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2011_アジアカップ・・この日本代表だったら、韓国やオーストラリアに対しても互角の勝負を挑めるゾ!・・(日本vsサウジアラビア、5-0)・・(2011年1月17日、月曜日)

こんなに余裕をもって観戦できた公式勝負マッチは、ホントに久しぶりだな〜〜・・

 これで日本代表は、決勝トーナメント一回戦で、地元カタールと対戦することになった。ウズベキスタンと対峙した開幕ゲームに敗れたとはいえ、その後は連勝してグループ「A」 を突破した彼らは、おおいに調子を上げている。また、2022年ワールドカップの招致にも成功したからモティベーションも高いはず。

 そして監督は、「あの」ブルーノ・メツだからね。サスガにブルーノ、カタール代表を、とてもモダンなチームに仕上げてきた。相手にとって不足なし・・じゃありませんか。

 日本代表が目指すのはアジアの頂点。そこへ至るプロセスで対戦する相手は、厳しければ厳しいほど、より充実した「進化体感」を積み重ねられる・・そう、世界トップレベルへつながるブレイクスルーのためのホンモノの学習機会・・

 日本代表は、ここまでの厳しい勝負プロセス(ヨルダン戦とシリア戦)を体感することで、チームとして発展をつづけている。それもまた、ザッケローニのウデの証明といったところ。もちろん、ツキに「も」恵まれているという、プロコーチとしての大切なファクターも含めてネ・・。

 さて、素晴らしいサッカーを展開したサウジアラビア戦を掘り下げていきましょう。

 最初のテーマとして、まず何といっても、日本代表の攻撃を(イメージキャリアーとしても!?)引っ張ているスター選手の不在を挙げなくちゃいけないでしょ。本田圭佑と松井大輔。私は、「そのこと」が、彼らの代わりに出場したメンバーによって、戦術的なプレーコンテンツ(=コンビネーションイメージ)バリエーションの、様々な意味を内包する広がりを示唆すると思っていた。

 この試合で彼らの代わりに出場したのは、岡崎慎司と柏木陽介。そして「そのこと」が、とても、とてもポジティブな「バリエーションの可能性」を提示したと思っている筆者なのですよ。もちろん、究極の組織サッカーへの志向性という視点でね。

 どうだろうか・・、岡崎慎司の先制ゴールが決まってからのサウジアラビアは、明らかに「動き」が落ちていったよね。モティベーションのダウン・・。ここで使った「動き」とは、言わずもがなだけど、守備でのチェイス&チェックに代表される汗かき貢献プレーとか、攻撃でのボールがないところでの人の動き(フリーランニング)のことだよ。サウジは、中東の中では、とても上手く組織サッカーをマスターしているチームだからね。

 そんな、闘う意志が減退していったサウジを相手に、完璧にゲームを支配しつづけた日本代表。とはいっても私は、いくらモティベーションが減退していたとはいえ、「あの」強力なサウジ守備ブロックを完璧に崩し切って挙げた五つのゴールには、日本代表の(勝負トーナメントだからこその!)発展を明確に指し示す「何か」が含まれていたと思うわけです。

 要は、岡崎慎司や前田遼一のボールがないところでの決定的フリーランニングがもたらした連続ゴールには(その動きを明確にトレースした=イメージが完璧にシンクロした=決定的クロスやスルーパスも含め!)日本代表が、究極の組織サッカーを志向するユニットとして発展していることの明確な要素が内包されていたということです。

 私は、日本代表が魅せつづけたハイレベルな組織サッカーのバックボーンに、岡崎慎司と柏木陽介が展開した、攻守にわたる忠実な汗かきハードワーク「も」あった・・そして、そのことで、スピーディーにタテへ仕掛けていくというザッケローニのテーマも含め(!)日本代表の人とボールの「動き」が大きく活性化したと思っていたわけです。

 彼らが(スターティングメンバーとして!?)チームに入ったことで、前戦グループのポジションチェンジも、より縦横無尽に活性化していったのは確かな事実でした。そう、韓国代表のようねネ(このテーマについては、オーストラリア対韓国戦レポートを参照して下さい)。

 また、柏木陽介と岡崎慎司の攻守にわたる汗かきプレーによって、遠藤保仁にしても長谷部誠にしても、はたまた両サイドバックにしても、より確信をもってオーバーラップしていけたと思う。そう、クリエイティブな(創造性あふれる)タテのポジションチェンジ。

