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2011_チャリティー親善マッチ・・良くはなっているレッズだけれど・・(レッズvsモンテディオ、 3-0)・・(2011年4月10日、日曜日)

そうね〜・・まあ、良くなっているとは思うけれど・・あっと、レッズのことですよ・・モンテディオは、例によって、持てる「個の能力」を最大限に発揮するなかで、とても安定したハイレベルな組織サッカーを展開していた・・

 レッズについては、第1節(アウェーのヴィッセル戦)のコラムも参照してください。その冒頭で、こんなことを書いた。・・たしかに個のチカラの単純総計じゃ、明確にレッズが上・・でも、そのアドヴァンテージが、うまくサッカー内容に反映されてこない・・

 その評価イメージは、この試合でも変わることはありませんでした。ゼリコ・ペトロヴィッチ率いる今シーズンのレッズ。フォルカー・フィンケ時代とは、サッカーのやり方がガラリと変わった。

 ・・基本ポジションを(特にスピアヘッドとサイドハーフの位置を)出来る限り維持する・・そして、そのポジショニングバランスを基盤に、シンプルな(足許!)パスを回すことで、ワイドに開いたサイドゾーンから仕掛けていく・・守備については、素早い攻守の切り替えをベースに、前からプレッシングを仕掛けていくことで積極的にボールを奪いかえしにいく・・そしてボールを奪い返した次の瞬間に素早く繰り出すショートカウンター・・などなど

 要約したら、相手守備ブロックの裏スペースを突いていくプロセスイメージが違うっていうことですかね。一方は、組織コンビネーション主体・・もう一方は、ドリブル勝負などの個人勝負プレー主体・・

 フォルカー・フィンケの場合は、流動的なポジションチェンジをベースに(要は、動き回ることで、出来るかぎり多く数的に優位な状況を作り出して仕掛けていく!)組織コンビネーションと、その流れのなかで相手守備の薄いゾーンにボールを運んで仕掛けていく(!!)ドリブル勝負をうまく組み合わせようとする。人とボールがダイナミックに動きつづける高質な組織サッカー・・!?

 それに対してペトロヴィッチは、カウンター&セットプレーは別にして、流れのなか(組み立てプロセス)では、とにかく足許パスをつかってボールを動かし、ある程度フリーになったドリブラーを演出できたら(マルシオ・リシャルデス、田中達也、原口元気など)、そこから、ドリブル勝負を主体に仕掛けていく・・

 もちろん彼らは、ドリブルシュートだけではなく、ドリブル勝負&ラストスルーパスorラストクロス・・ってなプロセスオプションも、イメージしている。

 まあ、要は・・(豊富な運動量をベースに、人とボールを動かしつづける)組織プレーのなかに、効果的に個人の勝負プレーもミックスしていくという基本路線のフォルカー・フィンケに対し、ペトロヴィッチは、シンプルに「足許パス」を積み重ねていくことでサイドへボールを運び、そこから「個のチカラ」を前面に押し出す勝負ドリブルで仕掛けていく(または一発ロング勝負パスを供給する)・・っちゅうイメージですかね。

 もちろん私は、さまざまな視点で(選手にとっても!)より実のある発展を期待できる、組織プレーと個人勝負プレーが高みでバランスしたサッカーを志向します。その意味で、フォルカー・フィンケのサッカーは正しいベクトル上にあったと思う。

 それに対し、もちろんこの時点の評価ではあるけれど、基本ポジションを出来るかぎり維持しながら個の勝負を主体に仕掛けていく・・という基本路線を押し出すペトロヴィッチのサッカーは、ポジショニングバランスを維持しやすいというニュアンスも含め、より勝負にこだわる(勝負強さを前面に押し出す!?)ベクトル上にある・・と理解できるかもしれないね。

 でもね・・、すべてのサッカー人が目指すべき理想は、美しさと勝負強さの(自由と規制の!)究極のバランスだからね。その目標イメージが曖昧になり、(たとえば)勝負にばかりこだわるようなサッカーを展開したら、時間の経過とともに、やっぱり、何らかの(物理的&心理・精神的な)支障をきたすことになる。選手の(自由な創造性などの)発展の芽を摘んでしまう・・とかね。

 それに、サッカーが型にはまりすぎたら、やっぱり「意志」だって減退する。その象徴的な現象が、全体的な運動量が落ちてしまうこと。要は、動きのない、スタンディング(足許パス)サッカーになってしまうということです。

 たしかに、この試合でのレッズは、攻守にわたる主体的なアクションの「量」と質という視点では、ポジティブな印象を残した。それが、コラム冒頭の、「良くなっている・・」という表現のバックボーンでした。

 でも時間の経過とともに、流れのなかからのチャンスメイクという視点で、サッカー内容が鈍重になっていったことも確かな事実だった。要は、流れのなかからチャンスを作り出せなかった・・相手守備ブロックの『ウラの決定的スペース』を攻略できなかった・・っちゅうことです。

 そりゃ、そうだ。何せ、レッズの攻撃は、モンテディオ守備ブロックの「眼前」で繰り広げられるばかりだったのだから。これじゃ、モンテディオ守備ブロックだって、まったく怖くない。

 もちろん、田中達也や原口元気、マルシオやセルヒオ等のドリブル勝負は、ツボにはまれば破壊力抜群。でも、考え方によっては、その能力は「諸刃の剣」でもある。それに頼り「すぎる」のではなく、あくまでも「それ」を一つのツールと考えるのですよ。そして、組織プレーのなかで、チャンスを見計らって「伝家の宝刀」を光り輝かせる・・。

 まあ、この試合については、こんなところですかネ。とにかく、わたしにとっての貴重な学習機会としても、ゼリコ・ペトロヴィッチが、どのようなサッカーへ向かおうとしているのか、注意深く観察することにしましょう。

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 またまた、出版の告知です。

 今回は、後藤健生さんとW杯を語りあった対談本。現地と東京をつなぎ、何度も「生の声」を送りつづけました。

 悦びにあふれた生の声を、ご堪能ください。発売翌日には重版が決まったとか。それも、一万部の増刷。その重版分も、すでに店頭に(ネット書店に)並んだそうな。その本に関する告知記事は「こちら」です。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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