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- 2011_CWC・・人数を掛けた強力ディフェンスとバルサの仕掛けという見所・・(バルセロナvsアル・サッド, 4-0)・・(2011年12月15日、木曜日)
- フム〜・・。とにかく、前回のコラムで書いたとおりの「ゲームの構図」になったというポイントから入るしかありませんかね。
要は、守備をガチガチに固めるアル・サッドに対し、その分厚い壁を(9人で守備ブロックを構成するアル・サッドを!)何とか突き崩そうとするバルセロナ・・という構図。
前半のバルセロナは、例によっての素早い組織コンビネーションと、メッシに代表される爆発的なドリブル勝負を、まさに「あうんの呼吸」で組み合わせながら、正面からアル・サッドの強力ディフェンスへ挑んでいった。いつものバルサの正攻法。でも・・
誤解を恐れずに書くけれど、実のところ彼らは、ほとんどの仕掛けで(流れのなかからは)、アル・サッドの守備ブロックを崩し切るところまでいけなかったのですよ。
要は、アル・サッド守備ブロックのウラに広がる決定的スペースを攻略できなかったということ。言い換えれば、決定的スペースにおいてフリーでボールをもつ味方選手を演出し切れず、流れのなかでは決定的シュートチャンスを作り出せなかった・・ということです。
でも、そんな、ちょっとイヤな感じのゲーム展開のなかで、バルサが、アル・サッド守備プレイヤーの一瞬のミスに乗じて(慌てたディフェンダーがGKへバックパスしてしまうというミスに乗じて!)、先制ゴールを「押し込んで」しまうのです。詰めたのは右サイドのアドリアーノ・・
また追加ゴールも、アル・サッド守備プレイヤーのタテパスをインターセプトしたアドリアーノが、素早くチアゴへ「ワンのパス」をつないでリターンパスを受け、豪快に蹴り込んだモノでした。
ということで、両ゴールともに、アル・サッド守備の、集中力を欠いたミスから生まれたといっても過言ではありません。
前へ押し込んでくるバルセロナ・・それを、アル・サッドの(バルサ攻撃の内容をしっかりとイメージしつづける!!)強固な守備ブロックが迎え撃つ・・。
そんな「状況」では、簡単にはアル・サッド守備ブロックが崩れることはないけれど、特に2失点目のケースが明確に示しているように、チーム全体が押し上げようとしている状況でタテパスをカットされるような大きなミスを冒した場合、状況はまったく違ってくる。
要は、チーム全体が押し上げようとしていたタイミングでタテパスをカットされちゃったわけだから、すぐにアル・サッドは、振り向いて「バルサの仕掛けを追いかける」ことになってしまったというわけです。
言い換えれば、タテパスをカットしたバルサが、自分たちの眼前に、(アル・サッド守備ブロックの人数が少なくなったことで!)願ってもないスペースを獲得したということです。
そうなったら、もう万事休しちゃうののは道理だよね。何せ、そこは「あの」バルセロナなんだから・・。
ちょっとここで視点を変え、アル・サッド守備ブロックが魅せたポジティブな点に注目しましょう。何せ彼らは、これからレイソルと、三位の座を争うことになったわけだからね。
「アル・サッドは、人数を掛けて守備を固めました(そんな質問の導入部に、周りでクスクスと笑いが起きた・・そんなコト、観てりゃ分かるだろ!ってな具合かな!?)・・普通、人数を掛けて守備ブロックを作る場合、味方がたくさんいることで、守備のメカニズムをスムーズにオーガナイズするのが難しくなるモノです・・大事な勝負所で足が止まったり、ボールウォッチャーになったり・・でも、アル・サッドは違った・・彼らは、とても優れたオーガナイズを魅せたと思うのですよ・・タテに走り抜けるバルサ選手を最後までマークしつづけたりとか、バルサが仕掛けてくるコンビネーションのリズムに合わせて効果的なカバーリングや集中プレスを仕掛けたりとか・・そのことについてコメントをいただけませんか?」
アル・サッドのウルグアイ人監督、ホルヘ・フォッサーティさんに、そんなポジティブな質問を投げた。それまで、ちょっと厳しい質問に攻めまくられていたことで(!?)、フンフンと頷きながら私の質問に耳を傾けていた。そして、こんなニュアンスのコメントをくれた。曰く・・
・・とにかく相手はバルサ・・正確に彼らの攻撃を分析しなければならなかった・・一つでもミスを冒したら、それが致命傷になる・・最初の二つの失点は、まさにそれだった・・自分たちで自分たちの首を絞めた・・ただ流れのなかでは、バルサでも、簡単にはスペースを探し出せなかったと思う・・我々は、流れのなかでは、とても良いディフェンスの機能性を魅せていたと思うのだ・・
・・だからハーフタイムには、選手たちを、とてもよくやっていると勇気づけた・・また後半は、10メートルでもいいから、少しラインを上げよう(要は、もう少し攻撃にチカラを入れよう!)と指示した・・でも結局は、今度は流れのなかから二つの失点を喫してしまった・・バルサは、とても攻撃的なサッカーをやったが、アル・サッドの守備も、とても良かったと思う・・ただ、ちょっとだけ正確さが足りなかった・・もちろん攻撃では足りないことだらけだったけれど・・
三位決定戦でのレイソルは、アル・サッドの強力ディフェンスと、それをベースに繰り出される強烈なカウンターを明確にイメージしてゲームに臨まなければ痛い目に遭うかもしれません。まあ「そんなこと」は、ネルシーニョさんにとっては、言わずもがな・・だろうけれどネ。
もう一つ、この試合の「構図」にかかわる重要な事実があります。それは、バルサの4ゴールすべてが、どちらかといったら守備メインの選手たちによって積み重ねられたことです。
そのことについて、グアルディオラ監督に聞いてみた。
「バルサの4ゴールともに、守備的な選手たちがゲットしました・・人数を掛けたアル・サッドの守備は、とても固かったわけですが、そのことと、ディフェンス主体の選手たちがゴールを挙げたことの相関関係についてコメントいただけませんか?」
わたしの質問の意図は・・、正面から(前戦の選手たちが)仕掛けていく正攻法では、アル・サッドの選手たちもしっかりとイメージ作りしているから崩しにくかったはず・・でも、「見慣れない顔」が後方から飛び出してきたらハナシは別・・そんな、オーバーラップしてくる(タテのポジションチェンジを仕掛けてくる!)バルサ選手までも正確にケアーするのは、とても難しい作業だったに違いない・・だからこそ、フリーになった(スペースを活用できた)彼らがゴールを決められた・・そう、後半のアドリアーノとマクスウェルのゴール・・というところにありました。
でも、質問の意図がうまく伝わらなかったみたいだね・・。グアルディオラ監督は、アル・サッドが9人で守っていたことと、以前の、同様に守備的な相手と対峙したゲームでとても苦労したことが脳裏をよぎった・・なんていうコメントをしていたっけ。まあ、仕方ない。
ということで、今年のクラブワールドカップは、あるべき姿のファイナルに落ち着くことになりました。南米の雄サントスと、未来を示唆しつづけるヨーロッパ王者バルセロナの闘い。
日曜日は、もちろんサントス対バルサによる決勝がメインイヴェントだけれど、レイソル対アル・サッドの三位決定戦もまた見逃せない。いや、ホント、いまから楽しみで仕方ありません。
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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