 たしかに、攻撃の勝負局面における「個の勝負」という視点では、松井大輔、本田圭佑が魅せる勝負プレーの価値は大きい。特に本田圭佑が魅せる、スピードに乗ったパワフルな突破ドリブルがとても危険であることは誰もが認めるところです(シリア戦での先制ゴールシーン!)。また松井大輔の、相手アクションの逆を取って背後スペースを攻略する、スキルフルな勝負ドリブルも魅力的だし効果的だよね。

 でもサ、やっぱり日本代表のコンセプトとしては、「組織イメージ」を前面に押し出していくのが正解だよね。まあ、もちろん「それ」は、世界的な傾向だけれど・・。そう、その究極がバルセロナでありスペイン代表というわけです。

 もちろん、本田圭佑にしても松井大輔にしても、南アワールドカップという「巨大な刺激」によって、また、フットボールネーションの刺激を体感しつづけることによって、チェイス&チェックや、攻撃でのボールがないところでの動きといった、チーム(汗かき貢献)プレーにも精進するようになってはいる。でも、まだまだ足りない。

 だからこそ、このサウジ戦では、これまでになく、日本代表の組織サッカーが光り輝いた思うわけです(ヨルダン戦やシリア戦での相手のプレッシャーのなかでも、必要な動きを、より効果的に表現できたはず・・!!)。

 もちろん理想は、本田圭佑や松井大輔といった「高質な才能」が、本当の意味の汗かきにも全力で取り組むようになることだよね。そう、シャビやイニエスタのようにネ。彼らは、決してメッシじゃないわけだから・・。

 最後に、日本代表の中盤の『王様ダブルボランチ』、遠藤保仁と長谷部誠についても簡単に。

 読者の皆さんは、『ブラジル』に対して心からの敬意を抱いている私が、安易に「ボランチ」という表現を使わないことをご存じだと思います。普通は、守備的ハーフとかセンターハーフ、はたまた中盤のアンカー・・なんていう表現を使うわけです。でも、この二人は違う。彼らのプレーコンテンツは、まさに、チームの高質なハンドルとしての『ボランチ』そのものです。

 この二人については、攻守にわたる素晴らしい汗かき姿勢と、創造性あふれるリスクチャレンジへの意志の積み重ねとしてのスーパーな質実剛健プレーが「当たり前」になっているから、あまり話題にならないよな〜(遠藤さん、長谷部さん・・スミマセンね・・でも、それが、クールなあなた方の本望でしょ!?)。

 まあ、多分、だからザッケローニも、当たり前のように彼らをチームの中心に据えているんだろうね。でもサ、視点を変えたら、そのことは、二人が機能する中盤の底のポジションに代替がいないということにもなる。それは、チームにとっては大いなる脅威だよね。フムフム・・

 遠藤保仁が、決定的スペースへ抜け出す岡崎慎司へ、見事な浮き球ラストパスを送り込んだ先制ゴールのシーンを観ながら、そのスーパーコンビネーション(素晴らしいイメージシンクロコンビネーション)に舌鼓を打つと同時に、遠藤と長谷部で組むダブルボランチの重要性と、だからこそわき上がってくる心配についても思いを馳せていた。機会と脅威とは表裏一体・・

 さて、チームとして、抜群の勢いで「成長」を遂げつつある日本代表。このコラムの冒頭で、決勝トーナメントで厳しい相手と対峙することは、チーム成長にとって大いなる「糧になる」と書いたわけだけれど、そのターゲットは、もちろん、準決勝や決勝で当たるはずのオーストラリアや韓国とのギリギリの勝負マッチにも勝ち切れることだよ。

 私は、この日本代表だったら(彼らの発展プロセスを体感する限り!)、韓国やオーストラリアに対しても互角の勝負を挑めると思っているわけです。あ〜〜、その勝負マッチが待ち遠しい。

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 またまた、出版の告知です。

 今回は、後藤健生さんとW杯を語りあった対談本。現地と東京をつなぎ、何度も「生の声」を送りつづけました。

 悦びにあふれた生の声を、ご堪能ください。発売翌日には重版が決まったとか。それも、一万部の増刷。その重版分も、すでに店頭に(ネット書店に)並んだそうな。その本に関する告知記事は「こちら」です。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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