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05/06_チャンピオンズリーグ準決勝の2・・アーセナルが魅せつづけたリスクチャレンジサッカーに舌鼓を打っていました・・(アーセナル対ビジャレアル、1-0)・・(2006年4月20日、木曜日)

「ビジャレアルの攻撃はリケルメが中心になる・・周りのチームメイトも、彼のプレーイメージに合わせるように動くだろう・・でも、そこが機能しなかったら彼らの足は止まり気味になる・・リケルメは、決して自分のプレースタイルを変えようとはしない・・彼にオールコートマンマークなどは付けないが、とにかく、彼がボールをもったら、決して安易に当たりにいかずウェイティング・・そして周りの味方は、(ある程度フリーな仕掛けの起点になるために!)リケルメがボールをキープしようとする方向を見定めて、ボール奪取勝負のサポートに入ること・・」

 試合前には、アーセナルのベンゲル監督は、そんなゲーム戦術イメージ「も」与えたに違いない?! もちろん、そのリケルメにしても、以前のような「絶対的コンダクター」というわけじゃないから、そこが機能しなくても、周りは何とか自律的に仕掛けていこうとはしますよね。とはいっても、リケルメがうまく機能しないとなると、ビジャレアルの選手たちが、もっとも大事な仕掛けイメージの一つを失ってしまうのは確かなことだよね。

 そのことは、一点を追いかけるゲーム展開になってから、より鮮明に見えてきました。どうもしても足許パスばかりで、仕掛けに「流れるような動き」を演出できないビジャレアル・・ 。とにかく、アーセナル選手たちが繰り出す「リケルメ対策のディフェンス」は見事に機能しつづけ、それが、ビジャレアルの仕掛けイメージの発展を効果的に「抑制」していたことだけは確かだったと思っている湯浅なのです。

 それにしてもアーセナルは、相変わらずのリスクチャレンジサッカーですよね。限りなくポジションなしのサッカーへと近づいていくアーセナル・・そのことを選手たちも意識しているから、とにかく一人ひとりの守備意識が高みで安定している・・選手たちにとっても、やり甲斐のある「イメージリーディング・サッカー」なんだろうね・・守備でも攻撃でも、その「具体的な目的」を達成するために、常に「主体的」に仕事を探しつづけ、そして後ろ髪を引かれることなく実行していく・・。

 ポジションなしのサッカーだけれど、世界のエキスパートたちは、それを、こんな風に表現するのですよ。「たまには、前方のグループと後方グループがタテに入れ替わってしまう・・それでも攻守にわたって機能性バランスが崩れることがない・・それこそが良いチームであることの証明だ・・」。そう、アーセナルのようにネ。

 もちろん、そのなかでも、戦術イメージに忠実な「コンセプト的な汗かきプレイヤー」はいますよ。センターバックコンビの、トゥレーとセンデロス、そして中盤のジウベルト・シウバ。彼らについては、理想型へ到達するプロセスで絶対に必要な「妥協的ファンクション(機能性)」なんていうふうにも呼べるかもしれない・・。

 大きなリスクを背負いながらも、常に「美しさと勝負強さが高みでバランスしたサッカー」という理想型を追い求めるベンゲル監督に対し、心から敬意を表します。彼については、グランパス時代の「チーム戦術的な汗かきファンクション」を受け持った浅野哲也さんとの対談記事(The対談・・その1その2その3その4)を参照してください。

 さて、これで(準決勝のファーストレグの結果を受けて)、久しぶりの「解放サッカー同士の決勝戦」が期待できそうな雰囲気になってきた。もちろんバルセロナ対アーセナル。もし本当に実現したら、そこでは、サッカーの歴史における普遍的なテーマが、より深く追求されることでしょう。さて・・

 



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