い≒闘う意志」のレベルは、忠実に、エネルギッシュに、最後の最後まで、衰えることがなかった。

キン・ミョンヒ監督は、とても、良い仕事をしているじゃないか。

そう、優れた「心理マネージャー」としてね。

とにかく・・

たしかにレッズは、一発カウンターもふくめた「個の勝負」で、何度か、ゴール機会は創りだした。

たしかにそれは、観ている方に、それなりの期待感を抱かせるに十分な「コンテンツ」を内包していたと思う。

でも、全体的な印象として・・

レッズが「同点ゴールをたたき込める」ような「雰囲気」は、最後の最後まで、高められなかったのは、確かな事実だった。

何が、レッズが抱える問題の本質かって!?

そりゃ、なんといっても、ボール奪取プロセス(守備)の内実でしょ。

全体的なサッカーの「ダイナミズム」は、守備の機能性アップでしか、引き上げられないモノなんだよ。

それを高揚させようという「チームの雰囲気」が活性化しなきゃ、決して、やっている方「も」、ポジティブな「自信や確信」を抱けないモノなんだよ。

それもまた、不確実なファクター満載のサッカーが、究極の「心理ボールゲーム」であることのバックボーンっちゅうわけだ。

最後に・・

そのボール奪取プロセス(守備)の機能性をアップさせるための、唯一のリソースは、もう言うまでもないけれど、選手一人ひとりの「自覚」なんだよ。

サッカーは、究極の、自由なボールゲームなんだ。

だからこそ、プロコーチの「心理マネージャー」としての「ウデ」が問われる。

そこじゃ、脅したりスカしたりしたって、闘う意志を、極限まで高められるわけがない。

限界を超えるのは、やっぱり、選手個々の「自覚」しかないんだよ。

だからプロコーチは、そんな選手たちを、心理・精神的にサポート(誠実な姿勢こそが重要!!)するしか、ないんだ。

「見せ掛けの姿勢」なんて、すぐに、見破られてしまうし、そうなったら、ネガティブな逆効果は、もうレベルを超えたモノになっちゃう。

そんな「心理的メカニズム」については、社会生活も、まったく同じだから、まあ、これ以上、ハナシを深める必要なんて、ないでしょ。

とにかくレッズには、何らかの「刺激」が必要だろうね・・

レッズの、心理的な「ブレイクスルー」を、願って止まない筆者でした。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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